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分析!ITパスポート試験:合格率の推移

情報処理技術者試験の大幅な改革が行われた結果、これまで実施されてきた試験制度は整理統合(14区分→12区分)され、平成21年度(2009年)より、新たな試験区分の下で各種情報処理技術者試験がスタートしています。

ITパスポート試験は、今回の制度改革によって新たに創設された新試験区分のひとつですが、独立行政法人・情報処理推進機構が主催している各種情報処理技術者試験の中では、入門的な試験として位置づけられていることから、試験自体の難易度はそれほど高くありません。

一般的に、創設されて間もない国家資格は合格率も高い!といった特徴がみられますが、その点に関してはITパスポート試験も例外ではないようで、試験開始当初の合格率は72.9%と非常に高い数値を示しています。

ところが、初回以降、試験の合格率はガクッと急激に下降しており、その後の合格率は、概ね40~50%台で推移していることが見てとれます。


《ITパスポート試験:結果》
年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
2009年 春期(第1回) 46,845 39,131 28,540 72.9%
秋期(第2回) 71,856 61,313 31,080 50.7%
2010年 春期(第3回) 63,680 52,299 22,098 42.3%
秋期(第4回) 71,574 60,056 31,161 51.9%
2011年 春期(第5回)※1 61,984 48,482 21,714 44.8%
秋期(第6回) 55,569 46,545 28,503 61.2%
2012年※2 68,983 62,848 25,796 41.0%
2013年 74,391 67,326 32,064 47.6%
2014年 78,720 71,646 34,215 47.8%
2015年 80,949 73,185 34,696 47.4%
※1 東日本大震災の影響により2ヶ月延期
※2 CBT方式による年間データ
情報処理技術試験の種類
CBT方式導入後の試験データ
ITパスポート試験は、2011年11月より、パソコンを使って試験を行うCBT方式を採用しています。

そのため、CBT方式導入後は、試験回数が年2回と制限されることなく、受験者が都合の良い日に何度でもチャレンジすることが可能です。

そこで、試験センターが年度毎のデータとは別に公表している月別試験データを少し分析してみましょう。

下記に示した表は、CBT方式導入後に実施されたITパスポート試験の資料(受験者数、合格者数、合格率)です。

このデータを見る限りでは、制度改正当初こそ、受験者数が毎月増え続けているということもなければ、合格率が上がり続けている(あるいは、下がり続けている)といったことも特にみられませんでしたが、近年は、どちらかというと受験者数は緩やかな増加傾向にあるようです。

しかし、受験者数が増えているからといって、合格率に関しては特に大幅な変動は見られません。

つまり、数値を基に客観的に分析すると、どちらかといえば、難易度は少しづつ上がっていると見ることができるかもしれません(ただし、試験が受けやすくなったことで、勉強不足の受験者が気軽に受験していることも考えられるため、必ずしも試験問題が難しくなっているとは言い切れません)。
2012年度
実施月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計
受験者 6,061 3,366 3,922 4,444 4,580 5,789 7,217 5,251 5,809 3,866 4,837 7,706 62,848
合格者 1,773 1,353 1,554 1,580 1,750 2,434 2,722 2,052 2,488 1,957 2,467 3,666 25,796
合格率 29.3% 40.2% 39.6% 35.6% 38.2% 42.0% 37.7% 39.1% 42.8% 50.6% 51.0% 47.6% 41.0%
2013年度
実施月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計
受験者 5,229 3,487 4,124 4,536 6,070 6,436 6,316 5,235 6,273 4,724 5,820 9,076 67,326
合格者 2,334 1,959 2,273 2,204 2,833 3,255 2,784 2,378 2,766 2,208 2,804 4,266 32,064
合格率 44.6% 56.2% 55.1% 48.6% 46.7% 50.6% 44.1% 45.4% 44.1% 46.7% 48.2% 47.0% 47.6%
2014年度
実施月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計
受験者 5,019 4,125 4,694 5,205 5,874 5,965 5,596 5,550 6,088 5,439 7,136 10,773 71,464
合格者 2,286 2,238 2,413 2,534 2,882 3,035 2,586 2,667 2,876 2,611 3,380 4,707 34,215
合格率 45.5% 54.3% 51.4% 48.7% 49.1% 50.9% 46.2% 48.1% 47.2% 48.0% 47.4% 43.7% 47.9%
2015年度
実施月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計
受験者 4,858 4,502 5,209 5,237 6,333 6,020 5,194 5,330 6,070 6,319 7,385 10,755 73,185
合格者 2,263 2,373 2,728 2,537 2,943 3,005 2,453 2,558 2,742 2,916 3,445 4,733 34,696
合格率 46.6% 52.7% 52.4% 48.4% 46.5% 49.9% 47.2% 48.0% 45.2% 46.1% 46.8% 44.0% 47.4%
ちなみに、2013年度以降、合格率が平均してやや高く推移しているようにも見えますが、それでも前年度に比べて大幅に上昇したというわけではありません。

