法学検定の難易度top
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法学検定は、現在、能力(法学力の習得度)に応じて3コース(基礎/中級/上級)に区分されていますが、いずれの階級も受験資格はないため、誰でも自由に試してみたいと思った級からチャレンジすることができます。

※ 試験制度の変更により、2012年度以降、名称(旧2~4級 ⇒ 基礎、中級、上級コースへ)が変わりました。

しかし、法学検定試験の受験料は意外と高く、中級コースともなると、その金額も馬鹿になりません。

そのため、受験するコースレベルに見合う実力がないのに、安易に上位コースを選択してしまうと、受験料を無駄に捨ててしまうことにもなりかねません。

そこで、これから法学検定に挑戦しようと考えている方のために、試験の難易度がいったいどの程度であるのかを知ってもらう意味で、これまでの受験者データや出題傾向を基に、各コースにおける試験難易度を分析してみたいと思います。
ベーシック〈基礎〉コース(旧4級) 4,320円(税込み) 法学部:2年次生程度
スタンダード〈中級〉コース(旧3級) 6,480円(税込み) 標準的な法学部:3年次生程度
アドバンスト〈上級〉コース(旧2級) 9,720円(税込み) 法曹を目指す等学習の進んでいる法学部:3年次生および法学部修了程度

分析!受験者データ(合格率)からみた法学検定試験の難易度

ベーシック〈基礎〉コース
法律学を学ぶ上で、最低限押さえておかなければならない基本的な法知識を問う問題(単純に法知識を知っているかどうかを問う程度)で構成されているのが、法学検定ベーシックコース(旧4級)です。

出題範囲も、憲法・民法・刑法・法学入門に限定されており、公式問題集の範囲内での出題が中心(6~7割)なので、それさえしっかり学習しておけば、合格ラインを割るということはありません。

そのため、法学検定ベーシックコースの合格率は極めて高く、例年50~60%台という高水準で推移していることから難易度は低い試験です。
実施年度 志願者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
2011年 3,273 2,882 1,798 62.4%
2012年 3,411 3,039 1,868 61.5%
2013年 3,175 2,801 1,797 64.2%
2014年 3,226 2,834 1,614 57.0%
2015年 3,482 3,026 1,823 60.2%
スタンダード〈中級〉コース
試験開始当初に比べ、受験者数が大幅に減少傾向にある点が気になりますが、スタンダードコース(旧3級)における、ここ数年の合格率は安定しており、概ね50%前後で推移しているようです。

スタンダードコースはベーシックコース同様、公式問題集からの出題が中心となるので、その問題集さえ理解しておけば、合格ラインに十分届く試験なので、若干、法律の理解力が問われる試験ではありますが、難易度はさほど高くありません。
実施年度 志願者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
2011年 3,090 2,690 1,458 54.2%
2012年 2,456 2,081 1,071 51.5%
2013年 2,133 1,788 982 54.9%
2014年 1,925 1,609 849 52.8%
2015年 1,835 1,534 842 54.9%
アドバンスト〈上級〉コース
アドバンストコース(旧2級)ともなると、マークシート方式による解答形式とはいえ、単なる法知識が身に付いているかだけでなく、一定水準以上の体系的な法学知識や理解力が求められるため、下位級に比べると難易度の方もぐっと上がってきます。

そのため、合格率は下位級に比べると、大きくダウンしており、アドバンストコース試験の難易度が急激に上がっていることが伺えます。
実施年度 志願者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
2011年 1,146 963 160 16.6%
2012年 1,157 952 191 20.1%
2013年 1,016 867 173 20.0%
2014年 847 707 130 18.4%
2015年 653 538 102 19.0%

分析!試験制度・過去問題からみた法学検定試験の難易度

法学検定は、すべてマークシート方式による多肢択一(4~5択)問題なので、自分の言葉で考え表現しなければならない論述形式の試験に比べれば、受験しやすい検定試験といえます。

※ 試験制度変更(2012年~)後も、出題形式や解答方式は多肢択一形式・マークシート方式です。

また、ベーシックコース、スタンダードコースは、ともに(公社)商事法務研究会発行の『法学検定試験問題集』からの出題が中心(6~7割)になると試験主催者が公言しているので、あくまで合格することが目的であれば、内容を理解していようといまいと、とりあえず、この問題集さえやっておけば合格点に届く力は身に付きます。

