建築設備士試験の合格率top
法律・経営・経理・ビジネス法律・経営・経理・ビジネスIT・Web・情報・通信・電気建築・不動産自然環境・衛生語学・旅行その他
建築設備士の資格を取得するには、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する建築設備士試験(国家試験)に合格しなければなりませんが、この試験は受験料が高過ぎる!といった声もよく耳にします。

ちなみに、建築設備士試験の受験料は、税込み35,640円(平成29年度試験)です。

1級建築士や2級建築士試験の受験料は2万円以下なので、確かに建築設備士試験の受験料は高いような気がします。

とはいえ、試験に合格しなければ、建築設備士の資格を取得することはできないので、受験料が高いからといって受験しないわけにはいきません。

そのため、これだけの金額を払うのであれば、受験料を無駄にしないためにも、できるだけ一発合格を狙いたいものです。

言い返れば、よほどの事情がない限り、現時点の自分の実力ではどうも合格する見込みがないというのであれば、さらにスキルを磨いてから試験に臨んだ方が賢明だということです。

そこで、試験の難易度を知る一資料として、建築設備士試験の過去データ(受験者数、合格者数、合格率、合格者の属性など)をまとめ、分析した上で試験状況をザッとまとめておくので、興味のある方は少し参考にしてみてください。

分析!建築設備士試験:合格率の推移状況

まず最初に、建築設備士試験総合合格率から見ていきましょう。

なお、総合合格率を割り出すために使用する数値(受験者数)は、前年度の一次試験合格者の二次試験からの受験者(つまり、前年度の二次試験不合格者)を含むということをまずは念頭に置いておいてください。

※補足:建築設備士試験は《一次》と《二次》とに分かれ、受験者は両試験をパスしてはじめて試験に合格したことになります。
一次試験 ■学科試験(6時間)計100問 / 5肢択一式問題
 午前(3時間):Ⅰ.建築一般知識 Ⅱ.建築法規
 午後(3時間):Ⅲ.建築設備
二次試験 ■設計製図(5時間30分)
 建築設備基本計画・建築設備基本設計製図に関する記述と製図
下記に示す資料は、平成5年以降の建築設備士試験の試験結果です。

ここ24年程の間で合格率が最も高かったのは、平成13年度と平成20年度の23.0%で、逆に最も低かったのが平成19年度の15.0%となっています。

この結果を見る限りでは、20年前まで遡ってみても、合格率はそれほど大きな変化は見られず、概ね15~20%前半で推移していることが見てとれます。
H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14
受験者数 2,171 2,389 2,427 2,343 2,447 2,474 2,344 2,323 2,213 2,226
合格者数 394 449 484 449 478 497 486 486 509 421
合格率 18.1% 18.8% 19.9% 19.2% 19.5% 20.1% 20.7% 20.9% 23.0% 18.9%
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
受験者数 2,870 2,850 2,685 2,696 2,345 2,586 3,009 2,945 2,791 2,543
合格者数 551 625 485 450 351 596 634 588 467 469
合格率 19.2% 21.9% 18.1% 16.7% 15.0% 23.0% 21.1% 20.0% 16.7% 18.4%
H25 H26 H27 H28
受験者数 2,595 2,596 2,862 3,046
合格者数 432 449 554 601
合格率 16.6% 17.3% 19.4% 19.7%
次に建築設備士試験の試験結果を、一次試験・二次試験別にまとめたものが下記表です。
第一次試験 第二次試験
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
H5 1,942 573 295% 776 394 50.8%
H6 2,139 663 31.0% 884 449 50.8%
H7 2,138 670 31.3% 924 484 52.4%
H8 2,057 619 30.1% 878 449 51.1%
H9 2,180 685 31.4% 925 478 51.7%
H10 2,163 672 31.1% 967 497 51.4%
H11 2,038 642 31.5% 932 486 52.1%
H12 2,044 664 32.5% 926 486 52.5%
H13 1,913 727 38.0% 1,008 509 50.5%
H14 1,881 518 27.5% 851 421 49.5%
H15 2,650 793 29.9% 997 551 59.7%
H16 2,544 759 29.8% 1,074 625 59.7%
H17 2,416 611 25.3% 868 485 55.9%
H18 2,460 570 23.2% 788 450 57.1%
H19 2,137 368 17.2% 568 351 61.8%
H20 2,463 903 36.7% 1,006 596 59.2%
H21 2,663 691 25.9% 1,030 634 61.6%
H22 2,729 966 35.4% 1,157 588 50.8%
H23 2,369 544 23.0% 950 467 49.2%
H24 2,310 700 30.3% 917 469 51.1%
H25 2,284 539 23.6% 823 432 52.5%
H26 2,367 652 27.5% 852 449 52.7%
H27 2,589 831 32.1% 1,061 554 52.2%
H28 2,677 737 27.5% 1,071 601 56.1%
このデータを見て、まず最初に気付くことは、建築設備士試験の合格率は、一次試験に比べて二次試験の方が圧倒的に高水準で推移しているという点です。