ITパストート試験は、創設されてまだ間もない試験区分なので、今後、どのような動きを見せるかは、いまだ不明瞭な点もありますが、試験自体が〝ITに関する基礎知識の習得〟を目的としていることから、試験合格率に関しては、今後も概ね40~50%台を維持し続けるような、比較的、高水準で推移することが予想されます。


合格率からみたITパスポート試験の難易度

ITパスポート試験の難易度はどれくらいなのか・・・?

受験者であれば、当然、気になるところですが、ここでは、試験合格率からみたITパスポート試験の難易度について少し分析してみることにしましょう。

上記に示した合格率推移表からも見て取れるように、ITパスポート試験の合格率は、初回試験こそ70%を超えていますが、第2回目には22.2ポイントマイナスという大幅ダウンが見られます。

いったいなぜ、これほどまで急激に落ち込んでしまったのか気になるところですが、その答えはどうやら、H21年度の秋期試験問題は、前回の春期試験に比べると極端に問題が難しかったために、何かしらの補正を行わないと合格率が30%前後にまで落ち込んでしまうため、さすがにそれでは受験者が気の毒だと思った試験センター側が、その状況を回避するために試験の難易度補正を行ったとされています。

つまり、その結果、合格率は50%まで上昇したわけですが、このようは背景を踏まえると、第2回試験については、問題の難易度が高かったと言われても仕方のないことなのかもしれません。
試験の難易度補正:H21年度秋期

ITパスポート試験では、試験問題の難易度を補正するために、得点調整を行いました。分野別得点について、ストラテジ系分野40点、マネジメント系分野30点、テクノロジ系分野10点を、分野別の満点を上限として、受験者の得点に加算いたしました。なお、合格基準の変更はありません。

【(独)情報処理推進機構 公式HPより抜粋】
しかし、それ以降の試験合格率を見る限りでは、概ね40~50%台で推移していることから、本試験問題の難易度は、そこそこ一定に保たれているとみてよさそうです。

先にも説明しましたが、ITパスポート試験は、あくまで〝ITに関する基礎知識の習得〟を目的としており、基本的な知識が備わっていることを客観的に証明するための試験として位置付けられているので、資格がないと業務が行えないような業務独占権がある難関資格とは違い、受験者を落とすための試験ではありません

したがって、出題範囲は比較的広範ですが、ITに関する初歩的な知識(用語や理解)を広く浅く押えておけば、独学でも十分合格が狙える試験とみて間違いないでしょう。

ITパスポート試験の豆知識

ITパスポート試験は、試験制度改革によって廃止された初級シスアド試験の後継試験であると説明されることもあるようですが、難易度的には、ITパスポート試験の方が低めに設定されており、合格率の方も高水準で推移しています。

ITパスポート試験は、すべて四肢択一のマークシート形式で行われますが、下記に示した過去問を見てもわかるとおり、いずれの分野も初歩的な知識の確認や理解力を問う問題が頻出しています。
過去問題:H22年度 春期試験より一部抜粋

“モノ”の流れに着目して企業の活動を購買、製造、出荷物流、販売などの主活動と、人事管理、技術開発などの支援活動に分けることによって、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析する考え方はどれか。

(ア)コアコンピタンス
(イ)バリューチェーン
(ウ)プロダクトポートフォリオ
(エ)プロダクトライフサイクル

【解答 →(イ)】