管理業務主任者試験の合格率top
法律・経営・経理・ビジネス法律・経営・経理・ビジネスIT・Web・情報・通信・電気建築・不動産自然環境・衛生語学・旅行その他
管理業務主任者の資格を取得するには、一般社団法人マンション管理業協会が実施している管理業務主任者試験に合格しなければなりません。

一般的に国家資格に属する試験は難易度が高い!合格率が低い!といった特徴が見られますが、管理業務主任者試験も同様に厳しい国家試験なのか・・・

そこで、受験者であれば誰もが少なからず気になる試験合格率をはじめとした過去の試験結果を基に、少し客観的に考察してみたいと思います。

管理業務主任者試験:合格率の推移状況から分かる試験の特徴

下記に示すデータは、管理業務主任者試験の試験結果です。

試験の実施団体であるマンション管理業協会は、試験実施後、毎年、申込者数や受験者数、合格者数、合格率といったデータを公表しています。

ちなみに、平成13年以前のデータを載せていないのは、単に調べるのが面倒だったからだとか、データ自体が未公開だったという理由ではなく、そもそもこの管理業務主任者試験が平成13年にスタートした試験だからです。

※ 補足:平成12年12月1日、衆議院本会議で可決成立した「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(通称:マン管法)」に基づき、翌年の平成13年に第1回目の試験を実施。

したがって、管理業務主任者の資格は、比較的、まだ歴史の浅い新しい国家資格といえるかもしれません。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
H13 64,678 57,719 33,742 58.5% -----
H14 39,981 35,287 10,390 29.4% (-29.1)
H15 31,558 27,017 5,651 20.9% (-8.5)
H16 28,642 24,104 4,617 19.2% (-1.7)
H17 26,960 22,576 5,019 22.2% (+3.0)
H18 24,779 20,830 4,209 20.2% (-2.0)
H19 23,790 20,194 4,497 22.3% (+2.1)
H20 23,847 20,215 4,113 20.3% (-2.0)
H21 24,890 21,113 4,329 20.5% (+0.2)
H22 24,129 20,620 4,135 20.1% (-0.4)
H23 24,376 20,625 4,278 20.7% (+0.6)
H24 22,887 19,460 4,254 21.9% (+1.2)
H25 22,052 18,852 4,241 22.5% (+0.6)
H26 20,899 17,444 3,671 21.0% (-1.5)
H27 20,317 17,021 4,053 23.8% (+2.6)
H28 20,255 16,952 3,816 22.5% (-1.1)
さて、この資料を見てまず最初に気付くことは、第1回管理業務主任者試験の合格率が58.5%と極めて高い数値を示している点です。

これは、計算上2人に1人が合格していることになります。

国家試験において、これほどの高数値は少々問題があるようにも思えますが、実はこの高い合格率にはちゃんとした理由があります。

それは、管理業務主任者の資格が誕生したと同時に、一定の条件に当てはまる管理会社は、事務所ごとに専任の管理業務主任者(成年者)を置かなければならないという設置義務が発生したためです。

そのため、初年度の試験を必要以上に難易度の高い試験にして不合格者を大量に出してしまうと、業務を行えない管理会社が急増してしまうため、社会の混乱を招くおそれがでてきます。

そこで、ある程度、資格を持った人員を確保する必要上、初年度の試験の合格ラインを、比較的緩めに設定することで、業務に支障がでないような対策をとるわけです。

しかし、一定数の資格所有者が確保できてしまえば、もう必要以上に合格させる必要もないので、様子を見ながら合格ラインを徐々に引き上げ、合格しにくい試験へと変えていきます。

管理業務主任者試験も、まさにこの理由が背景にあり、初年度こそ50%を優に超える合格率でしたが、翌年度にはマイナス29.1ポイント、翌々年度になるとマイナス8.5ポイントと、急激に下降する道を辿ることになります。

実施年度 合格ライン(50点満点)
H13 38点 76%
H14 33点 66%
H15 35点 70%
H16 37点 74%
H17 36点 72%
H18 33点 66%
H19 33点 66%
H20 34点 68%
H21 34点 68%
H22 36点 72%
H23 35点 70%
H24 37点 74%
H25 32点 64%
H26 35点 70%
H27 34点 68%
H28 35点 70%
ところが、平成15年度以降、現在に至るまで、合格率の数値に大きなブレはなく、概ね20%前後で推移していうことが分かります。

