コンクリート技士試験:合格率の推移グラフと分析top
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コンクリート技士試験は、コンクリートに関する基礎知識(製造・施工・検査・管理など)が幅広く身に付いているかどうかを確認するための試験です。

そのため、コンクリート工事の専門技術者を目指す者の間では、自身のスキルアップや、さらに上の上級資格(コンクリート主任技士やコンクリート診断士など)を目指す足がかりとして、このコンクリート技士の資格からチャレンジするという人も多く、比較的、ポピュラーな資格試験といえます。

しかし、それはあくまで業界内での話であって、一般的に広く知られているメジャー資格に比べれば、受験者数は少なく、試験に関する情報も入手しづらい状況にあるようです。

そこで、受験者なら誰もが気になるコンクリート技士試験の合格率をはじめとしたデータを基に試験の現状について少し客観的に分析してみましょう。
受験者 矢印
コンクリート
技士試験
矢印
登録
申請
矢印
コンクリート技士
資格取得



コンクリート技士試験の受験状況と合格率の推移グラフ

コンクリート技士は、昭和45年に創設された、今となってはそこそこ歴史のある民間資格ですが、平成12年度以降のコンクリート技士試験の結果を申込者、受験者、合格者、合格率の順にまとめたデータがこちらです。
実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
H12 13,911 11,172 2,948 26.4% (+0.9)
H13 14,433 11,679 2,900 24.8% (-1.6)
H14 13,977 11,032 2,863 26.0% (--1.2)
H15 13,003 10,242 2,631 25.7% (-0.3)
H16 12,047 9,570 2,898 30.3% (+4.6)
H17 11,171 8,951 2,705 30.2% (-0.1)
H18 11,018 8,892 2,580 29.0% (-1.2)
H19 10,378 8,476 2,601 30.7% (+1.7)
H20 10,745 8,951 2,709 30.3% (-0.4)
H21 11,597 9,693 3,037 31.3% (+1.0)
H22 11,296 9,340 2,779 29.8% (-1.5)
H23 10,686 8,857 2,699 30.5% (+0.7)
H24 9,676 7,923 2,372 29.9% (-0.6)
H25 9,958 8,130 2,342 28.8% (-1.1)
H26 10,463 8,585 2,556 29.8% (+1.0)
H27 10,985 9,063 2,664 29.4% (-0.4)
H28 11,230 9,300 2,684 28.9% (-0.5)
データとしてはこの推移表だけで十分かもしれませんが、せっかくなので各データの数値を基に折れ線グラフも作成してみました。

その資料がこちらです。

折れ線グラフにすることで、コンクリート技士試験の受験者数や合格者数、合格率の推移状況がより分かりやすくなったのではないでしょうか。
試験結果グラフ
それでは、これらの資料を基に、コンクリート技士試験の状況を少し分析してみましょう。

まず、受験者数ですが、上記グラフを見ると、増加に転じる年も見られるものの、長い目で見ると緩やかに減少傾向にあるようですが、近年は回復傾向にあることが見てとれます。

一方、合格者数に関しては、数値の上ではやや減少傾向が見られるものの、受験者数程の動きは見られず、折れ線グラフ上では、比較的安定した推移を示しておりほぼ横ばい、その変動幅は2,300~3,000人といったところです。

ところが、合格率の方に目を向けてみると、逆転現象が起きており、ここ数年は、以前よりも高い数値で推移しています。

非常に興味深い点なので、合格率のデータをさらにもう少し注意深く分析してみたところ、平成15年度のコンクリート技士試験を境に、合格率にある変化が見られることがわかりました。

つまり、それまでは概ね25%前後で推移していたものが、平成16年度以降は合格率が5%程上昇し、その後も概ね30%前後で推移しているということです。
合格率の推移グラフ 
H10 H11 H12 H13 H14 H15
25.6% 25.5% 26.4% 24.8% 26.0% 25.7%
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28
30.3% 30.2% 29.0% 30.7% 30.3% 31.3% 29.8% 30.5% 29.9% 28.8% 29.8% 29.4% 28.9%
←--------- 25%前後 --------→ ←---------------------------- 30%前後 ----------------------------→
コンクリート技士試験は合格基準が公表されることはありません。

そのため、合格ラインをあらかじめ決めておくのではなく、成績上位の●●%を合格者とするような相対評価試験であると言われています。

そのため、コンクリート技士試験の合格率は、毎年、ほぼ安定した推移を示すことになりますが、このグラフを見ると、どうやら合格率を少し上げた(つまり、これまで合格率25%を合否判断の基準としていたが、これからは30%を基準にするということ)という見方ができそうです。

なぜ試験合格率を上げたのかは定かではありませんが、穿った見方をするなら、受験者数の減少により、コンクリート技士の登録者数も減る恐れがあるので、一定数を確保する(登録者数が減ると困る…?)必要上、合格率を上げることで、調節しているというようなことが考えらえます。


試験地別:コンクリート技士試験の受験者データと合格率の推移状況

下記に示す資料は、平成26年度から平成28年度までのコンクリート技士試験の結果を試験地別にまとめたデータです。
H26 H27 H28
申込者 受験者 合格者 合格率 申込者 受験者 合格者 合格率 申込者 受験者 合格者 合格率
札幌 341 284 93 32.7% 374 312 97 31.1% 370 312 89 28.5%
仙台 1,142 947 207 21.9% 1,254 1,049 276 26.3% 1,297 1,116 280 25.1%
東京 3,488 2,794 865 31.0% 3,744 3,048 973 31.9% 4,028 3,258 1,033 31.7%
名古屋 1,454 1,213 367 30.3% 1,450 1,178 338 28.7% 1,445 1,192 347 29.1%
大阪 1,825 1,471 436 29.6% 1,783 1,438 425 29.6% 1,776 1,460 417 28.6%
広島 418 354 136 38.4% 424 365 109 29.9% 412 341 103 30.2%
高松 322 285 93 32.6% 327 284 73 25.7% 379 330 102 30.9%
福岡 1,273 1,067 316 29.6% 1,398 1,191 334 28.0% 1,286 1,083 266 24.6%
那覇 200 170 43 25.3% 231 198 39 19.7% 237 208 47 22.6%
当然といえば当然のことかもしれませんが、受験者は地方中枢都市よりも三大都市に集中しています。

また、参考までに、こちらのデータも各試験地の合格率を棒グラフにしてみました。
試験地別グラフ
このデータによると、沖縄を除くと、なぜか仙台だけが、他の試験地に比べて、合格率が平均して低くなっていることが見てとれます。

この結果に、いったいどのような背景があるのかはよくわかりませんが、非常に興味深い点です。