※ 受講希望者が予定人員をオーバーした場合は、優先順位(特定工場に指定されており、かつ公害防止管理者の選任がなされていない工場勤務者…など)があるので、条件を満たしている方でも必ず受講できるとは限りません。なお、受講後は修了試験があります。
したがって、大半の方は、①の公害防止管理者試験を受け、合格を手にすることで資格取得を目指すことになりますが、そこで気になるのが試験の難易度です。
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そこで、今回、はじめて試験に挑戦するようなビギナー受験者のために、れまでの試験データを参考にしながら、受験者数や合格者数、全受験者の合格率、あるいは、年齢層別にみた合格率、実務経験の有無による有利不利などを客観的に分析してみたいと思うので、試験に興味のある方の参考に少しでもなれば幸いです。
そこで、とりあえず、20年程度遡り、1994年(第24回)以降の詳細な試験結果(申込者数、受験者数、合格者数、合格率)をまとめてみました。
その資料がこちらです。
実施年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
1994年(第24回) | 25,681 | 21,161 | 5,250 | 24.8% | (+2.8) |
1995年(第25回) | 25,950 | 21,475 | 4,221 | 19.7% | (-5.1) |
1996年(第26回) | 26,101 | 21,336 | 3,119 | 14.6% | (-5.1) |
1997年(第27回) | 26,405 | 21,619 | 4,336 | 20.1% | (+5.5) |
1998年(第28回) | 27,419 | 22,555 | 4,858 | 21.5% | (+1.4) |
1999年(第29回) | 28,176 | 23,009 | 5,107 | 22.2% | (+0.7) |
2000年(第30回) | 34,853 | 28,737 | 8,307 | 28.9% | (+6.7) |
2001年(第31回) | 31,257 | 25,613 | 6,055 | 23.6% | (-5.3) |
2002年(第32回) | 30,379 | 24,684 | 6,005 | 24.3% | (+0.7) |
2003年(第33回) | 31,003 | 25,174 | 5,417 | 21.5% | (-2.8) |
2004年(第34回) | 28,553 | 23,201 | 5,805 | 25.0% | (+3.5) |
2005年(第35回) | 29,489 | 24,016 | 7,376 | 30.7% | (+5.7) |
2006年(第36回) | 25,899 | 21,351 | 5,134 | 24.0% | (-6.7) |
2007年(第37回) | 29,504 | 25,237 | 3,132 | 12.4% | (-11.6) |
2008年(第38回) | 33,945 | 29,564 | 6,127 | 20.7% | (+8.3) |
2009年(第39回) | 33,649 | 29,437 | 6,446 | 21.9% | (+1.2) |
2010年(第40回) | 33,516 | 29,456 | 6,691 | 22.7% | (+0.8) |
2011年(第41回) | 31,952 | 28,045 | 6,220 | 22.2% | (-0.5) |
2012年(第42回) | 30,952 | 27,248 | 6,364 | 23.4% | (+1.2) |
2013年(第43回) | 31,319 | 27,328 | 5,407 | 19.8% | (-3.6) |
2014年(第44回) | 29,862 | 25,989 | 6,501 | 25.0% | (+5.2) |
2015年(第45回) | 29,129 | 25,562 | 6,525 | 25.5% | (+0.5) |
2016年(第46回) | 28,178 | 24,690 | 6,382 | 25.8% | (+0.3) |
さらにもう少し詳しく分析するため、公害防止管理者試験の試験結果を、今度は折れ線グラフ(合格率は別個のグラフで表示)に置き換えてみました。
その資料がこちらです。

このデータは、公害防止管理者試験の申込者数や受験者数、合格者数の推移状況を表したものですが、ここ30年ほどは、ほぼ横ばい状態で推移していますが、さらに遡ると、受験者数が10万人を超えることもあった大規模な国家試験であったことがうかがえます。
試験開始後、受験者数や合格者数がみるみる減っていく試験というのは、ひとえに資格取得が必要に迫られる場合によく見られる典型的な傾向のひとつです。
つまり、公害防止管理者の資格は、発足とともに特定工場における公害防止管理者の選任が義務付けられたため、急いで取らざるを得ない状況にあったものの、そんな状況がいつまでも続くわけではないので、しだいに事業に支障がなくなったことで、受験者は落ち着き、現在の安定したほぼ横ばい状態の推移を示していると考えられます。
しかし、落ち着いたとはいえ、それでも毎年約30,000人ほどの受験者がいる試験なので、業界内では、比較的人気の高いポピュラーな国家資格なのでしょう。
一方、【下表】は、合格率の推移状況を折れ線グラフに表したものですが、やはり試験開始当初の合格率はやや高めで推移していたようです。
この点も先に説明したように、資格が無いと事業に支障が出てしまうので、社会が混乱しないよう、試験開始当初は資格所有者が一定数に達するまで、合格基準がやや緩め(あるいは、試験問題が易しかった)に設定されていたことが考えられます。
なお、ここ数十年の合格率をみると、20~25%前後がひとつの基準となっているような節が見てとれるので、断定はできませんが、試験制度の大幅な変更等がない限りは、今後も同じような状況が続くのではないでしょうか。 ちなみに、合格率に関しては第26回試験(14.6%)と第37回試験(12.4%)において、やや気になる落ち込みが見られますが、第37回試験については、前年度に導入された科目別合格制が影響しているようです(第26回試験の合格率の低さに関する背景は不明…)。 試験制度の大幅な見直し(科目別合格制の導入)後に見られた、第37回試験の合格率の急激な落ち込みは受験者を不安にさせましたが、その後は回復傾向にあるようなので、受験者にとっては一安心といったところでしょう。 |

