そのため、コンクリート工事の専門技術者を目指す者の間では、自身のスキルアップや、さらに上の上級資格(コンクリート主任技士やコンクリート診断士など)を目指す足がかりとして、このコンクリート技士の資格からチャレンジするという人も多く、比較的、ポピュラーな資格試験といえます。
しかし、それはあくまで業界内での話であって、一般的に広く知られているメジャー資格に比べれば、受験者数は少なく、試験に関する情報も入手しづらい状況にあるようです。
そこで、受験者なら誰もが気になるコンクリート技士試験の合格率をはじめとしたデータを基に試験の現状について少し客観的に分析してみましょう。
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実施年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
H12 | 13,911 | 11,172 | 2,948 | 26.4% | (+0.9) |
H13 | 14,433 | 11,679 | 2,900 | 24.8% | (-1.6) |
H14 | 13,977 | 11,032 | 2,863 | 26.0% | (--1.2) |
H15 | 13,003 | 10,242 | 2,631 | 25.7% | (-0.3) |
H16 | 12,047 | 9,570 | 2,898 | 30.3% | (+4.6) |
H17 | 11,171 | 8,951 | 2,705 | 30.2% | (-0.1) |
H18 | 11,018 | 8,892 | 2,580 | 29.0% | (-1.2) |
H19 | 10,378 | 8,476 | 2,601 | 30.7% | (+1.7) |
H20 | 10,745 | 8,951 | 2,709 | 30.3% | (-0.4) |
H21 | 11,597 | 9,693 | 3,037 | 31.3% | (+1.0) |
H22 | 11,296 | 9,340 | 2,779 | 29.8% | (-1.5) |
H23 | 10,686 | 8,857 | 2,699 | 30.5% | (+0.7) |
H24 | 9,676 | 7,923 | 2,372 | 29.9% | (-0.6) |
H25 | 9,958 | 8,130 | 2,342 | 28.8% | (-1.1) |
H26 | 10,463 | 8,585 | 2,556 | 29.8% | (+1.0) |
H27 | 10,985 | 9,063 | 2,664 | 29.4% | (-0.4) |
H28 | 11,230 | 9,300 | 2,684 | 28.9% | (-0.5) |
その資料がこちらです。
折れ線グラフにすることで、コンクリート技士試験の受験者数や合格者数、合格率の推移状況がより分かりやすくなったのではないでしょうか。

まず、受験者数ですが、上記グラフを見ると、増加に転じる年も見られるものの、長い目で見ると緩やかに減少傾向にあるようですが、近年は回復傾向にあることが見てとれます。
一方、合格者数に関しては、数値の上ではやや減少傾向が見られるものの、受験者数程の動きは見られず、折れ線グラフ上では、比較的安定した推移を示しておりほぼ横ばい、その変動幅は2,300~3,000人といったところです。
ところが、合格率の方に目を向けてみると、逆転現象が起きており、ここ数年は、以前よりも高い数値で推移しています。
非常に興味深い点なので、合格率のデータをさらにもう少し注意深く分析してみたところ、平成15年度のコンクリート技士試験を境に、合格率にある変化が見られることがわかりました。
つまり、それまでは概ね25%前後で推移していたものが、平成16年度以降は合格率が5%程上昇し、その後も概ね30%前後で推移しているということです。
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←--------- 25%前後 --------→ | ←---------------------------- 30%前後 ----------------------------→ |
そのため、合格ラインをあらかじめ決めておくのではなく、成績上位の●●%を合格者とするような相対評価試験であると言われています。 そのため、コンクリート技士試験の合格率は、毎年、ほぼ安定した推移を示すことになりますが、このグラフを見ると、どうやら合格率を少し上げた(つまり、これまで合格率25%を合否判断の基準としていたが、これからは30%を基準にするということ)という見方ができそうです。 なぜ試験合格率を上げたのかは定かではありませんが、穿った見方をするなら、受験者数の減少により、コンクリート技士の登録者数も減る恐れがあるので、一定数を確保する(登録者数が減ると困る…?)必要上、合格率を上げることで、調節しているというようなことが考えらえます。 |
\ | H26 | H27 | H28 | |||||||||
申込者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 申込者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 申込者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
札幌 | 341 | 284 | 93 | 32.7% | 374 | 312 | 97 | 31.1% | 370 | 312 | 89 | 28.5% |
仙台 | 1,142 | 947 | 207 | 21.9% | 1,254 | 1,049 | 276 | 26.3% | 1,297 | 1,116 | 280 | 25.1% |
東京 | 3,488 | 2,794 | 865 | 31.0% | 3,744 | 3,048 | 973 | 31.9% | 4,028 | 3,258 | 1,033 | 31.7% |
名古屋 | 1,454 | 1,213 | 367 | 30.3% | 1,450 | 1,178 | 338 | 28.7% | 1,445 | 1,192 | 347 | 29.1% |
大阪 | 1,825 | 1,471 | 436 | 29.6% | 1,783 | 1,438 | 425 | 29.6% | 1,776 | 1,460 | 417 | 28.6% |
広島 | 418 | 354 | 136 | 38.4% | 424 | 365 | 109 | 29.9% | 412 | 341 | 103 | 30.2% |
高松 | 322 | 285 | 93 | 32.6% | 327 | 284 | 73 | 25.7% | 379 | 330 | 102 | 30.9% |
福岡 | 1,273 | 1,067 | 316 | 29.6% | 1,398 | 1,191 | 334 | 28.0% | 1,286 | 1,083 | 266 | 24.6% |
那覇 | 200 | 170 | 43 | 25.3% | 231 | 198 | 39 | 19.7% | 237 | 208 | 47 | 22.6% |
また、参考までに、こちらのデータも各試験地の合格率を棒グラフにしてみました。

この結果に、いったいどのような背景があるのかはよくわかりませんが、非常に興味深い点です。