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ガス工作物(配管や制圧機器など)を扱う現場では欠かせない国家資格であり、ガス工作物の工事や運用、点検整備などを行う関連会社において安定した需要がありますが、特殊な専門知識やスキルが求められる資格なので、受験者は決して多いとは言えず、試験に関する情報は乏しいようです。
そこで、資格を取得するために避けて通ることのできないガス主任技術者試験とは、いったいどんな試験なのか・・・?
過去の受験者データを分析し、区分別(甲種・乙種・丙種)の合格率や試験の特徴についてまとめておくので、ガス主任技術者の資格取得を目指しているビギナー受験者は、試験対策を始める前に少し参考にしてみてはいかがでしょうか。

資格区分 | 国家資格 |
免状の種類 | 甲種・乙種・丙種 |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 年1回(9月下旬) |
受験手数料 | 12,700円 |
試験会場 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、富山県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県(予定) |
試験時間 | 共通:3時間(マークシート:2時間 / 論述:1時間) |
試験形式 | 共通:マークシート(五肢択一)問題と論述問題 |
試験科目 (範囲) |
① ガス事業関係法令(保安に関するものに限る) ② ガスに関する物理及び化学理論 ③ ガス工作物の工事、維持及び運用に関する技術 ④ ガス工作物の構造及び機能 ⑤ ガスの成分分析及び熱量等の測定 ⑥ ガス器具の構造及び機能 |
合格基準 | 次の各項のすべてを満たす者を合格者とする。 1.マークシート問題及び論述問題の合計得点(300点満点)が180点以上であること。 2.マークシート問題の法令科目(80点満点)の得点が25点以上であること。 3.マークシート問題の基礎科目(50点満点)の得点が15点以上であること。 4.マークシート問題のガス技術科目(100点満点)の得点が30点以上であること。 5.論述問題(70点満点)の得点が20点以上であること。 |
合格率 | 甲種:17.9% 乙種:17.1% 丙種:32.0%(平成28年度) |
問合せ先 | 一般財団法人 日本ガス機器検査協会ガス主任技術者試験センター 〒174-0051 東京都板橋区小豆沢4-1-10 TEL:03-3960-0159 |
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成24年度 | 2,588 | 330 | 12.8% |
平成25年度 | 2,794 | 369 | 13.2% |
平成26年度 | 2,804 | 379 | 13.5% |
平成27年度 | 2,903 | 374 | 12.9% |
平成28年度 | 3,080 | 552 | 17.9% |

近年、受験者数の減少傾向が見られる国家資格も珍しくない中、微増とはいえ、一定の受験者を確保している点を踏まえると、やはり同資格に一定の需要があることがわかります。
一方、試験の合格率はというと、下記グラフからも見てとれるように、甲種試験は、例年、安定した推移を見せていますが、一点気になるのは平成28年度の合格率です。

いずれにせよ、甲種は同資格の中で最もレベルが高いコースだけに、試験の合格率は決して高くありません。
過去5年間(平成24年~平成28年)の平均値は14.1%と低く、10人中1~2人が合格しているという狭き門になっているため、簡単に合格できるような試験ではないことがうかがえます。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成24年度 | 2,331 | 264 | 11.3% |
平成25年度 | 2,421 | 287 | 11.9% |
平成26年度 | 2,498 | 337 | 13.5% |
平成27年度 | 2,685 | 469 | 17.5% |
平成28年度 | 2,924 | 501 | 17.1% |

都市ガスは甲種、プロパンなどの簡易ガスは丙種という棲み分けが自然とできてしまっているためか、これまで甲種や丙種に比べると、乙種はなんとなく影の薄い免状という印象がありましたが、平成28年度に甲種や乙種とほぼ変わらない同水準の受験者数になった点は興味深いとろこで、今後も増え続けるのか注目したいところです。

つまり、甲種同様、10人中1~2人しか合格できない厳しい試験であることは間違いありませんが、ここ数年は緩やかな上昇傾向にあるようで、数年ぶり(平成22年度:20.5%)に20%越えもあるかもしれません。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成24年度 | 3,264 | 667 | 20.4% |
平成25年度 | 3,456 | 779 | 22.5% |
平成26年度 | 3,293 | 933 | 28.3% |
平成27年度 | 2,724 | 730 | 26.8% |
平成28年度 | 2,938 | 939 | 32.0% |

丙種試験といえば、以前は最も人気のある免状でしたが、3,000人を切った平成27年度には、ついに甲種の受験者数が丙種を上回る結果となってしまいました。
翌年の平成28年度には再び増加に転じましたが、3,000人には届かず、乙種との差(±14人)もあまりみられません。
では、試験の合格率はどうなっているのか、少し分析してみましょう。

丙種試験にして、合格率が2~3割ほどという低水準で推移している理由のひとつは、やはり同試験が択一式のマークシート問題に加えて論述問題が出題される点が少なからず影響しているように思われます。
つまり、マークシート問題とは違って、ある程度知識がないと答えることができない(文章が書けない)ため、関連会社などに勤めていて、半ば強制的に取得するよう迫られた勉強不足の受験者などが不合格となっていることが考えられます。
しかし、論述問題の足切りラインは約3割(70点満点中20点以上)と緩いため、ある程度、試験対策を行った上で試験に臨めば、合格ライン程度の得点は稼げるはずなので、論述問題に苦手意識のある受験者も必要以上に心配することはありません。
したがって、まずは過去問を中心に本試験で狙われそうなポイントを重点的に抑えておくことが大切です。
ガス主任技術者は、甲種・乙種・丙種という3種類の免状がありますが、どの種類の試験も合格率は低く、簡単に合格できるような国家試験ではありません。

問題は、試験範囲が広いため、いかに本試験で狙われやすいポイントを押えた学習ができるかということと、記述式の論述問題対策ですが、同試験の合格ラインは足切りラインはあるものの、比較的、緩めに設定(総得点の6割)されているので、まずは過去問題を重点的に学習し、類似問題はしっかりと得点に結びつける実力を身に付けることが大切です。