第三種冷凍機械責任者試験の過去問題top
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第三種冷凍機械責任者(三冷)の免状を取得するには、高圧ガス保安協会が毎年定期的に実施(11月)している〝国家試験〟に合格しなければなりません。

※ 所定の講習過程を終了(検定試験に合格することが条件)することで、試験科目の一部免除を受けることはできますが、「法令」科目は免除されないため、法令科目のみの受験が必要です。

三冷試験は、一冷、二冷とは違い、試験科目に「学識」科目はなく、「法令」と「保安管理技術」の2科目受験となりますが、この国家試験は、他の一般的な択一式マークシート試験とは少し異なった独特の解答法が用いられています。

そこで、三冷の本試験問題が、いったいどのような形で出題されているのか・・・出題問題の難易度はどの程度のレベルなのか・・・過去問題を振り返りながら少し分析してみることにしましょう。




第三種冷凍機械責任者試験の過去問を振り返ってみよう!

法令 編
第三種冷凍機械責任者試験の「法令」科目は計20問出題されます。

試験時間は60分間なので、計算上1問あたりの所要時間は3分となりますが、見直し時間等を考慮すると、概ね2分半くらいが理想的かもしれません(もちろん、各問題の内容なボリュームにもよりますが…)。
試験科目 高圧ガス保安法に係る法令
出題方式 マークシート(択一式)
問題数 20問
試験時間 60分
合格基準 満点の60%程度
では、本試験では実際にどのような形で出題されているのか、さっそく出題例(過去問題)で確認してみましょう。
過去問題

次のイ、ロ、ハの記述のうち、高圧ガスを充てんするための容器について正しいものはどれか。

 イ.容器検査に合格した容器に刻印をすべき事項の一つに、容器の記号及び番号がある。
 ロ.液化アンモニアを充てんする容器に表示をすべき事項の一つに、「そのガスの性質を示す文字を明示すること」がある。
 ハ.容器に充てんする高圧ガスである液化ガスは、所定の算式で計算した質量以下のものでなければならない。

    (1) イ (2) ハ (3) イ、ロ (4) ロ、ハ (5) イ、ロ、ハ

【法令】
第三種冷凍機械責任者試験は、すべて択一式のマークシート試験ですが、このように単なる正誤問題として出題されているわけではありません。

つまり、3つ(イ・ロ・ハ)の選択肢の中に、正しい選択肢が1つだけ存在するとは限らないのです。

したがって、インプットした知識が曖昧だと、選択肢に迷いが生じることも多く、正しい解答が導き出せない少し嫌らしい設問法が用いられています。

しかし、「法令」科目に関しては、過去問題を中心に出題傾向を把握し、頻出事項を重点的にマスターすることで、ある程度対処できること、また、法令に関する問題が出題される以上、暗記がものをいう問題が多いので、地道にコツコツと知識を積み上げていく反復学習が有効です。
保安管理技術 編
第三種冷凍機械責任者試験の合否のカギを握っている試験科目は、この「保安管理技術」にあると断言してもよいかもしれません。

というのも、「法令」科目とは違い、どちらかというと暗記力よりも理解力が問われる試験科目なので、単純に過去問を丸暗記しただけでは合格ライン以上の得点を稼ぎづらいからです。
試験科目 冷凍のための高圧ガスの製造に必要な初歩的な保安管理の技術
出題方式 マークシート(択一式)
問題数 15問
試験時間 90分
合格基準 満点の60%程度
また、「法令」科目に比べ、出題問題数が少ないにもかかわらず試験時間が長いのは、下記出題例(過去問題)のように、選択肢の数(イ・ロ・ハ・ニの4つ)が増えるため、解答までに時間が掛かるだろうということが理由のひとつとして挙げられます。
過去問題

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、圧力容器の強度について正しいものはどれか。

 イ.円筒胴の圧力容器の胴板に生じる応力は、接線方向の引張応力が長手方向の引張応力よりも大きい。
 ロ.円筒胴の直径が小さいほど、また、内圧が高いほど、円筒胴の必要とする板厚は厚くなる。
 ハ.さら形鏡板は、半球形鏡板よりも板厚を薄くすることができる。
 二.応力集中は、形状や板厚が急変する部分に発生しやすい。

    (1) イ、ロ (2) イ、ニ (3) ロ、ハ (4) ロ、ニ (5) イ、ハ、二

【保安管理技術】
「保安管理技術」は、「法令」よりも選択肢の数が増えたことで、正確な知識がインプットされていないと、より迷いが生じ混乱してしまうことが考えられます。

そのため、各種装置(凝縮器、蒸発器、圧縮機など)の特徴や違いをしっかりと理解し、整理して覚えておくことが大切です。



実践!第三種冷凍機械責任者試験の過去問題

下記に示した試験結果をご覧になればわかることですが、第三種冷凍機械責任者試験の合格率は、国家試験のわりには、比較的、高水準で推移(ただし、合否は本試験問題の内容に左右されやすい絶対評価試験なので、平成26年度試験のように、問題の難易度が高いと、合格者数が激減してしまうような運的な要素もあります)しています。

