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通訳ガイドとは… 通訳ガイドになるための基礎知識

通訳ガイドとは、いったいどんな職業の人を指すのか・・・?

一言で説明するなら〝外国人旅行者を相手とした観光ガイドのプロ〟とでも言えばいいのでしょうか。

日本国内においては「報酬を得て、外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をする者」を〝通訳案内士〟と呼び、彼(彼女)らは、通訳案内士法の規制対象となりますが、普段、何げなく口にしている〝通訳ガイド〟とは、この通訳案内士の通称であり、双方の役割りや扱いに違いはありません。

したがって、通訳ガイドを職業とする者は、通訳案内士法を順守しなければなりませんが、特に注目したいのが、通訳ガイドとして働くには、官公庁長官が行う(実際に試験を実施しているのは、通訳案内士法に基づく国の試験事務代行機関である日本政府観光局【JNTO】)国家試験に合格した者でなければならない!ということです。

しかも、ただ試験に合格しただけではダメで、その後、都道府県に氏名、住所等を登録する必要があります。
第2条:通訳案内士は、報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。以下同じ。)を行うことを業とする。

第3条:通訳案内士試験に合格した者は、通訳案内士となる資格を有する。

第36条:通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行つてはならない。

第37条:通訳案内士でない者は、通訳案内士又はこれに類似する名称を用いてはならない。

【通訳案内士法より一部抜粋】
もし仮に、この手続きを踏まずに報酬を得るような通訳ガイドを行なっていると、50万円以下の罰金に処されてしまう場合もあるので、知らなかったでは済まされない重要な知識です。

※注目:近年、法で守られてきた通訳案内士の独占業務(資格がなければ特定の業務が行えないこと)を廃止しようという動きがあるようです。この背景(裏)には、黒い噂もありますが、いずれにせよ、通訳案内士の資格は、独占業務であってこその資格なので、今後の動向に注目しましょう。

また、意外と知られていませんが、通訳案内士は〝名称独占資格〟でもあるため、資格のない者が通訳案内士と名乗ってはいけないだけでなく、それに類似する名称(つまり、通訳ガイドも含まれる)も名乗ることはできません。
地域限定通訳案内士とは…
平成18年、これまで施行されてきた通訳案内業法の一部改正が行われ名称の変更(『通訳案内業法』→『通訳案内士法』)や、無資格者に対する罰則強化などが盛り込まれましたが、各地域における観光促進の一環として、新たに〝地域限定通訳案内士〟という資格が創設されました。

この地域限定通訳案内士の仕事内容自体は、従来の通訳案内士(通訳ガイド)と同じですが、その業務は登録を受けた区域(都道府県)内のみに制限されるという点で異なってきます。

※ 双方の試験内容(外国語は共通の問題を使用(ただし、地域限定通訳案内士試験は、各都道府県によって選択できる外国語の種類が異なってくるので要確認!))や難易度に上下はありません。
地域限定通訳案内士試験の実施区域
北海道 / 岩手県 / 栃木県 / 静岡県 / 長崎県 / 沖縄県の6道県でスタート
また、意外と勘違いされている方も多いようですが、この地域限定通訳案内士は、都道府県知事が行う試験なので、国家資格ではなく〝公的資格〟の扱いになるということも押えておきましょう。

とはいえ、この地域限定通訳案内士は、制度開始後、休止や廃止をする県が増え、平成28年度現在は沖縄を除く他の地域は、すべて休止や廃止となっているので、資格を取得するメリットはほとんどありません(というか、取りたくてもとれない…)。

※参考:地域限定通訳案内士の登録者数【2014年12月現在の】:北海道(86人)岩手県(34人)栃木県(30人)静岡県(49人)長崎県(44人名)沖縄県(139人)
地域限定通訳案内士試験の実施区域
・北海道、栃木県矢印平成23年度の試験をもって休止
・静岡県、長崎県矢印平成23年度の試験をもって廃止
・岩手県矢印平成23年度の試験をもって休止

※休止の地域も、今後、試験の実施予定はないというのが現状…



コレだけは押える!通訳ガイド(通訳案内士)資格試験情報

通訳ガイド(通訳案内士)として働くには、日本政府観光局【JNTO】が実施している〝通訳案内士試験〟をパスしなければなりません。

そこで、参考までに通訳案内士試験の試験概要について以下にまとめておきましょう。
受験資格 特になし
受験料 11,700円(2ヵ国語受験:23,400円)
試験日 ・筆記試験 8月下旬~9月上旬
・口述試験 12月上旬
試験形式

