貿易実務検定試験の合格率と難易度top
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日本貿易実務検定協会が主催する貿易実務検定は、比較的、実務に役立つスキルが習得できるとして、貿易関連企業を中心に人気がある民間資格です。

※補足:平成28年3月時点での受験申込者数の累計は約15万人。

そこで、受験者の能力に応じて3クラスに分かれている貿易実務検定の中で、最も受験者が多いC級試験の難易度について、少し客観的に分析してみたいと思います。

※補足:貿易実務検定は、これまでA級、準A級、B級、C級の4ランクに分かれていましたが、A級と準A級のクラス統合により、平成27年度試験から〝新A級〟クラスが誕生(旧A級を引き継ぐ形のようで、平成27年度7月の新A級試験は第11回として実施)しています。
ランク別にみた貿易実務検定の対象者
A級 実務経験(3~4年以上) 貿易実務において判断業務を行うことができる実力を証明するレベル
B級 実務経験(1~3年以上) 貿易実務経験者の中堅層を対象としたレベル
C級 1~3年以上 定型業務をこなすために必要な知識があることを証明する基礎レベル



分析!合格率からみた貿易実務検定の難易度

貿易実務検定の歴史は比較的まだ浅く、第1回試験が実施されたのは平成10年(1998年)3月のことですが、現在は年5回ほど実施されているため、試験データはそれなりに集まっています。

そこで、貿易実務検定C級試験の試験結果(受験者、合格者、合格率など)を表にまとめてみました。
貿易実務検定C級試験の結果
申込者数 受験者数 合格者数 合格率
H10 3月(第1回) 874 787 599 76.1% -----
12月(第2回) 534 453 272 60.0% (-16.1)
H11 3月(第3回) 915 807 335 41.5% (-18.5)

H24 3月(第44回) 2,795 2,257 1,430 63.4% (+15.8)
7月(第45回) 2,596 2,106 1,258 59.7% (-3.7)
10月(第46回) 1,951 1,547 944 61.0% (+1.3)
12月(第47回) 2,730 2,218 1,193 53.8% (-7.2)
H25 3月(第48回) 2,829 2,293 1,287 56.1% (+2.3)
7月(第49回) 2,691 2,236 1,138 50.9% (-5.2)
10月(第50回) 1,743 1,409 896 63.6% (+12.7)
12月(第51回) 2,454 2,003 1,316 65.7% (+2.1)
H26 3月(第52回) 2,631 2,134 1,311 61.4% (-4.3)
5月(第53回) 1,209 877 575 65.6% (+4.2)
7月(第54回) 1,917 1,588 875 55.1% (-10.5)
10月(第55回) 1,818 1,387 778 56.1% (+1.0)
12月(第56回) 2,465 2,042 1,247 61.1% (+5.0)
H27 3月(第57回) 2,202 1,631 1,040 63.8% (+2.7)
5月(第58回) 1,453 1,112 587 52.8% (-1.0)
7月(第59回) 2,086 1,727 923 53.4% (+0.6)
10月(第60回) 1,766 1,414 850 60.1% (+6.7)
12月(第61回) 2,447 2,059 1,201 58.3% (-1.8)
H28 3月(第62回) 2,628 2,189 1,261 57.6% (-0.7)
5月(第63回) 1,467 1,141 628 55.0% (-2.6)
7月(第64回) 1,910 1,603 765 47.7% (-7.3)
10月(第65回) 1,814 1,492 1,109 74.3% (+26.6)
12月(第66回) 2,252 1,860 1,111 59.7% (-14.6)
H29 3月(第67回) 2,158 1,782 1,034 58.0% (-1.7)
さらに日本貿易実務検定協会が公式サイトで公開している上記データを基に、C級試験の受験者数と合格者数、合格率の推移状況を一目で分かるよう、グラフにまとめた資料がこちらになります。
貿易実務検定C級の合格者推移グラフ
このデータによると、試験開始当初の受験者数は1,000人以下でしたが、その後は増減を繰り返しながら緩やかに増え続け、近年は概ね2,000人前後で落ち着いているようです。
貿易実務検定C級の合格率推移グラフ
一方、合格率はというと、一般的に創設されたばかりの資格試験は、どちらかというと数値が高めなケースが多く、その後、徐々に下がり、ある程度回数を重ねると落ち着くといった特徴が見られますが、貿易実務検定も同じような傾向が見られ、第1回試験の合格率は76.1%と最も高い数値を示しています(その後は、下降…)。

