通訳案内士試験の合格率top
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通訳案内士とは、国土交通省が認定する国家資格で、観光庁長官が実施(独立行政法人・国際観光振興機構(日本政府観光局)が試験事務を代行)する〝通訳案内士試験〟に合格することが取得条件のひとつとなっています。

そのため、報酬をもらい受けて、日本に訪れた外国人旅行(観光)者などに付き添い、外国語を用いてガイド業務を行うには、必ず通訳案内士の資格が必要です。

※ 違反者は50万円以下の罰金【通訳案内士法】。ただし、特例により、特区に指定されれている地域においては、通訳案内士以外の者(自治体の研修を終了し登録した特区案内士)も外国人に対し有償でガイド業務を行うことができる。

通訳案内士は、語学系資格の中では、唯一の国家資格であり、試験の難易度もそれなりに高いと言われています。

そこで、これまでの試験データ(受験者・合格者・合格率など)を基に、通訳案内士試験の難易度について、少し客観的に分析してみましょう。
受験者 矢印
《国家試験》
筆記試験
矢印
口述試験
矢印
都道府県に登録
矢印
通訳案内士



徹底分析!通訳案内士試験:合格率の推移状況

通訳案内士試験の筆記試験は、10ヵ国語から1ヵ国語を選択することになりますが、受験者数が圧倒的に多い外国語は、やはり英語です。
チェック英語 チェック中国語 チェック韓国語
(H18年度:朝鮮語から変更)
チェックフランス語 チェックイタリア語
チェックスペイン語 チェックポルトガル語 チェックタイ語
(H18年度より追加)
チェックドイツ語 チェックロシア語
そこで、まずは最も人気の高い英語選択者の試験結果からみていくことにしましょう。

平成17年度以降は、受験者数をベースに合格率が算出されているため、それまで出願者数で算出していた数値に比べると合格率が上昇するのは当然ですが、それにしても、平成17年度以降、合格者数が大幅に増加していることが見てとれます。

※ 通常、実際の受験者数は出願者数よりも1~2割程度少なくなる傾向が強い(理由:忙しくて受けに来なかった…など)
実施年度 出願者数 受験者数 合格者数 合格率
平成14年度 4,620 ----- 185 4.0% (-0.9)
平成15年度 5,142 ----- 204 4.0% (±0.0)
平成16年度 5,285 ----- 269 5.1% (+1.1)
平成17年度 ----- 4,279 450 10.5% (+5.4)
平成18年度 ----- 4,684 787 16.8% (+6.3)
平成19年度 ----- 5,585 1,189 21.3% (+4.5)
平成20年度 ----- 5,244 1,065 20.3% (-1.0)
平成21年度 ----- 4,715 716 15.2% (-5.1)
平成22年度 ----- 4,136 495 12.0% (-3.2)
平成23年度 ----- 3,197 467 14.6% (+2.6)
平成24年度 ----- 2,991 398 13.3% (-1.3)
平成25年度 3,348 2,885 892 30.9% (+17.6)
平成26年度 ----- 5,352 1,422 26.6% (-4.3)
平成27年度 ----- 8,491 1,822 21.5% (-5.1)
平成28年度 ----- 8,427 2,006 23.8% (+2.3)
※ 合格率:H16年度までは出願者数、 それ以降は受験者数を基に算出。
これは訪日外国人観光客が増加する中、受入体制の強化の一環として、資格所有者を確保することなども背景にあったと思われますが、合格率が上昇した要因には、おそらく試験制度の改正(免除科目の追加や試験問題の一部改正など)が大きく影響しているはずです。
通訳案内士試験:英語の合格率推移グラフ
特に平成25年度の通訳案内士試験(英語)は、合格率が急激に上昇していますが、この年は一次試験の問題構成が一部改正されており、その変更点が試験結果に大きく反映されました(下記グラフ参考:1次試験の合格率が大幅に上昇)。
通訳案内士:英語試験の分析グラフ
さらに、翌年の平成26年度には、免除科目の追加があったため、英語選択者の受験者数が大幅増となっています。

その後も受験者数は年々増加傾向にありますが、この背景には、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、関心が高まっていることを伺わせます。

このように、通訳案内士試験は、試験制度の変更が行われるたびに、受験者数や合格率が激しく変動したり情勢の変化が影響してくるので、、受験者は試験制度の改正点や情勢にも、十分目を光らせておくことが大切です。

また、通訳案内士試験(英語)の合格者数を男女別に見てみると、数年前までは女性の方が男性を上回っていましたが、最近は逆転現象が起きており、女性よりも男性の方が数を上回る(最近は同数程度)ようになってきている点は非常に興味深いところです。

