電気通信主任技術者試験の合格率top
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電気通信主任技術者の資格を取得するには、①国家試験 ② 養成課程 ③ 認定の3つのルートがありますが、大半の方は、①の一般財団法人・日本データ通信協会が実施する国家試験に合格することで資格を取得します。

電気通信主任技術者は、通信の民営化に伴い、昭和60年(1985年)に創設された資格なので、今では30年ほどの歴史ある国家資格となりましたが、試験開始当初に比べると、受験者数、合格者数共に大幅に減少しているようです。

※ 公衆電気通信法の改正(つまり、電気通信事業法の成立)と電電公社の民営化が行われています。

また、一般的に国家資格に属する試験は、公的資格や民間資格などに比べると、試験の難易度は高く、合格率も低くなる傾向が見られるようなので、電気通信主任技術者試験も同じような特徴が見られるのか・・・

これまで実施されてきた試験結果を基に、受験者数や合格者数、あるいは合格率がどのように推移してきたのか少し分析してみたいと思います。
《電気通信事業法 第46条より一部抜粋》

総務大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、電気通信主任技術者資格者証を交付する。

一.電気通信主任技術者試験に合格した者

ニ.電気通信主任技術者資格者証の交付を受けようとする者の養成課程で、総務大臣が総務省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者

三.前二号に掲げる者と同等以上の専門的知識及び能力を有すると総務大臣が認定した者


電気通信主任技術者試験の結果と合格率の推移グラフ

昭和60年にスタートした電気通信主任技術者試験は、例年、7月と1月の年2回実施されますが、平成18年度以降の試験結果(合格率など)は下記表のとおりです。
申請者数 受験者数 合格者数 合格率
H18年度 第1回 2,925 2,355 226 9.6% (-10.7)
第2回 3,232 2,501 582 23.3% (+13.7)
H19年度 第1回 2,776 2,271 487 21.4% (-1.9)
第2回 3,703 2,962 665 22.5% (+1.1)
H20年度 第1回 3,452 2,872 611 21.3% (-1.2)
第2回 4,204 3,450 625 18.1% (-3.2)
H21年度 第1回 4,078 3,474 804 23.1% (+5.0)
第2回 4,764 3,998 718 18.0% (-5.1)
H22年度 第1回 4,374 3,687 629 17.1% (-0.9)
第2回 4,958 3,997 821 20.5% (+3.4)
H23年度 第1回 4,146 3,520 720 20.5% (±0.0)
第2回 4,835 3,949 846 21.4% (+0.9)
H24年度 第1回 4,047 3,373 566 16.8% (-4.6)
第2回 4,557 3,583 675 18.8% (+2.0)
H25年度 第1回 4,250 3,487 474 13.6% (-5.2)
第2回 4,665 3,718 678 18.2% (+4.6)
 H26年度 第1回 4,000 3,285 498 15.2% (-3.0)
第2回 4,802 3,906 776 19.9% (+4.7)
 H27年度 第1回 4,374 3,689 735 19.9% (±0.0)
第2回 5,194 4,164 827 19.9% (±0.0)
 H28年度 第1回 4,386 3,680 739 20.1% (+0.2)
第2回 4,766 3,855 720 18.7% (-1.4)
この資料によると、受験者数は頻繁に増減を繰り返していますが、近年は横ばいで推移しています。

参考までに、試験開始から現在に至るまでの試験結果(申請者数、受験者数、合格者数)を折れ線グラフにしてみました。

その資料がこちらです。
電気通信主任技術者試験の結果
電気通信主任技術者の資格が創設されて間もない頃の申請者数は1万人を超える注目資格でしたが、昭和62年の第2回試験をピーク(17,387名)にその数は徐々に減少し、一度は増加したものの、再び減少に転じ、ここ数年は4,000人台で推移しています。

試験開始当初の受験者数が、今では考えられないほど多かった理由は、電気通信事業者に電気通信主任技術者を選任する義務(電気通信設備の工事や維持、運用の監督者として業務にあたらせなければならない)があったためです。

つまり、仕事上、必要に迫られ駆け込み受験した者が多かったからだと思われます。

そして、その後はバブル崩壊により、申請者数は4,000人台(受験者数は3,000人台)まで落ち込みましたが、ITバブルと呼ばれる新たな時代に突入したため、業界の活性化により、申請者数は増加に転じています。

しかし、その増加傾向も長くは続かず、ITバブルの崩壊により、再び減少傾向に転じ、申請者数は現在の4,000人台まで落ち込んでいるというのが現状のようです。

このような背景を踏まえると、電気通信主任技術者は、どうやら景気の影響を受けやすい資格のようです。

では、次に試験合格率の方を振り返ってみましょう。

平成18年度以降の試験合格率の詳細なデータ(数値)については、上記表をご覧になっていただくとして、ここではさらに試験開始から現在に至るまでの合格率の推移を折れ線グラフにしたものを載せておきます。
試験合格率の推移
試験開始当初の合格率が平均して高かった背景には、先ほど述べたように、社会の混乱を招かないよう資格所有者が一定数に達するまでできるだけ合格しやすい状況(問題が易しかったなど)にあったことが推測されますが、近年の合格率推移状況において注目すべき点は、平成18年度に実施された第1回の試験結果です。

