そこで、これまでの試験データを基に、第一種電気工事士試験の難易度について少し客観的に分析してみましょう。
第一種電気工事士は、昭和62年に行われた法改正(電気工事士法・電気工事業法)により誕生した資格なので、30年ほどの歴史がありますが、平成14年度以降の筆記試験の試験結果は下記表のとおりです。
\ | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 (100点満点 / 計50問) |
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H14 | 30,289 | 26,310 | 11,093 | 42.2% | (-1.9) | 58点(29問) |
H15 | 31,929 | 27,242 | 11,350 | 41.7% | (-0.5) | 58点(29問) |
H16 | 30,882 | 26,009 | 10,756 | 41.4% | (-0.3) | 60点(30問) |
H17 | 30,951 | 25,999 | 11,370 | 43.7% | (+2.3) | 60点(30問) |
H18 | 31,069 | 26,421 | 10,966 | 41.5% | (-2.2) | 58点(29問) |
H19 | 30,789 | 26,658 | 11,034 | 41.4% | (-0.1) | 56点(28問) |
H20 | 33,266 | 29,114 | 11,422 | 39.2% | (-2.2) | 56点(28問) |
H21 | 40,966 | 35,924 | 16,194 | 45.1% | (+5.9) | 60点(30問) |
H22 | 41,820 | 36,670 | 15,665 | 42.7% | (-2.4) | 60点(30問) |
H23 | 39,821 | 34,465 | 14,633 | 42.5% | (-0.2) | 56点(28問) |
H24 | 40,557 | 35,080 | 14,927 | 42.6% | (+0.1) | 58点(29問) |
H25 | 42,362 | 36,460 | 14,619 | 40.1% | (-2.5) | 60点(30問) |
H26 | 45,126 | 38,776 | 16,649 | 42.9% | (+2.8) | 60点(30問) |
H27 | 43,611 | 37,808 | 16,153 | 42.7% | (-0.2) | 58点(29問) |
H28 | 45,054 | 39,013 | 19,627 | 50.3% | (+7.6) | 60点(30問) |
そのため、基本的に絶対評価試験(規定の合格基準さえ満たしていれば、原則、合格する試験制度)である第一種電気工事士筆記試験は、合格率が安定した動きを見せていることを踏まえると、本試験問題のレベル(難易度)が、毎年ある程度一定に保たれていると見ることができそうです。
※ ただし、これまでの試験結果(合格点)を振り返ってみると、60点を越えるような年度はないものの、点数の補正はされているので、問題の難易度によって合格ラインが微妙に調整されてはいるようです。
この技能試験の結果を振り返ってみて注目したい点は、筆記試験に比べると、合格率の変動がやや激しいということです。
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また、平成17年度以降、技能試験で出題される問題は事前に公表される仕組みへと変更されたため、受験者側にとって対策が立てやすくなっています。
その結果、合格率の方も上昇傾向にありますが、かえってその制度が受験者の油断を招くこともあるようす。
つまり、得点に結びつくポイントが実務と試験とでは微妙にズレてくることもあるため、自分は実務経験が長いから技能試験対策は特に必要ない!と高を括るのではなく、試験は試験と割り切って十分な対策を心がける必要があるということです。