したがって、ベーシック、スタンダードコースに限っては、本試験における大半の出題問題自体が、あらかじめ判明している時点で、試験合否の有無という意味での難易度は低い試験といえるでしょう。

一方、アドバンストコース(旧2級)は、ベーシック、スタンダードコースほど問題集の数が充実しておらず、試験に関する『ガイドブック』(ちょっと古いですが…)と『過去問題集』だけが、(公社)商事法務研究会より発行されています。

つまり、アドバンストコースは、本試験を受けるまで、どんな問題が出題されるのかよく解らない!ということです。

そのため、ガイドブックと過去問題を手掛かりに分析し、自分なりに本試験問題を予測し、試験対策を立てなければならないので、そういう意味では、下位級に比べると、難易度は非常に高い試験といえるでしょう。
過去問題からみた試験難易度
下記に示す問題は過去に出題された法学検定試験の出題例です。

法学検定試験の過去問題を振り返ってみると、いずれの級も正誤問題や組み合わせ問題が多出しており、出題パターンはほぼ決まっていますが、各級の問題文を見比べてみると、受験者に求めている内容の〝〟が違ってくることに気付きます。

ベーシックコース(旧4級)では、単純に法律を知っているかどうかを確認する程度のレベル(難易度)問題が中心となりますが、スタンダードコース(旧3級)試験ともなると、法律に関する理解力が問われる問題もちらほら見られます。

さらに、アドバンストコース(旧2級)試験ともなると、法律に関するより細かな知識や体系的に理解しているかなど、法学に関する応用力が試される難易度の高い問題が出題される傾向にあり、単に法律を知っているというだけでは解答にたどりつかない内容が多出する傾向が見られます。
ベーシック〈基礎〉コース:民法問題:2011年度受験要綱より抜粋

代理に関する以下の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

1.代理人は、本人自ら選任することも、本人以外の者が法律の規定に基づいて選任することもある。

2.代理人が有効に代理行為を行うためには、代理権の範囲内で行為をするのみならず,行為の際に本人の名を明示する必要がある。

3.代理人が有効な代理行為をした場合、その行為の効果は本人と相手方との間に直接発生する。

4.権限の定めのない代理人も、保存行為をすることができる。
スタンダード〈中級〉コース:刑法問題:2011年度受験要項より抜粋

以下の記述のうち、判例に照らして誤っているものを1つ選びなさい。

1.他人のいる狭い四畳半の部屋で日本刀の抜き身を振り回す行為は、暴行罪にあたる。

2.他人の身辺で太鼓、シンバル等の打楽器を長時間鳴らしつづける行為は、暴行罪を構成する。

3.性病であることを隠して性交渉をし病毒を感染させても、暴行罪しか成立しない。

4.他人の毛髪を根元からかみそりで切り落とせば、暴行罪となる。

5.覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場で、犯人Xが警察官の押収した覚醒剤のアンプルを足で踏みつけて壊した場合、公務執行妨害罪における暴行が認められ、同罪が成立する。
アドバンスト〈上級〉コース:民法問題:2010年度受験要項より抜粋

AはBとの間で、A所有の不動産甲をBに贈与する契約を結んだが、その旨の書面は作成しなかった。この場合に関する以下の記述のうち、判例がある場合には判例に照らして、誤っているものの組み合わせを1つ選びなさい。

ア.Aは、履行が終わっていない間は撤回できるが、この撤回をすることができる期間は契約の時から5年に制限されている。

イ.甲を占有改定によりBに引き渡した場合には、Aは、贈与契約を撤回できない。

ウ.Aは甲不動産に瑕疵があったとしても担保責任を負わないが、その瑕疵を知りながらBに告げなかったときは担保責任を負わなければならない。

エ.負担付贈与の場合はBも撤回できるが、負担付贈与でない場合には、Bの側から撤回することはできない。

オ.負担付贈与の場合は、Bが負担を履行しないと、Aは契約を解除できる。

1.アウ 2.アエ 3.イウ 4.イオ 5.エオ