DCプランナー試験の難易度top
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DCプランナーとは、日本商工会議所と一般社団法人・金融財政事情研究会が共同で実施している試験に合格した後、所定の登録手続きを行った者に与えられる認定資格のことで、年金制度(主に確定拠出年金が中心)や退職金制度に関する知識・技能等が身に付いているかを審査します。

ちなみに、DCプランナーは、FP(ファイナンシャル・プランナー)とよく比較されますが、資格の知名度や受験者数の規模という点では、FPの方が圧倒的に人気があります。

というのも、FPは年金、株式、金融商品、保険、ローン、不動産、税金…などなど、とても広範囲の専門知識を基に資産運用の提案を行うスペシャリストですが、DCプランナーの方は、年金に特化した専門資格なので、大半の人は、より幅広い知識が学べ、また、実務上でも様々なフィールドで活用できるFPの方が何かと利用価値があると考える人が多いからでしょう。

また、たとえ試験に合格しても、登録更新制度があるため、何かと費用(通信講座の受講料や更新手数料)がかかるというのも、受験者数がいまひとつ伸びない背景のひとつと思われます。

そのため、資格が誕生した当時は、それなりに注目されましたが、近年は以前ほどの人気はなく、年金関連の知識を習得したい一部の社会人がスキルアップ目的に受験されているというのが現状のようです。

しかし、先にもお話ししたように、特に年金についてはとても深く掘り下げた知識が習得できるので、金融業界関係者や企業経営者、福利厚生担当者など、職種や業種によってはDCプランナーの資格取得を目指す意味は十分にあります。

そこで、DCプランナーの資格を得るために避けて通ることのできない試験は難しいのか、それとも易しいのか?

受験者が最も気になる試験の難易度について、少し客観的に分析してみたいと思います。

試験結果の詳細(合格率など)とDCプランナー試験の難易度

受験者数が少ないせいか、FP試験などに比べると、DCプランナーに関する試験情報を収集するのは困難を極めます。

そこで、まずは一般公開されている受験者や合格率といった受験者データから、試験の難易度について少し考察してみましょう。

3級DCプランナー試験

DCプランナー試験は、受験者のレベル(能力)に応じて、1~3級に分かれますが、この3級試験に関しては他の上位級とは違い、資格登録制度がない点に注意が必要です。

また、試験の実施機関も、日本商工会議所と金融財政事情研究会による共同ではなく、金融財政事情研究会のみが実施するということも押えておいてください。

では、さっそく受験者データを見てみましょう。

下記に示す資料は、3級DCプランナー試験の受験者データ(試験結果)です。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
2002年 9月 第1回 788 675 604 89.5% -----
2003年 3月 第2回 1,175 946 814 86.0% (-3.5)
9月 第3回 1,099 925 799 86.4% (+0.4)
2004年 3月 第4回 1,093 919 630 68.6% (-17.8)
9月 第5回 906 727 582 80.1% (+11.5)
2005年 3月 第6回 871 694 552 79.5% (-0.6)
9月 第7回 614 487 368 75.6% (-3.9)
2006年 3月 第8回 762 589 457 77.6% (+2.0)
9月 第9回 657 503 412 81.9% (+4.3)
2007年 3月 第10回 640 498 387 77.7% (-4.2)
9月 第11回 693 589 477 81.0% (+3.3)
2008年 9月 第12回 897 769 589 76.6% (-4.4)
2009年 10月 第13回 832 723 570 78.8% (+2.2)
2010年 10月 第14回 807 686 474 69.1% (-9.7)
2011年 9月 第15回 654 575 327 56.9% (-12.2)
2012年 9月 第16回 672 575 432 75.1% (+18.2)
2013年 9月 第17回 628 531 299 56.3% (-18.8)
2014年 9月 第18回 603 520 345 66.3% (+10.0)
2015年 9月 第19回 552 494 295 59.7% (-6.6)
2016年 9月 第20回 932 845 522 61.8% (+2.1)
3級試験はDCプランナーとして最低限知っておくべき初歩的な基礎知識の理解度を確認するための試験なので、難易度は低く、合格率は非常に高い水準で推移しています。

