公害防止管理者試験の合格率top
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公害防止管理者の資格を得るには ① 国家試験ルートと ② 資格認定講習ルートの2通りに分かれますが、②の講習ルートは、一定の受験資格があったり、予定人員が決まっているので、誰でも自由に選べるわけではありません。

※ 受講希望者が予定人員をオーバーした場合は、優先順位(特定工場に指定されており、かつ公害防止管理者の選任がなされていない工場勤務者…など)があるので、条件を満たしている方でも必ず受講できるとは限りません。なお、受講後は修了試験があります。

したがって、大半の方は、①の公害防止管理者試験を受け、合格を手にすることで資格取得を目指すことになりますが、そこで気になるのが試験の難易度です。
受験者 矢印
書類審査
矢印
資格認定講習
矢印
修了証書の交付
矢印
公害防止管理者
矢印
国家試験
矢印
合格証書の交付
矢印
公害防止管理者制度が発足したのは、1971年(昭和46年)のことなので、第1回試験が実施されてから、かれこれ40年以上経ちますが、受験者数が多い割に試験に関する情報が収集しにくいようです(つまり、公害防止管理者試験関連のサイトが圧倒的に少ない…)。

そこで、今回、はじめて試験に挑戦するようなビギナー受験者のために、れまでの試験データを参考にしながら、受験者数や合格者数、全受験者の合格率、あるいは、年齢層別にみた合格率、実務経験の有無による有利不利などを客観的に分析してみたいと思うので、試験に興味のある方の参考に少しでもなれば幸いです。




分析!公害防止管理者試験の試験結果と合格率の推移グラフ

公害防止管理者試験の実施回数は、既に40回を超えているので、初期のデータはそれほど重要ではありません。

そこで、とりあえず、20年程度遡り、1994年(第24回)以降の詳細な試験結果(申込者数、受験者数、合格者数、合格率)をまとめてみました。

その資料がこちらです。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
1994年(第24回) 25,681 21,161 5,250 24.8% (+2.8)
1995年(第25回) 25,950 21,475 4,221 19.7% (-5.1)
1996年(第26回) 26,101 21,336 3,119 14.6% (-5.1)
1997年(第27回) 26,405 21,619 4,336 20.1% (+5.5)
1998年(第28回) 27,419 22,555 4,858 21.5% (+1.4)
1999年(第29回) 28,176 23,009 5,107 22.2% (+0.7)
2000年(第30回) 34,853 28,737 8,307 28.9% (+6.7)
2001年(第31回) 31,257 25,613 6,055 23.6% (-5.3)
2002年(第32回) 30,379 24,684 6,005 24.3% (+0.7)
2003年(第33回) 31,003 25,174 5,417 21.5% (-2.8)
2004年(第34回) 28,553 23,201 5,805 25.0% (+3.5)
2005年(第35回) 29,489 24,016 7,376 30.7% (+5.7)
2006年(第36回) 25,899 21,351 5,134 24.0% (-6.7)
2007年(第37回) 29,504 25,237 3,132 12.4% (-11.6)
2008年(第38回) 33,945 29,564 6,127 20.7% (+8.3)
2009年(第39回) 33,649 29,437 6,446 21.9% (+1.2)
2010年(第40回) 33,516 29,456 6,691 22.7% (+0.8)
2011年(第41回) 31,952 28,045 6,220 22.2% (-0.5)
2012年(第42回) 30,952 27,248 6,364 23.4% (+1.2)
2013年(第43回) 31,319 27,328 5,407 19.8% (-3.6)
2014年(第44回) 29,862 25,989 6,501 25.0% (+5.2)
2015年(第45回) 29,129 25,562 6,525 25.5% (+0.5)
2016年(第46回) 28,178 24,690 6,382 25.8% (+0.3)
このデータを見る限りでは、若干、波はあるものの、受験者数は毎年約30,000人ほど、そして、毎年5,000~6,000人前後の合格者が出ているようです。

