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矢印クレーン・デリック運転士:学科試験の合格率と試験の特徴

矢印クレーン・デリック運転士:実技試験の合格率と試験の特徴
クレーン・デリック運転士の資格を取得するには、国に代わって試験を実施している指定試験機関「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」が行なう免許試験に合格しなければなりませんが。

同試験は〝学科試験〟と〝実技試験〟に分かれますが、クレーンやデリックと呼ばれる工場や工事現場などで重宝される特殊な建設機械(重機)ということもあってか、試験に関する情報が得にくい状況にあるようです。

そこで、クレーン・デリック運転士試験とは、いったいどんな試験なのか・・・?

過去の試験結果を分析し、学科・実技、それぞれの試験の特徴や受験状況についてまとめておくので、クレーン・デリック運転士試験に関心のあるビギナー受験者は、試験対策を始める前に、少し参考にしてみてはいかがでしょうか。




クレーン・デリック運転士:学科試験の合格率と試験の特徴

平成23年度以降のクレーン・デリック運転士の試験結果(学科試験)についてまとめた表がこちらになります。
受験者数 合格者数 合格率
2011年度(平成23年) 23,307 13,691 58.7%
2012年度(平成24年) 21,287 13,033 61.2%
2013年度(平成25年) 18,076 11,900 65.8%
2014年度(平成26年) 18,913 12,401 65.6%
2015年度(平成27年) 20,317 13,265 65.3%
2016年度(平成28年) 20,935 12,281 58.7%
なお、(公財)安全衛生技術試験協会が公開しているデータには「クレーン限定」「限定なし」などについての説明がないため、複数の免許試験を合算した統計なのかどうか、これだけでは判断が付かないところですが、受験者の約9割は「クレーン限定」の免許試験を受けていること、また、免許の種類によって試験問題の内容が変わってくるものの、一部の問題が差し替えられているだけ(「限定なし」ではデリックに関する問題が数問出題される)なので、同データの特徴が免許の種類によって、あまり大きく変わることはないということを前提に話を進めていくことにします。

※補足:10万台以上あるクレーンの設置台数に対し、デリックは国内に数百台しかないため、デリックの免許が必要とされる職場はかなり限定的です。
学科試験:受験者数の推移グラフ
クレーン・デリック運転士の受験者数は、緩やかな減少傾向にありましたが、近年の年間受験者数は約2万人ほどで、特殊な免許試験のわりには思いのほか受験者の多い安定した人気資格とみることができます。

この背景には、同試験がほぼ毎月1回実施(ただし、免許試験の種類によって実施回数は異なる)されているということも大きいかと思われますが、立場上、クレーンの免許がないと困る(取得を迫られている)という方も少なくなさそうです。
学科試験:合格率の推移グラフ
一方、学科試験の合格率はというと、上記グラフからも見てとれるように、例年50~60%台で推移しており、過去6年間(平成23年度~平成28年度)の平均値は62.6%です。

これは、計算上、5人中3人は合格していることになりますが、国家試験で合格率が60%を超えてくるような試験は、かなり合格しやすい状況にあるといえるでしょう。

また、受験者の中には、会社から免許取得を迫られているようなあまり意欲のない者や、働きながら試験勉強を行っている勉強不足の受験者もこの統計には多く含まれていることが予想されるため、しっかりと試験対策を行っている受験者であれば、合格率はもう少し上がるとみて良さそうです。

そのため、クレーン・デリック運転士の学科試験に関しては、一から勉強する初学者であっても、必要以上に恐れることはありません。





クレーン・デリック運転士:実技試験の合格率と試験の特徴

クレーン・デリック運転士の実技試験の試験結果をまとめた表がこちらです。
受験者数 合格者数 合格率
2011年度(平成23年) 4,374 2,041 46.7%
2012年度(平成24年) 4,556 2,202 48.3%
2013年度(平成25年) 4,439 2,096 47.2%
2014年度(平成26年) 4,035 1,968 48.8%
2015年度(平成27年) 4,130 2,104 50.9%
2016年度(平成28年) 3,716 1,819 49.0%
学科試験に比べると、受験者数は約4分の1ほどに減っていますが、学科試験と実技試験の両方に合格しなければ免許が取得できないにもかかわらず、なぜ、実技試験の受験者は激減しているのか・・・?

とても気になるところですが、その背景にあるのが同試験ならではの資格取得ルートです。
実技試験:受験者数の推移グラフ
実はクレーン・デリック運転士の免許試験には〝免除制度〟があり、指定のクレーン教習所に入校し、教習所の実技教習終了試験に合格することで、安全衛生技術センターで行なわれる実技試験をパスすることができるのです。

※補足:実技試験の免除制度はありますが、学科試験の免除制度はありません。

そして、教習所における実技講習の方が、どちらかというと受験者にとってクリアしやすいため、特にクレーンの実務経験がない方は、多少の費用(数万円)は覚悟して、実技試験が免除される教習所ルートに流れているという現状が統計にも反映されています。

では、免除制度を利用せず、実技試験を受けた場合の合格率はどうなっているのかというと、下記グラフからも見てとれるように、概ね40%台後半で推移しているようで、過去6回分(平成23年度~平成28年度)の平均値は48.5%と、学科試験に比べるとマイナス10ポイント程度低い水準で推移しています。
実技試験:合格率の推移グラフ
しかし、先にも説明したとおり、実技試験の受験者はクレーンを操作したことがある経験者が多く、その中で2人中1人が落ちていると理解しておくべきです(経験者でも試験という緊張状態の中で作業しなければならないため、思うように実力が発揮できていない…)。

そのため、クレーンの運転経験がない方が実技試験に合格するのはかなり厳しいので、未経験者はできるだけクレーン教習所を利用した方が、結果的に短期間で確実に合格するルートといえます。