となると、一次試験の筆記試験の方がより難易度が高いのではないかという印象を受けますが、合格率の数値だけでは断定しにくいものがあります。

というのも、一次試験の合格率は確かに25~30%台前半と低い水準で推移していますが、マークシート形式の選択問題なので、過去問を徹底的に解きマスターすれば、合格基準点を超えるだけの得点を稼ぐことは可能だからです。

一方、二次試験の方はそうはいきません。

設計製図や記述式問題として出題されることから、一次試験とは違って、明確な解答というものがないので、そういう意味でも、単純に合格率だけで比較して、どちらの試験が難しいと判断してしまうのは早計過ぎます。

しかし、建築設備士試験には受験資格があり、誰でも無条件で受けられるわけではないこと、また、受験料が高額なため、冷やかし受験は少ないと考えられることから、ある程度スキルのある方が試験に臨まれていると予想できるので、この点を踏まえると、一次試験の合格率が高くても30%程度にしか届いていない現状をみると、それなりに難しい試験であることは間違いありません。





一次試験・二次試験別の合格率状況からみた建築設備士試験の難易度

《 合格基準点 》

・建築一般知識……12点以上/30点満点
・建築法規…………10点以上/20点満点
・建築設備…………25点以上/50点満点
・総得点……………60点以上/100点満点
 ※ ただし、合格状況により合格基準点の調整あり
ここ数年における建築設備士試験の結果を振り返ってみると、一次試験の平均合格率は、計算上27.9%となりますが、年度によっては数値が大きく変動(±10ポイント以上)することもあるため、必ずしも安定した推移を示しているとはいえません。

ちなみに、建築設備士試験は、合格発表日に合格基準点が公表される仕組みになっていますが、これまでのところ、その合格ラインが、大幅に上下するようなことはあまり見られないため、受験した年度の試験問題の難易度が低いと合格率も大きく跳ね上がってしまうようです。
\   一次試験 二次試験 
合格率 誤差 合格率 誤差
H19 17.2% (-6.0%) 61.8% (+4.7%)
H20 36.7% (+19.5%) 59.2% (-2.6%)
H21 25.9% (-10.8%) 61.6% (+2.4%)
H22 35.4% (+9.5%) 50.8% (-10.8%)
H23 23.0% (-12.4%) 49.2% (-1.6%)
H24 30.3% (+7.3%) 51.1% (+1.9%)
H25 23.6% (-6.7%) 52.5% (+1.4%)
H26 27.5% (+3.9%) 52.7% (+0.2%)
H27 32.1% (+4.6%) 52.2% (-0.5%)
H28 27.5% (-4.6%) 56.1% (+3.9%)
平均値  27.9% 54.7% 
一方、二次試験における、ここ数年間の平均合格率は54.7%です。

二次試験の合格率は一次試験ほど激しく変動していないようですが、これは、一次試験とは違って、明確な解答がないということも少なからず影響しているのかもしれません。

また、数値だけ見ると、一次試験の約2倍ほど高い水準で推移しているため、二次試験の方が一次試験よりも簡単なのではないか?と思われがちですが、先にも説明したように試験内容が大きく異なってくるので、単純に比較することはできません。

しかし、二次試験は一次試験とは違い、ポイントを押さえた分かりやすい文章で解答するテクニックも必要になってくるので、過去問を中心にマスターすれば得点が稼げるというものでもなく、二次試験に関しては独学は不向きだと言う受験者も少なくありません。

したがって、二次試験に不安のある方は、毎年、定期的に開催している建築設備士試験対策向けの講習会((社)空気調和・衛生工学会/(社)電気設備学会 等)などの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

最後に、参考までに平成28年度の建築設備士試験合格者601名の年齢別、職種別、勤務先別、職務内容別の内訳についてまとめておきます。
《年齢別》
区分 構成比
29歳以下 23.6%
30~34歳 23.1%
35~39歳 16.6%
40~44歳 16.2%
45~49歳 12.0%
50歳以上 8.5%
平均 37.1歳
《職種別》
区分 構成比
空調設備関連職種 41.6%
衛生設備関連職種 15.3%
電気設備関連職種 24.3%
建築関連職種 9.3%
その他 9.5%
《勤務先別》
区分 構成比
設備設計事務所 10.8%
建築設計事務所 17.0%
空調・衛生設備工事会社 19.6%
電気設備工事会社 6.2%
建設会社 24.0%
官公庁・財団法人等 7.7%
その他(電力・ガス会社、不動産会社等) 14.7%
《職務内容別》
区分 構成比
設計 54.9%
工事監理 6.5%
施工管理 23.0%
行政 3.3%
その他(維持管理、積算等) 12.3%