公害防止管理者試験は、目的によって13の試験区分に分かれますが、その試験区分によって受験者が解答すべき試験科目が異なってきます。
つまり、どの試験区分を受けるかによって出題内容が違うということです。
そこで、試験区分ごとの試験結果が公表されているので、受験者数と合格者数、合格率を一覧表にまとめてみました。
試験区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |||
免除申請の有無 | 合計 | |||||
あり | なし | |||||
① | 大気関係 第1種 | 4,152 | 2,006 | 6,158 | 1,624 | 26.4% |
② | 大気関係 第2種 | 138 | 118 | 256 | 49 | 19.1% |
③ | 大気関係 第3種 | 481 | 497 | 978 | 165 | 16.9% |
④ | 大気関係 第4種 | 616 | 667 | 1283 | 231 | 18.0% |
⑤ | 水質関係 第1種 | 5,966 | 4,185 | 10,151 | 1,946 | 19.2% |
⑥ | 水質関係 第2種 | 495 | 796 | 1291 | 125 | 9.7% |
⑦ | 水質関係 第3種 | 444 | 351 | 795 | 114 | 14.3% |
⑧ | 水質関係 第4種 | 1,158 | 1,901 | 3,059 | 303 | 9.9% |
⑨ | 騒音・振動関係 | 889 | 870 | 1759 | 381 | 21.7% |
⑩ | 特定粉じん関係 | 120 | 109 | 229 | 53 | 23.1% |
⑪ | 一般粉じん関係 | 101 | 229 | 330 | 40 | 12.1% |
⑫ | ダイオキシン類関係 | 522 | 394 | 916 | 353 | 38.5% |
⑬ | 公害防止主任管理者 | 88 | 35 | 123 | 23 | 18.7% |
ちなみに、合格率の最も低い試験区分は「水質関係第2種」の9.7%で、逆に最も高い合格率を示す試験区分は「ダイオキシン類関係」の38.5%です。
しかし、実際に試験を受けた受験者の感想を踏まえると、受けるべき試験区分が違うというだけで、試験問題自体の難易度が高い、低いとは単純に比較できないようです。
最後に参考資料として、試験区分別の受験者データを棒グラフ(申込者、受験者、合格者)と折れ線グラフ(合格率)に置き換えたものを掲載しておきます。

しかし、この手の特殊な専門スキルを有する資格試験は、実務経験者の方が有利に働くるケースも少なくありません。
そこで、実務経験や年齢層によって合格状況は変わってくるのか、過去のデータを少し分析してみましょう。
公害防止管理者試験センターは、毎年1月頃、公害防止管理者試験の試験結果についてまとめたものを公表しています。
その資料には、以前は実務経験年数別や年齢層別に関するデータが事細かに掲載されていたのですが、最近はどうやらカットされているようです。
そこで、確認できた範囲内での直近データをまとめてみました。
\ | 実務経験あり | 実務経験なし | ||||||||||
5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上 | ||||||||||
受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
2007年(第37回) | 5,100 | 690 | 13.5% | 3,507 | 465 | 13.3% | 8,373 | 982 | 11.7% | 8,257 | 995 | 12.1% |
2008年(第38回) | 6,413 | 1,329 | 20.7% | 3,929 | 883 | 22.5% | 9,728 | 1,930 | 19.8% | 9,494 | 1,985 | 20.9% |
2009年(第39回) | 6,798 | 1,538 | 22.6% | 3,821 | 901 | 23.6% | 9,298 | 1,977 | 21.3% | 9,520 | 2,030 | 21.3% |
2010年(第40回) | 7,135 | 1,723 | 24.1% | 3,921 | 947 | 24.2% | 9,102 | 1,967 | 21.6% | 9,298 | 2,054 | 22.1% |
2011年(第41回) | 6,742 | 1,603 | 23.8% | 3,854 | 901 | 23.4% | 8,682 | 1,778 | 20.5% | 8,767 | 1,938 | 22.1% |
つまり、未経験者であっても不利にはならない性質の試験だということです。


一方、こちらの資料は、公害防止管理者試験の試験結果を年齢別にまとめたものです。
このデータで興味深い点は、10代の年齢層の合格率が、他の年齢層に比べて圧倒的に低い水準で推移しているところです。
先に実務経験の有無や長さは試験の合否とあまり関係がないと言いました。
ところが、こうして少し変わった視点からみてみると、どうやら社会経験の乏しい学生受験者にとっては、勉強がし難く、難易度の高い試験として受け止められているのではないかということが分かります。
※ ( )内は合格率
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