そして、管理業務主任者試験の合格基準は、前もって公表されているわけではなく、年度によって基準点が変動しているということに着目すると、主催者側には次のような考えがありそうです。

おそらく、現在の管理業務主任者試験は、合格率20%をひとつの基準とし、受験者の試験結果によって、20%に最も近い数値になる得点を合格ライン点にしているのではないか…ということです。

また、一方で合格者数に注目すると、毎年4,000人前後で推移していることが分かります。

特に注目すべきは、H25年度の試験結果で、合格ラインは過去最低点となりましたが、合格者数は前年度とほぼ変わず4,200人ほどであることから、合格者数もかなり意識していることがうかがえます(おそらく、合格ラインを32点以上にしてしまうと、合格者数これまでにないほど、激減してしまうのでしょう)。

いずれにせよ、これまでの試験結果を分析してみると、合格ラインは32点~37点の間で推移しているので、管理業務主任者試験における試験合格の目安は、37点~38点の得点を安定して稼げるような対策を立てることが重要だということが分かります。

※ 補足:初年度やその翌年度の試験結果に関しては、先ほど説明した理由から、あまり当てにはならないと思われるため、無視します。

ちなみに、管理業務主任者試験は、大きく分けると5つの試験科目で構成されていますが、科目ごとの足切りラインはないので総合点で合否判定を行います。





男女別・試験地別に見た管理業務主任者試験:合格率の推移状況

では、次に男女別、試験地別の受験者データを振り返ってみましょう。
《資料1:男女別》
男性 女性
合格者数 合格率 合格者数 合格率
H24 3,663 22.4% 591 19.1%
21.9%
H25 3,625 22.9% 616 20.4%
22.5%
H26 3,085 21.4% 586 19.3%
21.0%
H27 3,373 24.2% 680 22.1%
23.8%
H28 3,080 22.8% 736 21.5%
22.5%
《資料2:試験地別(参考:H28年度)》
試験地 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
札幌 575 499 103 20.6%
仙台 612 481 105 21.8%
東京 10,962 9,146 2,143 23.4%
名古屋 1,369 1,155 248 21.5%
大阪 4,024 3,411 757 22.2%
広島 867 733 171 23.3%
福岡 1,624 1,342 268 20.0%
那覇 222 185 21 11.4%
合計 20,255 16,952 3,816 22.5%
資料①は、管理業務主任者試験の合格者を男女別に見たデータです。

このデータによると、男性の合格率の方が、平均してやや高めで推移していますが、極端に大きな差が見られるわけではないので、女性が必ずしも不利であるといったことは特になさそうです。

一方、資料②は試験地別に見た受験者データです。

受験者数や合格者数は、やはり東京が圧倒的に多いことが見てとれますが、合格率に関しては、必ずしも東京で受験された方が圧倒的に高いというわけではなさそうです。

ただし、数年分の受験者データを振り返ってみたところ、那覇に関しては、他の試験地よりもやや低い水準で推移しているようです。

※那覇の合格率の推移:14.8%(H23)→ 15.9%(H24)→ 12.5%(H25)→ 17.4%(H26)→ 17.3%(H27)→ 11.4%(H28)

管理業務主任者試験は、宅建試験合格者やマンション管理士試験受験者が、ダブルライセンスを目指して受験してくるケースも多いため、それなりに知識をもった受験者同士で競い合うことになります。

したがって、そういう意味では、手始めに管理業務主任者試験のみの資格取得を目指しているビギナー受験者にとっては、立場は弱いかもしれませんが、試験は四肢択一のマークシート形式であり、分野によっては出題ポイントもある程度予測できます。

また、大半の問題が法令に関する知識や専門用語の理解を中心とした正誤問題として出題されるため、過去に出題された基本的な問題を、まずは徹底的に押えて理解することが大切です(つまり、過去問が大事!)。

実務経験のない者、あるいはビギナー受験者だからといって極単に不利になることはないので、その点はあまり意識することはないでしょう。