さらにもう少し詳しく分析するため、公害防止管理者試験の試験結果を、今度は折れ線グラフ(合格率は別個のグラフで表示)に置き換えてみました。

その資料がこちらです。
試験結果(合格者・合格率)推移グラフ
まず【上表】の方からみていきましょう。

このデータは、公害防止管理者試験の申込者数や受験者数、合格者数の推移状況を表したものですが、ここ30年ほどは、ほぼ横ばい状態で推移していますが、さらに遡ると、受験者数が10万人を超えることもあった大規模な国家試験であったことがうかがえます。

試験開始後、受験者数や合格者数がみるみる減っていく試験というのは、ひとえに資格取得が必要に迫られる場合によく見られる典型的な傾向のひとつです。

つまり、公害防止管理者の資格は、発足とともに特定工場における公害防止管理者の選任が義務付けられたため、急いで取らざるを得ない状況にあったものの、そんな状況がいつまでも続くわけではないので、しだいに事業に支障がなくなったことで、受験者は落ち着き、現在の安定したほぼ横ばい状態の推移を示していると考えられます。

しかし、落ち着いたとはいえ、それでも毎年約30,000人ほどの受験者がいる試験なので、業界内では、比較的人気の高いポピュラーな国家資格なのでしょう。

一方、【下表】は、合格率の推移状況を折れ線グラフに表したものですが、やはり試験開始当初の合格率はやや高めで推移していたようです。

この点も先に説明したように、資格が無いと事業に支障が出てしまうので、社会が混乱しないよう、試験開始当初は資格所有者が一定数に達するまで、合格基準がやや緩め(あるいは、試験問題が易しかった)に設定されていたことが考えられます。

なお、ここ数十年の合格率をみると、20~25%前後がひとつの基準となっているような節が見てとれるので、断定はできませんが、試験制度の大幅な変更等がない限りは、今後も同じような状況が続くのではないでしょうか。

ちなみに、合格率に関しては第26回試験(14.6%)と第37回試験(12.4%)において、やや気になる落ち込みが見られますが、第37回試験については、前年度に導入された科目別合格制が影響しているようです(第26回試験の合格率の低さに関する背景は不明…)。

試験制度の大幅な見直し(科目別合格制の導入)後に見られた、第37回試験の合格率の急激な落ち込みは受験者を不安にさせましたが、その後は回復傾向にあるようなので、受験者にとっては一安心といったところでしょう。
試験区分別:合格率の推移状況
公害防止管理者試験は、目的によって13の試験区分に分かれますが、その試験区分によって受験者が解答すべき試験科目が異なってきます。

つまり、どの試験区分を受けるかによって出題内容が違うということです。

そこで、試験区分ごとの試験結果が公表されているので、受験者数と合格者数、合格率を一覧表にまとめてみました。
試験区分 受験者数 合格者数 合格率
免除申請の有無 合計
あり なし
大気関係 第1種 4,152 2,006 6,158 1,624 26.4%
大気関係 第2種 138 118 256 49 19.1%
大気関係 第3種 481 497 978 165 16.9%
大気関係 第4種 616 667 1283 231 18.0%
水質関係 第1種 5,966 4,185 10,151 1,946 19.2%
水質関係 第2種 495 796 1291 125 9.7%
水質関係 第3種 444 351 795 114 14.3%
水質関係 第4種 1,158 1,901 3,059 303 9.9%
騒音・振動関係 889 870 1759 381 21.7%
特定粉じん関係 120 109 229 53 23.1%
一般粉じん関係 101 229 330 40 12.1%
ダイオキシン類関係 522 394 916 353 38.5%
公害防止主任管理者 88 35 123 23 18.7%
この資料は、平成25年度(第43回)の公害防止管理者試験の結果ですが、このデータによると、試験区分によって合格率に大きな差があることがわかります。

ちなみに、合格率の最も低い試験区分は「水質関係第2種」の9.7%で、逆に最も高い合格率を示す試験区分は「ダイオキシン類関係」の38.5%です。

しかし、実際に試験を受けた受験者の感想を踏まえると、受けるべき試験区分が違うというだけで、試験問題自体の難易度が高い、低いとは単純に比較できないようです。

最後に参考資料として、試験区分別の受験者データを棒グラフ(申込者、受験者、合格者)と折れ線グラフ(合格率)に置き換えたものを掲載しておきます。
試験区分別受験者データ

