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矢印ビジネス会計検定:試験制度からみた「2級」と「3級」の難易度

矢印ビジネス会計検定:過去問題からみた「2級」と「3級」の難易度
大阪商工会議所が実施するビジネス会計検定は、能力に応じて3階級(1級・2級・3級)に分かれますが、下記に示す受験者データからも見てとれるように、同試験の申込者は「2級」と「3級」が全体の約90~95%を占めており、この傾向は試験開始当初から、ほぼ変わっていません。
申込者数の比較グラフ
そこで、申込者(受験者)が集中している「2級」と「3級」にスポットを当て、いったいどれくらい難しい試験なのかを様々な角度から分析し、本試験の難易度について、比較・考察してみました。





ビジネス会計検定:試験制度からみた「2級」と「3級」の難易度

下記に示す折れ線グラフは、ビジネス会計検定試験の「2級」と「3級」の合格率の推移を比較したものです。
合格率の比較(2級と3級)
ご覧のように、合格率は「3級」試験の方が平均して高い水準で推移しており、上位級に当たる「2級」試験の方が合格は厳しい状況にあることから、単純に合格率の数値で比較するなら、「3級」よりも「2級」の方が難易度の高いハイレベルな問題が出題されているという見方ができそうです。

では、次に両試験の試験内容を比較してみましょう。
2級 3級
受験資格 特になし
試験時間 2時間
出題形式 選択問題(4~5肢択一 / マークシート方式)
問題数 計50問(100点満点)
合格基準 70点以上の得点(100点満点)
試験時間や出題形式、問題数、合格基準は、いずれも同じ形をとっているため、これだけでは両試験の違いは何ひとつ分かりません。

そこで、さらに「到達目標」や「出題範囲」を比較してみると、次のような点で大きな違いがあることが分かります。
3級 2級
対象 一般企業の社員や学生 一般企業の管理職、経理担当者
到達目標 会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。 企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を分析する力を身につける。
出題範囲 1.財務諸表の構造や読み方に関する基礎知識

(1)財務諸表とは
(2)貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の構造と読み方

2.財務諸表の基本的な分析

(1)基本分析
(2)成長率および伸び率の分析
(3)安全性の分析
(4)収益性の分析
(5)1株当たり分析
(6)1人当たり分析
1.財務諸表の構造や読み方、財務諸表を取り巻く諸法令に関する知識

(1)会計の意義と制度
(2)連結財務諸表の構造と読み方

2.財務諸表の応用的な分析

(1)基本分析
(2)安全性の分析
(3)収益性の分析
(4)キャッシュ・フローの分析
(5)セグメント情報の分析
(6)連単倍率
(7)損益分岐点分析
(8)1株当たり分析
(9)1人当たり分析
そもそもビジネス会計検定とは、財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)を作成するためのスキルを身に付ける簿記検定とは違い、既に作成された財務諸表が示す数値を分析して、企業状況を客観的に把握するスキルを習得する試験ですが、「3級」は財務諸表の分析に欠かせない基礎的な知識を広く浅く学ぶことを目標としているのに対し、「2級」は3級で習得した基礎力をベースに、さらに一歩踏み込んだ専門知識を学びつつ、財務諸表を分析するための応用(実践)力を身に付けることを目標としています。

したがって、2級試験の方が、より高度な知識や理解力が要求されることになるため、問題の内容も自ずと難しくなってきます。




ビジネス会計検定:過去問題からみた「2級」と「3級」の難易度

ビジネス会計検定2級・3級は、すべて選択問題として出題されますが、実際、どのような内容の問題が出題されているのか、過去問を分析し、試験の特徴や難易度について比較してみましょう。

同試験の「2級」「3級」は、与えられた4つ(問題によっては5つ)の選択肢の中から適当な番号を選んで解答用紙にチェックするマークシート方式を採用しており、過去に出題された試験問題(いわゆる、過去問)を振り返ってみると、回によって、若干、構成が変わりますが、本試験問題は「小問(個別問題)」と「大問(総合問題)」に分かれること、また、各問題の出題パターンもほぼ決まっているという点で共通しています。
主な出題パターン
チェック正誤問題チェック穴埋め問題チェック個数問題チェック組合せ問題チェック計算問題
参考までに、ビジネス会計検定3級の試験問題をいくつかピックアップしておきますが、出題パターンという点では、2級試験もほぼ同じような形で出題されます。
過去問題:3級より抜粋

〈例:正誤問題〉

次の文章について、正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(ア)A社が売上原価をあと2,000削減していれば、A社の売上高売上総利益率はB社より良くなっていた。
(イ)売上高販売費及び一般管理費率は、A社の方が良い。

①(ア)正(イ)正
②(ア)正(イ)誤
③(ア)誤(イ)正
④(ア)誤(イ)誤

〈例:穴埋め問題〉

総資本経常利益率は、( ア )に対する収益性を判断するための指標であり、両社を比較すると( イ )…省略

空欄( ア )と( イ )に該当する語句の適切な組み合わせを選びなさい。

①(ア)株主の出資  (イ)A社の方が高い
②(ア)株主の出資  (イ)B社の方が高い
③(ア)株主の出資  (イ)両社同じである
④(ア)投下資本総額 (イ)A社の方が高い
⑤(ア)投下資本総額 (イ)両社同じである

〈例:個数問題〉

次の項目のうち、金融商品取引法上の財務諸表に含まれるものの個数を選びなさい。

ア. 貸借対照表 イ. 損益計算書 ウ. キャッシュフロー計算書 エ. 株主資本等変動計算書 オ. 個別注記表

① 1つ ② 2つ ③ 3つ ④ 4つ ⑤ 5つ

〈例:計算問題〉

次の資料により、当期の減価償却費を定額法で計算し、正しい数値を選びなさい。

取得原価:1,000 耐用年数:20年 残存価額:0 前期までの減価償却累計額:200 取得からの経過年数:5年

① 40 ② 50 ③ 100 ④ 200 ⑤ 250
では、「2級」と「3級」とでは、試験内容にどのような差(特徴)があるのかというと、主に次のような点で大きな違いが見られます。
3級 2級
チェック基本的に公式テキストに沿った問題が多い

チェック初歩的な会計用語に関する知識や理解、計算力が問われる

チェック問題自体は素直なため、解答にそれほど時間がかからない
チェック公式テキストよりも一歩踏み込んだ応用(実践)力が試されるも問題もちらほら…

チェック解答に辿り着くまでに時間を要する問題が目立つ

チェックより高度なキャッシュフロー分析力が求められる
特に「2級」は「3級」よりも、解答に辿り着くまでの過程が複雑で時間が掛かってしまう問題(特に総合問題)が多く、同じ50問を2時間で解く試験とはいえ、見直し時間どころか、すべての問題を解き終える前にタイムオーバーになってしまう恐れもあり、時間的にタイトな試験となっています。

また、「2級」「3級」いずれの階級にも言えることですが、同試験の大問(総合問題)は1箇所間違えてしまうと、雪だるま式にミスを連発してしまう危険もあるため、そういう意味では非常にシビアな試験です(この点は簿記検定も一緒)。

そのため、基礎がしっかりしていないと、「2級」の合格はかなり厳しいので、日商簿記2級程度の知識があるという方は別として、簿記や会計に関するスキルがまったくない受験者は、まず3級試験を受けてしっかりと基礎固めを行った上で2級試験にチャレンジした方が、結果的に学習もスムーズに進み、応用問題にも対処しやすくなります。