この回の合格率は9.6%と過去最低の数値となっていますが、これは電気通信主任技術者試験の合格基準が予め公表されている絶対評価試験だということが少なからず影響していると思われます。

絶対評価試験とは、規定の合格基準(つまり、各試験科目ともに満点の60%以上)さえ満たしていれば、原則、合格する試験制度なので、試験問題が易しいと合格ラインを超える受験者数が増え、当然合格率も上がりますが、逆に試験問題の難易度が高いと合格者数も激減してしまう…といった現象が起こりうるわけです。

したがって、電気通信主任技術者試験が絶対評価試験である以上、今後も平成18年度に起こったような合格率の急激な落ち込みがないとは言い切れませんが、この場合は単に運が悪かったと気持ちを切り替え、翌年度の試験に向けて早めに対策に取り組むことが大切です。



試験種別:電気通信主任技術者試験の実施結果と状況分析

では、さらに、もう一歩踏み込んで、電気通信主任技術者試験の実施結果を分析してみましょう。

電気通信主任技術者試験は、ネットワークを構成する設備によって〝伝送交換主任技術者〟と〝線路主任技術者〟の2種類に区分されます。

そのため、受験者がどちらの区分を選択するかによって、試験内容(専門的能力と設備(管理)科目で異なってきます。)が変わってくるので、今度は試験区分別にみた合格率の推移状況についてまとめてみました。
伝送交換主任技術者 線路主任技術者
申請者数 受験者数 合格者数 合格率 申請者数 受験者数 合格者数 合格率
H21 第1回 2,810 2,355 496 20.6%(+2.7) 1,268 1,119 318 28.4%(+9.8)
第2回 3,367 2,796 461 16.5%(-4.1) 1,397 1,202 257 21.4%(-7.0)
H22 第1回 3,103 2,604 388 14.9%(-1.6) 1,271 1,083 241 22.3%(+0.9)
第2回 3,534 2,844 632 22.2%(+7.3) 1,424 1,153 189 16.4%(-5.9)
H23 第1回 2,958 2,496 516 20.7%(-1.5) 1,188 1,024 204 19.9%(+3.5)
第2回 3,431 2,759 624 22.6%(+1.9) 1,404 1,190 222 18.7%(-1.2)
H24 第1回 2,810 2,328 418 18.0%(-4.6) 1,237 1,045 148 14.2%(-4.5)
第2回 3,200 2,466 416 16.9%(-1.1) 1,357 1,117 259 23.2%(+9.0)
 H25 第1回 3,033 2,488 356 14.3%(-2.6) 1,217 999 118 11.8%(-11.4)
第2回 3,394 2,689 546 20.3%(+6.0) 1,271 1,029 132 12.8%(+1.0)
 H26 第1回 2,890 2,368 371 15.7%(-4.6) 1,110 917 127 13.8%(+1.0)
第2回 3,553 2,869 548 19.1%(+3.4) 1,249 1,037 228 22.0%(+8.2)
 H27 第1回 3,283 2,752 578 21.0%(+1.9) 1,091 937 157 16.8%(-5.2)
第2回 3,825 3,037 659 21.7%(+0.7) 1,369 1,127 168 14.9%(-1.9)
 H28 第1回 3,196 2,678 486 18.1%(-3.6) 1,190 1,002 253 25.2%(+10.3)
第2回 3,468 2,792 476 17.0%(-1.1) 1,298 1,063 244 23.0%(-2.2)
この資料によると、受験者数は線路よりも伝送交換の方が多いようで、その数は線路の約2倍です。
伝送交換と線路の比較表
一方、合格率の方を見てみると、伝送交換も線路も意外と変動が激しく、安定した推移を見せてはいません。
合格率の比較
これは、先ほど説明したように、電気通信主任技術者試験が、満点の60%以上を合格者とする絶対評価試験であることが少なからず影響していると考えられます。

そのため、この推移状況を見る限りでは、本試験の問題レベルが一定ではなく、回によって難易度に差があるように思えますが、伝送交換と線路とで合格率に大幅な差があるわけではなさそうです。




試験対策:豆知識

電気通信主任技術者試験には免除制度があり、受験者の保有資格や学歴、実務経験等によって、試験科目の一部免除が細かく定められています。

詳細については公式HPで確認できますが、参考までに主な免除条件を下記に挙げてくので、該当するような受験者は、この免除制度をうまく利用しましょう。
保有資格 ■旧第二種伝送交換主任技術者
■工事担任者(アナログ第三種/デジタル第三種/AI第三種/DD第三種を除く)
■第一級陸上無線技術士
■第一級総合無線通信士、第一級海上無線通信士又は第二級陸上無線技術士 等
学歴
+
実務経験
■大学卒で電気通信工学に関する学科履修者
■短大、高専又は旧制の専門学校卒で電気通信工学に関する学科履修者
■高校(中等教育学校、旧制の中学を含む)卒業者
 ※ プラス、一定期間の実務経験が必要。
その他 ■科目合格者(伝送交換主任技術者試験/線路主任技術者試験)
 ※ 試験免除の有効期間あり!
■認定学校(総務大臣の認定した教育施設)の単位修得者