マンション管理士の難易度top
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名称独占資格マンション数の増加とともに、マンションをめぐる様々な現状(老朽化による大規模修繕/居住者間のトラブル/管理組合の運営/規約改正など)が社会問題化していることから、専門的な知識や経験を活かして適切な助言や指導を行い、これらの問題点を解決(改善)するスペシャリストが求められるとして、国の法律(マンション管理適正化法)に基づき、平成13年度に誕生した新たな国家資格がマンション管理士です。

マンション管理士の資格を得るには、公益財団法人マンション管理センターが実施する国家試験に合格しなければなりませんが、一般に国家資格は民間資格などに比べると難易度は高いとされています。

そこで、マンション管理士試験の難易度が、どれくらいのレベルにあるのか、これまでの受験者データや試験制度を基に少し分析してみましょう。

分析!受験者データからみたマンション管理士試験の難易度

マンション管理士は、平成13年に誕生した、比較的、まだ新しい国家資格ですが、これまでの試験データを振り返ってみると、受験者数こそ緩やかな減少傾向にあるものの、合格率に関しては、例年、ほぼ安定した推移を示しています。

一般的に、合格率が10%を切ってくるような試験は、難易度が非常に高く、合格するのがとても厳しいと言われているため、数値の上ではマンション管理士の試験レベルは極めて高く、行政書士試験や社労士試験に並ぶ難関試験といえるかもしれません。

また、マンション管理士試験は、予め合格ラインが公表されておらず、試験毎に合格点が変動(過去のデータによると、最低ライン30点/最高ライン38点)していることから、これらのデータを踏まえると、合格率が概ね7~9%台で落ち着くよう調節されている〝相対評価〟試験であると見ることができそうです。

※ 相対評価とは?…「受験者の上位●●%」といったように、成績上位の者から順に合格する試験制度。一方、絶対評価とは規定の合格基準さえ満たせば、ほぼ合格する試験制度。
実施年度 受験者 合格者 合格率 合格ライン
2012年 16,404 1,498 9.1% 34点
2013年 15,383 1,265 8.2% 38点
2014年 14,937 1,260 8.4% 36点
2015年 14,092 1,158 8.2% 38点
2016年 13,737 1,101 8.0% 35点
したがって、同じ四肢択一(50問)のマークシート方式を採用している宅建試験の合格率が、概ね15~17%台で推移していることを踏まえると、合格率が1桁台で推移しているマンション管理士試験は、確かに難易度の高い試験のようにも思えなくもありません。
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28
宅建 16.2% 17.9% 15.2% 16.1% 16.7% 15.3% 17.5% 15.4% 15.4%
行政書士 6.47% 9.05% 6.60% 8.05% 9.19% 10.10% 8.27% 13.10% 9.95%
司法書士 3.4% 3.4% 3.5% 3.4% 3.5% 3.5% 3.8% 3.9% 3.9%
社会保険労務士 7.5% 7.6% 8.6% 7.2% 7.0% 5.4% 9.3% 2.6% 4.4%
管理業務主任者 20.3% 20.5% 20.1% 20.7% 21.9% 22.5% 21.0% 23.6% 22.5%



分析!試験制度からみたマンション管理士試験の難易度

マンション管理士試験は、四肢択一(計50問)のマークシート方式で行われるため、論述形式を採用している試験問題などに比べると、ビギナー受験者にも受けやすい試験であること間違いありません。

試験攻略のコツ試験時間は2時間なので、計算上、1問当たりの平均持ち時間は〝2分24秒〟となりますが、見直し時間等を考慮すると、1問当たり〝2分〟程度(もちろん、問題の内容によって解答に要する時間は前後しますが…)で解答を導き出すのが理想的なので、本試験会場では常に時間配分を意識しながら、解ける問題から解き、時間の掛かりそうな問題や難問は後回しにするテクニックが有効です。

また、本試験における出題パターンは正誤問題が中心(全体の9割)ですが、正しいものを選ばせる問題と、誤っているものを選ばせる問題とがランダムで出題されているので、問題文を最後までしっかりと読み、求められている解答をしっかりと見極めることが大切です。

特に時間配分を間違えると、徐々に焦りが生じ、そういったつまらないうっかりミスを招きかねないので、難易度が高そうだなと感じた問題等は後回しにして解ける問題から解いていきましょう。
H20 H21 H22 H23
正誤問題 46問
(27問)
92% 47問
(27問)
94% 48問
(30問)
96% 48問
(23問)
96%
組合せ問題 4問 8% 2問 4% 1問 2% 1問 2%
個数問題 --- --- 1問 2% 1問 2% 1問 2%
合計 50問 50問 50問 50問
※ ( )内は誤っている(適切でない)選択肢を選ぶ問題数

本試験問題からみた難易度

平成24年度実施分のマンション管理士試験では、次のような問題が出題されました。
総会の決議によらず、理事長が理事会の承認又は決議のみで行うことができる事項は、標準管理規約によれば、次のうちいくつあるか。

 ア:職員の採用又は解雇を行うこと。
 イ:監事の選任を行うこと。
 ウ:役員活動費の支払方法を決定すること。
 エ:修繕積立金の運用方法を変更すること。
 オ:未納の管理費の請求に関し管理組合を代表して訴訟を追行すること。
 カ:使用細則を変更すること。

   1.一つ
   2.二つ【正解】
   3.三つ
   4.四つ
この問題は、どれか1つの選択肢を選ばせるのではなく、4つの選択肢のうち、適切でないものがいくつあるかを問う〝個数問題〟として出題されていますが、このように、時には単純に4つの選択肢の中から1つの選択肢を選ぶ問題とは異なる形で、受験者の知識を問ういやらしい問題が出題されることもあるので、正確な知識が身に付いていないと正しい解答番号を選べない場合があります。

したがって、出題形式が四肢択一のマークシート方式だからといって、マンション管理士試験を侮ってはいけません。

合格率は例年7~9%前後という、かなり低い水準で推移しており、問題文自体も、年々、難易度が上昇傾向にあるとも言われているだけに、単に基礎知識を理解しているだけでは合格基準点を上回るのは難しくなってきているのが現状のようです。

しかし、マンション管理士試験は、ポイントを押さえた対策をしっかりと行えば、市販テキストや問題集を使った独学でも十分合格を狙うことができるレベル(難易度)の国家試験なので、まずは過去問題に目を通すなどして、自分にとって最適な学習スタイル(独学か?それとも専門講座を利用すべきか?)をじっくり検討することから始めてみましょう。