しかし、試験開始当初に比べると、合格率が下降傾向にある点が気になります。

ちなみに、試験の実施団体である金融財政事情研究会のサイトによると、3級DCプランナーに求められるレベルは下記のとおりです。



3級DCプランナーの試験レベル

2級DCプランナー試験

2級DCプランナーの試験結果は下記表のとおりです。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
2001年 9月 第1回 13,348 11,572 4,386 37.9% -----
2002年 3月 第2回 10,188 7,632 2,409 31.6% (-6.3)
9月 第3回 7,113 5,636 2,124 37.7% (+6.1)
2003年 3月 第4回 6,709 5,071 1,239 24.4% (-13.3)
9月 第5回 5,347 4,055 1,803 44.5% (+20.1)
2004年 3月 第6回 5,238 3,958 1,714 43.3% (-1.2)
9月 第7回 5,044 3,874 1,726 44.6% (+1.3)
2005年 3月 第8回 5,400 3,877 1,406 36.3% (-8.3)
9月 第9回 4,629 3,395 2,040 60.1% (+23.8)
2006年 3月 第10回 4,026 2,906 1,104 38.0% (-22.1)
9月 第11回 3,829 2,960 1,266 42.8% (+4.8)
2007年 3月 第12回 4,054 2,941 790 26.9% (-15.9)
9月 第13回 4,281 3,401 1,977 58.1% (+31.2)
2008年 9月 第14回 3,860 3,092 1,166 37.7% (-20.4)
2009年 10月 第15回 3,413 2,749 1,595 58.0% (+20.3)
2010年 10月 第16回 3,154 2,501 1,011 40.4% (-17.6)
2011年 9月 第17回 2,571 2,127 872 41.0% (+0.6)
2012年 9月 第18回 2,348 1,959 1,010 51.6% (+10.6)
2013年 9月 第19回 2,113 1,775 1,011 57.0% (+5.4)
2014年 9月 第20回 1,995 1,656 1,038 62.7% (+5.7)
2015年 9月 第21回 2,210 1,839 1,197 65.1% (+2.4)
2016年 9月 第22回 3,001 2,499 961 38.5% (-26.6)
級を上げると、それに比例して問題の難易度も上がるようで、平均合格率は下がる傾向にありますが、ここ数年の合格率は概ね50~60%台で推移しており、計算上は2人に1人は合格しています。

誰でも自由に受けることのできる、この手の資格試験は勉強不足の受験者も少なくないので、試験対策をしっかりと行ってから本試験に臨んでいるような方であれば、合格率はもう少し高くなるはずです(プラス5~10%上乗せして考えてよい)。

そのため、2級DCプランナー試験は、市販のテキストや問題集を使った独学でも十分合格を狙えるレベルの難易度と考えられますが、2016年に実施された第22回試験に注目してください。

前年度に比べ、合格率が大幅にダウン(-26.6ポイント!)しており、受験者にとっては厳しい試験になったことが予想されます。

2級試験では、過去にも何度か30%台(または、それ以下)にまで落ち込む試験年度がありましたが、同試験は絶対評価試験(予め公表されている合格ライン(7割)以上の得点を上げれば合格する制度)なので、試験問題の難易度に左右されてしまうという、いわば運点が要素があり、その点が受験者泣かせでもあります。
2級DCプランナーの試験レベル
また、もう1点気になるのは受験者数の推移です。

第20回試験以降、若干、回復しつつあるようにも見えますが、DCプランナー試験は、回を重ねるごとに受験者数は落ち込んでおり、資格に対する魅力を感じなくなった人が増えていることが伺えます。

今後、DCプランナーという資格が、どのような方向に進むか分かりませんが、今のままではマイナー資格と言われても仕方ないような気がします。

1級DCプランナー試験

下記に示す資料は、1級DCプランナーの試験結果です。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
2002年 3月 第1回 2,017 1,497 274 18.3% -----
9月 第2回 1,542 1,191 340 28.5% (+10.2)
2003年 3月 第3回 1,552 1,124 167 14.9% (-13.6)
9月 第4回 1,449 1,083 246 22.7% (+7.8)
2004年 3月 第5回 1,451 1,047 386 36.9% (+14.2)
9月 第6回 1,319 937 175 18.7% (-18.2)
2005年 3月 第7回 1,500 1,031 306 29.7% (+11.0)
9月 第8回 1,199 863 136 15.8% (-13.9)
2006年 3月 第9回 1,483 1,003 118 11.8% (-4.0)
9月 第10回 1,321 979 262 26.8% (+15.0)
2007年 3月 第11回 1,420 905 111 12.3% (-14.5)
9月 第12回 1,242 883 277 31.4% (+19.1)
2008年 9月 第13回 1,120 833 308 37.0% (+5.6)
2009年 10月 第14回 919 701 211 30.1% (-6.9)
2010年 10月 第15回 944 727 302 41.5% (+11.4)
2012年 1月 第16回 1,012 800 353 44.1% (+2.6)
2013年 1月 第17回 891 680 130 19.1% (-25.0)
2014年 1月 第18回 975 765 248 32.4% (+13.3)
2015年 1月 第19回 952 748 324 43.3% (+10.9)
2016年 1月 第20回 1,139 864 80 9.3% (-34.0)
2017年 1月 第21回 1,308 1,032 254 24.6% (+15.3)
下位級に比べると、試験合格率の方は非常に低くなっており、10%台(あるいは、1ケタ!)まで落ち込むこともあるようです。