分析!公害防止管理者試験の試験結果 [実務経験年数別・年齢別 編]

公害防止管理者試験は受験資格がないので、たとえ実務経験がなくても、誰でも自由に受験することができます(講習は別ですが…)。

しかし、この手の特殊な専門スキルを有する資格試験は、実務経験者の方が有利に働くるケースも少なくありません。

そこで、実務経験や年齢層によって合格状況は変わってくるのか、過去のデータを少し分析してみましょう。

公害防止管理者試験センターは、毎年1月頃、公害防止管理者試験の試験結果についてまとめたものを公表しています。

その資料には、以前は実務経験年数別や年齢層別に関するデータが事細かに掲載されていたのですが、最近はどうやらカットされているようです。

そこで、確認できた範囲内での直近データをまとめてみました。
実務経験あり 実務経験なし
5年未満 5年以上10年未満 10年以上
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
2007年(第37回) 5,100 690 13.5% 3,507 465 13.3% 8,373 982 11.7% 8,257 995 12.1%
2008年(第38回) 6,413 1,329 20.7% 3,929 883 22.5% 9,728 1,930 19.8% 9,494 1,985 20.9%
2009年(第39回) 6,798 1,538 22.6% 3,821 901 23.6% 9,298 1,977 21.3% 9,520 2,030 21.3%
2010年(第40回) 7,135 1,723 24.1% 3,921 947 24.2% 9,102 1,967 21.6% 9,298 2,054 22.1%
2011年(第41回) 6,742 1,603 23.8% 3,854 901 23.4% 8,682 1,778 20.5% 8,767 1,938 22.1%
このデータを見る限りでは、実務経験の有無や長さによって、合格率が大きく変わってくるというような印象はまったくないので、実務経験の有無や長さが、直接、試験合格の有利不利に関係してくるということは考えにくいようです(むしろ、10年以上働いているベテラン受験者の方が平均して合格率は低い…おそらく、この背景には試験勉強なんかしなくても現場で得たスキルがあると過信しているのではないでしょうか)。

つまり、未経験者であっても不利にはならない性質の試験だということです。
実務経験年数別グラフ
年齢別
一方、こちらの資料は、公害防止管理者試験の試験結果を年齢別にまとめたものです。

このデータで興味深い点は、10代の年齢層の合格率が、他の年齢層に比べて圧倒的に低い水準で推移しているところです。

先に実務経験の有無や長さは試験の合否とあまり関係がないと言いました。

ところが、こうして少し変わった視点からみてみると、どうやら社会経験の乏しい学生受験者にとっては、勉強がし難く、難易度の高い試験として受け止められているのではないかということが分かります。
10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上
受験者 合格者 受験者 合格者 受験者 合格者 受験者 合格者 受験者 合格者 受験者 合格者
2007年(第37回) 654 29
(4.4%)
7869 823
(10.5%)
9387 1265
(13.5%)
5010 672
(13.4%)
2163 318
(14.7%)
154 25
(16.2%)
2008年(第38回) 548 37
(6.8%)
9122 1624
(17.8%)
10897 2450
(22.3%)
6271 1419
(22.6%)
2495 538
(21.6%)
231 59
(25.5%)
2009年(第39回) 508 24
(4.7%)
9251 1762
(19.0%)
10609 2560
(24.1%)
6260 1425
(22.8%)
2558 587
(22.9%)
251 88
(35.1%)
2010年(第40回) 580 34
(5.9%)
9237 1829
(19.8%)
10570 2616
(24.7%)
6299 1506
(23.9%)
2491 614
(24.6%)
279 92
(33.0%)
2011年(第41回) 588 43
(7.3%)
8509 1618
(19.0%)
10007 2461
(24.6%)
6298 1432
(22.7%)
2371 580
(24.5%)
272 86
(31.6%)
※ ( )内は合格率
試験結果:年齢別グラフ