したがって、市販のテキストや問題集を使った独学による反復学習法でも、十分合格を狙えるはずです。

また、三冷試験の合格基準は〝満点の60%程度〟なので、なにも本試験で満点を目指す必要はまったくありません。
《三冷試験:全科目》
年度 受験者数 合格者数 合格率
H24 8,160 2,675 32.8%
H25 8,839 3,023 34.2%
H26 9,022 1,714 19.0%
H27 9,801 2,534 25.9%
H28 8,913 3,106 34.8%
《三冷試験:法令のみ》
年度 受験者数 合格者数 合格率
H24 1,520 1,417 93.2%
H25 1,767 1,392 78.8%
H26 1,758 868 49.4%
H27 2,448 1,758 71.8%
H28 2,424 2,167 89.4%
なお、参考までに、第三種冷凍機械責任者試験の過去問題を下記にいくつか載せておくので、試験に関心のある方は現時点におけるあなた自身の実力を試してみてください。
問1:法令

次のイ、ロ、ハの記述のうち正しいものはどれか。

イ.冷凍のための設備を使用して高圧ガスの製造を使用とする者が、都道府県知事の許可を受けなければならない場合の1日の冷凍能力の最小の値は、冷媒ガスである高圧ガスの種類に関係なく同じである。

ロ.第一種製造者は、製造設備について定められた軽微な変更の工事をしたときは、その完成後遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

ハ.容器に充てんされた冷媒ガス用の高圧ガスの販売の事業を営もうとする者(定められた者を除く。)は、販売所ごとに、事業開始の日の20日前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

   (1)イ (2)ロ (3)イ、ハ (4)ロ、ハ (5)イ、ロ、ハ

問2:法令

次のイ、ロ、ハの記述のうち、この事業所に適用される技術上の基準について正しいものはどれか。

イ.専用機械室を運転中強制換気できる構造とした場合は、冷媒設備に設けた安全弁には、放出管を設けなくてもよい。

ロ.冷媒設備の配管の変更工事の完成後に行う気密試験は、許容圧力以上の圧力で行わなければならない。

ハ.製造設備に設けたバルブ又はコックが操作ボタン等により開閉されるものである場合は、その操作ボタン等には、作業員がその操作ボタン等を適切に操作できるようにすることができるような措置を講じなければならない。

   (1)イ (2)ハ (3)イ、ロ (4)ロ、ハ (5)イ、ロ、ハ

問3:法令

次のイ、ロ、ハの記述のうち、正しいものはどれか。

イ.高圧ガスの販売の事業を営もうとする者は、その高圧ガスの販売について販売所ごとに、都道府県知事の許可を受けなければならない。

ロ.冷凍保安規則に定められている高圧ガスの廃棄に係る技術上の基準に従うべき高圧ガスは、可燃性ガス及び毒性ガスに限られる。

ハ.冷凍設備に用いる機器の製造の事業を行う者(機器製造業者)が所定の技術上の基準に従って製造しなければならない機器は、不活性のフルオロカーボンを冷媒ガスとする冷凍機のものにあっては、1日の冷凍能力が5トン以上のものである。

(1)イ (2)ハ (3)イ、ロ (4)ロ、ハ (5)イ、ロ、ハ

【平成24年度試験より】

問4:法令

次のイ、ロ、ハの記述のうち、冷凍のため高圧ガスの製造を第一種製造者(認定保安検査実施者である者を除く)が受ける保安検査について正しいものはどれか。

イ.保安検査は、高圧ガスの製造の方法が所定の技術上の基準に適合しているかどうかについて行われる。

ロ.特定施設について高圧ガス保安協会が行う保安検査を受け、その旨を都道府県知事に届け出た場合は、都道府県知事が行う保安検査を受ける必要はない。

ハ.保安検査を冷凍保安責任者に行わせなければならない。

  (1)ロ (2)ハ (3)イ、ロ (4)イ、ハ (5)イ、ロ、ハ

【平成24年度試験より】

問5:法令

次のイ、ロ、ハの記述のうち、製造設備が定置式製造設備である第一種製造者の製造施設に係る技術上の基準について冷凍保安規則上正しいものはどれか。

イ.配管以外の冷媒設備について行う耐圧試験は、その他の液体を使用して行うことが困難であると認められる時は、空気、窒素等の気体を利用して行うことができる。

ロ.圧縮機と凝縮器との間の配管が、引火性又は発火性の物(作業に必要なものを除く)をたい積した場所の付近にあってはならない旨の定めは、認定指定設備である製造設備には適用されない。

ハ.冷媒設備の配管の取替えの工事を行うとき、その配管を設計圧力及び設計温度における最大の応力に対し十分な強度を有するものとすれば、気密試験の実施を省略することができる。