1級ともなると、非常に細かい知識が問われるため、試験範囲は非常に広くなります(その範囲は2級の2倍以上!)。

そのため、近年の出題傾向を把握し、試験に狙われそうな重要項目から重点的に学習するなど、効率の良い試験対策が2級試験以上に求められます。
1級DCプランナーの試験レベル
また、注目すべき点は、何も1級DCプランナー試験に限ったことではありませんが、合格率の数値が激しく変動しているということです。

DCプランナー試験は絶対評価試験なので、規定の合格基準である満点の70%以上の得点があれば、誰でも合格することのできます。

にもかかわらず、合格率が激しく変動するということは、2級試験と同じく本試験で出題される問題の難易度が、毎年、安定していないことの表れでもあります。

したがって、DCプランナー試験は、本試験問題の難易度によって合否が左右されてしまう、いわば運的な要素をもった試験だということも否定できません。



1級 2級 3級
受験資格 DCプランナー2級合格者 特になし 特になし
受験料 10,800円 6,480円 4,320円
試験時間 基礎編…150分
応用編…120分
150分 120分
出題形式 基礎編…四答択一式問題
応用編…記述式問題
四答択一式問題
《マークシート形式》
三答択一式問題
《マークシート形式》
出題数 基礎編…50問程度
応用編…5題程度
45問程度 45問程度
合格基準 140点以上/200点満点 70点以上/100点満点 70点以上/100点満点

本試験問題の出題傾向からみたDCプランナー試験の難易度

今度は、本試験問題の出題傾向からみたDCプランナー試験難易度について分析してみましょう。
■出題分野

 A分野:わが国の年金制度・退職給付制度
 B分野:確定拠出年金制度
 C分野:投資に関する知識
 D分野:ライフプランニングとリタイアメントプランニング
DCプランナー試験は等級にかかわらず、上記4分野から出題されますが、参考までに本試験での分野別出題配分に関する資料を下記表にまとめておきます。
《2級DCプランナー認定試験の出題配分》
2011年9月 2012年9月 2013年10月
基礎編 応用編 基礎編 応用編 基礎編 応用編
A分野 9問 3問 9問 6問 9問 2問
B分野 9問 6問 9問 3問 9問 5問
C分野 8問 3問 8問 3問 8問 3問
D分野 4問 3問 4問 3問 4問 5問
45問 45問 45問
配点  60点 40点 60点 40点 60点 40点
各2点 2点:5問
3点:10問
各2点 2点:5問
3点:10問
各2点 2点:5問
3点:10問
《2級DCプランナー認定試験の出題配分》
2012年1月 2013年1月 2014年1月
基礎編 応用編 基礎編 応用編 基礎編 応用編
A分野 16問 3問 15問 3問 16問 2問
B分野 15問 5問 15問 5問 14問 8問
C分野 15問 6問 15問 6問 16問 3問
D分野 4問 1問 5問 1問 4問 2問
65問 65問 65問
配点  100点 100点 100点 100点 100点 100点
未公表 各問20点 未公表 各問20点 未公表 各問2点問
分野別の出題傾向を分析してみると、A・B分野は計算問題が少なく、わりと毎年同じような論点が狙われる傾向がみられることから、出題頻度の高い内容は、ほぼ決まっている感があります。

一方、C分野は計算問題が多いのが特徴で、公式を暗記するよりも理解力重視の学習に努めることが大切です(特に応用問題に対処するため!)。

また、D分野は配点が低い割に、得点しやすい問題も多いので、ライフプランニングの基礎知識を押えるとともに、その基本的な考え方を整理して覚えておくとよいでしょう。

しかし、試験内容が一部被るFP試験と比較した場合、全体的にはDCプランナー試験の方が難易度が低く感じられるはずなので、市販テキストや問題集を利用した独学でも十分合格は狙えるはずです。