とはいえ、合格率に関しては、男女の間に大きな差は見られないので、性別によって合格が優位になるようなことはさなそうです。

では次に、英語選択者以外の試験結果についても、少し分析しておきましょう。

下記に示す資料は、外国語別の試験結果です。
平成23年度 平成24年度 平成25年度
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
英語 3,197 467
(240)
14.6% 2,991 398
(190)
13.3% 2,885 892
(420)
30.9%
フランス語 220 61
(42)
27.7% 195 45
(30)
23.1% 189 41
(29)
21.7%
スペイン語 142 43
(31)
30.3% 102 24
(12)
23.5% 120 29
(16)
24.2%
ドイツ語 70 18
(16)
25.7% 67 15
(11)
22.4% 52 13
(7)
25.0%
中国 1,101 163
(109)
14.8% 1,049 143
(102)
13.6% 917 137
(81)
14.9%
イタリア語 61 20
(13)
32.8% 54 11
(10)
20.4% 60 12
(9)
20.0%
ポルトガル語 42 5
(0)
11.9% 46 9
(5)
19.6% 49 6
(4)
12.2%
ロシア語 82 15
(12)
18.3% 72 13
(10)
18.1% 79 17
(9)
21.5%
韓国語 557 100
(72)
18.0% 409 52
(32)
12.7% 336 52
(33)
15.5%
タイ語 13 2
(1)
15.4% 15 3
(2)
20.0% 19 2
(1)
10.5%
平成26年度 平成27年度 平成28年度
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
英語 5,352 1,422
(704)
26.6% 8,491 1,822
(893)
21.5% 8,427 2,006
(1,011)
23.8%
フランス語 252 49
(34)
19.4% 321 71
(50)
22.1% 334 67
(41)
20.1%
スペイン語 171 27
(18)
15.8% 235 43
(25)
18.3% 253 59
(32)
23.3%
ドイツ語 78 19
(13)
24.4% 99 24
(19)
24.2% 99 31
(14)
31.3%
中国 906 81
(38)
8.9% 1,200 86
(45)
7.2% 1,476 140
(74)
9.5%
イタリア語 65 9
(4)
13.8% 80 4
(2)
5.0% 119 15
(14)
12.6%
ポルトガル語 62 9
(7)
14.5% 72 15
(6)
20.8% 62 10
(2)
16.1%
ロシア語 84 11
(6)
13.1% 103 10
(5)
9.7% 111 13
(9)
11.7%
韓国語 290 30
(20)
10.3% 323 40
(27)
12.4% 379 60
(31)
15.8%
タイ語 30 1
(0)
3.3% 51 4
(0)
7.8% 47 3
(0)
6.4%

※ ( )内は女性
そして、この資料を基に外国語別の合格率推移状況を折れ線グラフに置き換えた資料がこちらになります。
外国語別合格率推移グラフ
このデータによると、平成25年度までは、選択した外国語によって、試験合格率は概ね±10~20%前後の差が見られ、いずれの外国語も、概ね20~30%(外国語によっては1ケタ)の間で推移していましたが、近年は全体的に、やや変動が激しいようです。

今後、どのような推移を示すかは分かりませんが、数値の上では、どの外国語を選択したとしても、難易度の高い試験であることは間違いありません。

最後に平成25年度・平成28年度の通訳案内士試験の合格者内訳(外国語別、年齢別、職業別)をグラフにまとめておくので、試験に興味のある方は参考にしてみてください。
通訳案内士:試験結果の分析グラフ




合格率からみた通訳案内士試験の難易度

受験者が最も多い英語選択者を例にとりますが、ここ数年における通訳案内士試験の合格率は、平成25年度以降、20%台で推移(それ以前は、概ね10~20%の間)しています。

一桁台で推移していた頃に比べると、合格率は上昇しましたが、必ずしも安定した推移を示しているわけではありません。

この点については、筆記試験(外国語)の評価方法が、これまでの相対評価から絶対評価へと変更されたことが要因のひとつと考えられます。
チェック外国語についての筆記試験は、各語学ごとに〝70点〟を合格基準点とする。
  ※ 平均点が60点程度となることを前提に、概ね70点を合格基準点とする。

チェック日本地理、日本歴史、一般常識は、各科目とも〝60点〟を合格基準点とする。
  ※ 各科目において、平均点が60点程度となることを前提に、概ね60点を合格基準点とする。

※ この合格基準は、あくまで目安です。実際の平均点によって合格基準点は調整されます。
相対評価試験 絶対評価試験
「受験者の上位●%」といったように成績上位の者から順に合格する試験制度。単純に合格基準さえ満たせば良いという試験ではないため、受験者同士で競い合わなければならず、受験者自身の本当の実力が問われやすい。そのため、母集団の能力が高い(ライバルの成績が上がる)と、基準レベル自体が高くなるが、絶対評価試験のように試験問題の難易度によって合否が左右されるといったことは少なくなる。 規定の合格基準(例 … 100点満点中70点以上で合格)さえ満たしていれば、原則、合格する試験制度。つまり、試験機関が事前に公表している合格基準さえ満たせばよく、受験者同士で競い合うことがない。そのため、試験問題の難易度により、合格者数(合格率)が大幅に変動しやすいのが特徴(試験問題が易しいと大量に合格者数が出るが、試験問題の難易度が高い時期に受験すると合格者数も激減してしまう、いわば運的な要素も強い)。
また、通訳案内士試験は、単純に語学力を測定するだけの試験ではありません。

つまり、旅行ガイドとして、日本を訪れた外国人旅行者等に日本文化(地理や歴史、一般常識)を知ってもらうための知識が必要になってきます。

そのため、語学力に関しては自信がある!というだけでは試験に合格することは難しいので、受験者によっては英検などに比べると難易度が高いと感じられる方も少なくないようです。
過去問題:一般常識(H22年度試験より)

外国人観光客が多く訪れる銀座には、従来は高級ブランドの路面店が多く見られたが、最近では新規出店が中止になったり、閉鎖になったりする動きがある。一方で、「ZARA」「へネス・アンド・モーリッツ」「アバクロンビー&フィッチ」「フォーエバー21」などの外資系の出店をはじめ、日本の「ユニクロ」が店舗を増床するなどの従来と異なる動きが盛んに見られる。これらのブランドの商品は、安くて気軽に入手できることに特徴がある。日本ではこのようなスタイルのブランドを総称して何と呼ばれているか。


① ファストカジュアル ② ファストアパル ③ シンプルモード ④ ファストファッション ⑤ シンプルファッション