  (1)イ (2)ハ (3)イ、ロ (4)ロ、ハ (5)イ、ロ、ハ

【平成24年度試験より】

問1:保安管理技術

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、圧縮機について正しいものはどれか。

イ.スクリュー圧縮機は、容積式で高圧力比に適しているため、ヒートポンプや冷凍用に利用されることが多い。

ロ.開放および半密閉の圧縮機ではシャフトシールが必要であるが、全密閉圧縮機はシャフトシールは不要である。

ハ.停止中の圧縮機クランクケース内の油温が高いと、油に冷媒が溶け込む溶解量は大きくなり、始動時にオイルフォーミングを起こす。

二.容量制御装置は、多気筒圧縮機の負荷減少時の容量を制御するとともに、圧縮機始動時の負荷軽減装置としても使用される。

   (1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)イ、ニ (4)ロ、ハ (5)ハ、ニ

【平成21年度試験より】

問2:保安管理技術

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、凝縮器について正しいものはどれか。

イ.凝縮負荷は冷凍能力に圧縮機駆動の軸動力を加えたものであるが、凝縮温度が高くなるほど凝縮負荷は大きくなる。

ロ.水冷式シェルアンドチューブ凝縮器は円筒胴、管板、冷却管および水室カバーから構成され、高温高圧の冷媒ガスは冷却管内を流れる冷却水により冷却され、凝縮液化する。

ハ.水あかは熱伝導率が大きく、熱の流れを妨げる。その結果、熱通過率が小さくなり、凝縮器能力が減少し、凝縮温度が上昇するので、圧縮機の軸動力は増加する。

ニ.受液器兼用凝縮器を使用した装置で、冷媒を過充てんすると液面が上昇し、冷却管の一部が液に浸されて、凝縮に有効な伝熱面積が減少し、凝縮温度は上昇するが液の過冷却度はほとんど変わらない。

  (1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)ハ、ニ (4)イ、ロ、ニ (5)ロ、ハ、ニ

【平成23年度試験より】

問3:保安管理技術

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、安全装置について正しいものはどれか。

イ.すべての圧縮機には安全弁の取付けが義務づけられているが、その口径は冷凍装置の冷凍能力に応じて定められている。

ロ.容器に取り付ける安全弁の口径は、容器の外径、容器の長さおよび冷媒の種類ごとに高圧部、低圧部に分けて定められた定数によって決まる。

ハ.溶栓はシェル形凝縮器の高温の圧縮機吐出しガスで加熱される部分に取り付け、この温度を感知して、圧力の異常な上昇を防ぐように作動する。

ニ.通常、高圧遮断装置は、安全弁噴出前に圧縮機を停止させ、高圧側圧力の異常な上昇を防止するために取り付けられ、原則として手動復帰式である。

  (1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)イ、ニ (4)ロ、ハ (5)ロ、ニ

【平成23年度試験より】

問4:保安管理技術

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、冷凍の原理について正しいものはどれか。

イ.冷媒は、冷凍装置内で熱を吸収して蒸気になったり、熱を放出して液になったりして、状態変化を繰り返す。
ロ.蒸発器で冷媒が蒸発するときに潜熱を周囲に与える。
ハ.冷凍装置の冷凍能力は、凝縮器の凝縮負荷よりも小さい。
ニ.凝縮器の凝縮負荷は、凝縮器内の冷媒液から冷却水や外気に放出される熱量のことである。

  (1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)ロ、ハ (4)ロ、ニ (5)ハ、ニ

【平成24年度試験より】

問5:保安管理技術

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、冷凍装置の保守管理について正しいものはどれか。

イ.シャフトシールに汚れた潤滑油が入ると、シール面を傷つけて冷媒漏れを起こすことがある。
ロ.フルオロカーボン冷凍装置に水分が混入しても、装置に障害を引き起こすことはない。
ハ.圧縮機において潤滑油量の不足や油ポンプの故障などで油圧が不足すると、潤滑作用が阻害される。
ニ.圧縮機のシリンダの温度が加熱運転により上昇すると、潤滑油が炭化し分解して不凝縮ガスを生成することがる。

  (1)イ、ロ (2)ロ、ハ (3)ハ、ニ (4)イ、ロ、ハ (5)イ、ハ、ニ

【平成24年度試験より】
先に説明したとおり、第三種冷凍機械責任者試験の解答法は、少し独特で正解の選択肢が1つとは限らないので、知識は正確にインプットしておくことが大切です。

ちなみに、高圧ガス保安協会が開催している所定の講習過程を終了すれば「保安管理理術」科目については免除申請することができます。

そのため、できる限り一発合格したい!あるいは、時間やお金に余裕があるという方は、この試験科目の一部免除制度を利用するのも一法です(詳細については、公式サイト等をご覧ください)。

※ 受講者は検定試験に合格しなければ意味がありませんが、本試験に比べると検定試験の方が易しく感じるようで、比較的、高い合格率(H25年度前期:83.9%)を示しています。
解答
法令 問1 問2 問3 問4 問5
4 4 4 1 1
保安管理技術 問1 問2 問3 問4 問5
3 1 5 2 5