したがって、試験開始当初時に比べれば、合格しにくい状況にあることが伺えますが、それでもまだ、依然として高水準を維持していることから、内容の難易度はそれほど高いとは言い難く、貿易実務検定C級試験は独学でも十分合格が狙える試験といえそうです。



分析!試験制度からみた貿易実務検定の難易度

貿易実務検定は、ランク(A~C級)によって試験内容(出題形式や試験時間など)が異なってきますが、C級の試験問題はすべて選択式のマークシート方式で行われます。

そのため、記述式問題が出題される上位級(A級)に比べると受けやすい試験といえるでしょう。
A級 B級 C級
試験科目 貿易実務 ……………… 200点
貿易実務英語 ………… 150点
貿易マーケティング… 100点
貿易実務 ……………… 150点
貿易実務英語 ………… 100点
貿易マーケティング… 50点
貿易実務 ……… 150点
貿易実務英語 … 50点
試験時間 貿易実務・貿易マーケティング … 120分
貿易実務英語 …70分
貿易実務・貿易マーケティング … 105分
貿易実務英語 … 60分
貿易実務 ……… 90分
貿易実務英語 … 45分
試験形式 選択式 + 記述式 選択式 選択式
実務経験の有無と英語力
貿易実務検定は、どちらかというと実務色の強い試験なので、実務経験がないことに関して不安になる受験者もいるようですが、C級試験に関していえば、実務経験の有無はそれほど影響しません。

ただし、貿易実務検定は、非常に特殊な専門業務的な知識が問われるため、テキストだけではどうしても理解しづらい面があることから、まったくないよりもあった方が有利であることは確かです。

また、貿易実務検定は、試験科目に〝貿易実務英語〟があるため、英語を苦手とする受験者にとっては難易度が高いと感じられるようです。

しかし、貿易実務検定で求められる英語力自体はそれほど高くないので、英検3級レベルの問題が難なく解けるようであれば、十分対処できると思われます。

※ ただし、下記出題例(過去問)のように、専門的な単語が出題されるため、英語が得意だからといって侮ると痛い目をみるので、しっかりと試験対策を行っておきましょう!
過去問

次の用語の意味を下記から1つ選び、その記号を解答欄にマークしなさい。

1. Repeat Order 6. House Air Waybil
2. Validity 7. Received B/L
3. Export Permit 8. Sales Confirmation
4. Unconfirmed Letter of Credit 9. Draft At Sight
5. Total Loss Only 10. Delivery Order

(a) 全損担保 (b) 船積船荷証券 (c) マスター・エア・ウェイピル (d) 取消不能信用状 (e) 輸出申告書(f) 船積指図書 (g) 期限付手形 (h) 荷渡指図書 (i) 一覧払い手形 (j) 売買契約書(k) リピート (l) 販売確認書 (m) 受取船荷証券 (n) 貨物受取書 (o) 混載航空運送状(p) 全損のみ担保 (q) 無確認信用状 (r) 輸出許可書 (s) 有効期限 (t) 追加注文

【第37回:C級試験より】


豆知識:科目免除制度とは…

「貿易実務英語」科目において、80%以上の得点(40点以上/50点満点)を修めた受験者が対象となる免除制度です。具体的には、C級試験の合格基準点となる160点に届かなかった不合格者であっても、「貿易実務英語」科目において、この条件を満たしていた受験者は、次回より計4回実施(1年間)のC級試験における貿易実務英語科目の免除が受けられます。※ 免除を受けるには、C級試験の受験申込みの際、免除を受ける手続きが必要となるので要注意!