アクチュアリー試験の合格率top
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アクチュアリーの資格を取得するには、公益社団法人・日本アクチュアリー会が毎年実施(12月/年1回)する資格試験に合格しなければなりませんが、この試験は民間資格でありながら、非常に難易度の高いハイレベルな試験であると認識されているようです。

そこで、これまでの試験結果を基に、アクチュアリー試験の現状について、少し分析してみることにしましょう。
受験者 矢印
1次試験
《基礎科目》
① 数学
② 生保数理
③ 損保数理
④ 年金数理
⑤ 会計・経済・投資理論
①~⑤
いずれか
1科目合格
矢印
アクチュアリー
研究会員
全5科目
合格
矢印
アクチュアリー
準会員
矢印
2次試験
《専門科目》
① 生保1・2
② 損保1・2
③ 年金1・2
①~③の内
いずれか
1分野合格
矢印
プロフェッショナリズム
研修
矢印
アクチュアリー
正会員

分析!アクチュアリー試験 科目別合格率の推移状況 [1次試験]

アクチュアリー試験(第1次)は、全5科目で構成されていますが、科目別の合格率推移状況を示したデータがこちらの表です。
年度 数学 生保数理 損保数理 年金数理 会計・経済・投資理論(KKT)
H22 9.0% (-----) 26.5% (-----) 10.0% (-----) 9.2% (-----) 14.1% (-----)
H23 8.2% (-1.2) 8.6% (-17.9) 8.0% (-2.0) 6.5% (-2.7) 14.8% (+0.7)
H24 32.8% (+24.6) 33.9% (+25.3) 27.9% (+19.9) 36.6% (+30.1) 33.9% (+19.1)
H25 12.0% (-20.8) 17.4% (-16.5) 21.4% (-6.5) 42.5% (+5.9) 14.0% (-19.9)
合格率の推移グラフ
なお、アクチュアリー試験を実施している日本アクチュアリー会は、試験合格者の受験番号は公開しているものの、受験者数や合格率については非公開の立場を取っています。

そのため、上記表に示す数値は、公開されている資料を基に算出しました。

つまり、科目別合格者受験番号リストに掲載されている合格者の一番最後の方の受験番号を受験者数と見なして計算しているので、正確な合格率ではないということです。

しかし、アクチュアリー試験がいったいどの程度の合格状況にあるのかを把握する上では、ある程度参考になる数値と思われるので、その点を理解した上でご覧ください。

さて、このデータから読みとれることはいくつかありますが、主に次のような特徴が挙げられます。
アクチュアリー試験の合格率は、概ね10~20%台で推移していると説明される方もいますが、過去数年分の科目別合格率を分析してみると、その推移は非常に不安定だということが、わかっていただけるのではないでしょうか。
H23 H24 H25
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
数学 1,459 120 8.2% 1,352 444 32.8% 1,186 142 12.0%
生保数理 929 80 8.6% 915 310 33.9% 846 147 17.4%
損保数理 926 74 8.0% 918 256 27.9% 886 190 21.4%
年金数理 937 61 6.5% 891 326 36.6% 824 350 42.5%
会計・経済・投資理論 1,088 161 14.8% 999 339 33.9% 922 129 14.0%
受験者データ棒グラフ

試験合格率からは見えてこない !? アクチュアリー試験の難しさとは...

アクチュアリー試験の合格ラインは、これまで非公開でしたが、平成21年度以降、公式HP上からダウンロード(無料)できる資格試験要領内において、明確な合格基準を発表しています。
チェック1次試験 … 各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点

※ ただし、「会計・経済・投資理論」については、「会計」「経済」「投資理論」の各分野のうち一分野でも最低ライン(分野ごとの満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)に達していない場合は不合格

チェック2次試験 … 各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点

※ ただし、第Ⅰ部(専門知識問題)、第Ⅱ部(問題解決能力)のいずれかでも満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点に達していない場合は不合格合格
これまでも受験者の間では60%程度の得点が合否を分ける基準となっているのではないかと言われ続けてきたため、概ね予想していた通りの結果でしたが、試験合格率は非常に不安定な推移を示しています。
《1次試験》
合格基準点
数学 60点
生保 60点
損保 60点
年金 60点
KKT 60点

最低ライン
会計:10点
経済:10点
投資理論:20点
《2次試験》
合格基準点 最低ライン
Ⅰ部(専門知識) Ⅱ部(問題解決能力)
生保1 60点 24点 16点
生保2 60点 24点 16点
損保1 60点 24点 16点
損保2 60点 24点 16点
年金1 60点 24点 16点
年金2 60点 24点 16点
特に平成24年度の1次試験の合格率は驚くほど高く、大勢の科目別合格者が出ています。

この点を踏まえると、アクチュアリー試験は、毎年、問題自体のレベル(難易度)が一定ではなく、問題制作者側の苦労が伺えますが、裏を返せば、受験者の合否結果は、運に左右(つまり、受験した年度に出題された問題の難易度)されてしまう場合があるということです。

また、そもそもアクチュアリーを目指そうとする者は、高学歴出身者(中でも理学部出身)が多いようで、その母集団(受験者層)の中での上位10~20%程度しか合格を手にしていない現状を踏まえると、合格率以上に厳しい試験であることが伺えます。
論述問題の難しさ
アクチュアリー試験は、1次試験はマークシート方式で行われますが、2次試験ともなると論述式問題が中心となります。

そのため、マークシート試験とは異なる攻略テクニックが必要になってきます。

一般的に自分の言葉で表現しなければならない能力(ポイントを押えた簡潔で分かりやすい文章構成)が求められるこの手の論述試験を苦手とする受験者は多く、マークシート方式の試験などに比べると合格率も低くなる傾向が見られますが、過去の試験結果を振り返ってみると、どうやらアクチュアリー試験も例外ではなさそうです。
コース H23 H24 H25
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
生保 生保① 251 29 11.6% 263 42 16.0% 352 83 23.6%
生保② 243 50 20.6% 202 24 11.9% 332 43 13.0%
損保 損保① 55 10 18.1% 93 10 10.8% 152 14 9.2%
損保② 101 12 10.9% 88 13 14.8% 140 16 11.4%
年金 年金① 121 11 9.1% 102 12 11.8% 167 16 9.6%
年金② 123 12 9.8% 105 11 10.5% 154 14 9.1%

合格率の推移グラフ2

受験者数・合格者数の棒グラフ


豆知識:アクチュアリー試験が難しく感じてしまう理由とは?

アクチュアリー試験は、幅広い高度な専門知識や理解力が求めれらるため、問題自体が難解なのは言うまでもありませんが、それとは別に、試験を難しくしている理由のひとつがコレです!
資格取得を専門とするスクールなどでも、アクチュアリー講座に力を入れているところは少ないため、独学を余儀なくされている受験者は少なくありません。

さらに、追い打ちをかけるようにアクチュアリー試験対策向けの専用の市販教材というものも非常に少ない!

そのため、仕事の合間を縫って試験勉強に明け暮れている社会人受験生の中には、思った以上に合格が遠く厳しいと感じてしまっている方も多いようです。

※ 過去問題は、(社)アクチュアリー会HP内で会報別冊として頒布(有料)しています。