試験科目
筆記試験 《1次》
① 外国語:英語(マークシート方式)中国語・韓国語(記述式とマークシート方式)フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語(記述式)

② 日本地理:マークシート方式
③ 日本歴史:マークシート方式
④ 産業、経済、政治及び文化に関する一般常識:マークシート方式

口述試験 《2次》
・ロールプレイング方式(主に実際のガイド現場を想定した質疑応答)
試験時間

問題数
外国語:120分(概ね、外国語文の読解は2題、外国語文和訳・和文外国語訳・ 外国語による説明・単語外国語訳は各1題を基準とする)
日本地理・歴史・一般常識:各40分(各40問程度)
合格基準
(評価項目)
筆記試験
 ・外国語 ……………… 原則として70点を合格基準点とする
 ・日本地理・歴史 …… 原則として70点を合格基準点とする
 ・一般常識 …………… 原則として60点を合格基準点とする

口述試験
 ・試験官ごとに基準が大きく異なることがないよう、あらかじめ以下の評価項目ごとに、具体的な合格基準を設定しておく。
  その上で、すべての評価項目について当該合格基準を満たしているか否かを判定。

《評価項目》
・聞き取り能力・表現力・発音及び文法の正確性・回答能力(臨機応変な反応力を含む。)
・その他、旅行者に対する配慮の適切性、通訳案内業務に対する十分な意欲等通訳案内士として必要な適正
試験地 筆記試験 …… 札幌、仙台、東京近郊、名古屋、大阪近郊、広島、福岡、那覇、ソウル、台北
口述試験 …… 英語・中国語・韓国語 … 東京近郊、大阪近郊、福岡 / その他の外国語 … 東京近郊
問合せ先 国際観光振興機構(JNTO)通訳案内士試験係
〒100-0006
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館10階
TEL:03-3216-1903(平日のみ)
※注 … 受験者は必ず公式HPなどで、最新情報を確認してください!

なお、通訳案内士試験は、受験科目の一部免除制度が導入されているので、受験者で、次に示す条件に該当するような方は、免除申請を忘れずに行ってください。
受験者の負担を軽減する免除制度
受験科目の
一部免除制度
・実用英語検定1級合格者、TOEIC公開テスト840点以上 …など(英語免除)
・総合(国内)旅行業務取扱管理者(地理免除)
・一般(国内)旅行業務取扱主任者(地理免除)
・歴史能力検定日本史1級・2級合格者(歴史免除)
・地域限定通訳案内士試験合格者 …など
科目合格制 「外国語」「日本地理」「日本歴史」「一般常識」の科目中、前年度筆記試験において合格点を得た者は、その合格科目のみ、
翌年度まで申請により免除。筆記試験(全科目)合格者は、翌年度まで申請により筆記試験を免除(つまり、口述試験のみ受験)
※ 免除制度の詳細については、必ず各自で確認(公式HPや受験案内など)してください。
通訳案内士試験は、単なる語学力を測定するだけの試験ではありません。

語学に関する唯一の国家試験として、国の法律に基づいて実施される試験である以上、合格するにはそれなり実力を求める一定レベルの基準が設けられています。
平成26年度 平成27年度 平成28年度
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
英語 5,352 1,422 26.6% 8,491 1,822 21.5% 8,427 2,006 23.8%
フランス語 252 49 19.4% 321 71 22.1% 334 67 20.1%
スペイン語 171 27 15.8% 235 43 18.3% 253 59 23.3%
ドイツ語 78 19 24.4% 99 24 24.2% 99 31 31.3%
中国 906 81 8.9% 1,200 86 7.2% 1,476 140 9.5%
イタリア語 65 9 13.8% 80 4 5.0% 119 15 12.6%
ポルトガル語 62 9 14.5% 72 15 20.8% 62 10 16.1%
ロシア語 84 11 13.1% 103 10 9.7% 111 13 11.7%
韓国語 290 30 10.3% 323 40 12.4% 379 60 15.8%
タイ語 30 1 3.3% 51 4 7.8% 47 3 6.4%
従来の試験制度に比べると、近年は、比較的、合格しやすい制度に移行しつつあると言われていますが、難易度は決して低くはありません。

専門スクールを利用するにせよ、独学にせよ、しっかりと試験対策を行う必要があります。