火薬類取扱保安責任者試験top
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火薬類の取扱いを専門とする資格はいくつか挙げられますが、火薬類の貯蔵や販売等における取扱い上の事故防止に努める国家資格が〝火薬類取扱保安責任者〟です。
火薬類製造保安責任者 (公社)全国火薬類保安協会 火薬類製造の事故防止に努める責任者
火薬類取扱保安責任者 火薬類取り扱いの事故防止に努める責任者
発破技士 (公財)安全衛生技術試験協会 発破作業の安全(点検や処理)確保
火薬類取扱保安責任者の資格を取得するには、公益社団法人・全国火薬類保安協会が実施する国家試験に合格しなければなりませんが、資格を活かすことのできる職場がかなり限られてくるだけあって、知名度はそれほど高くありません。

そこで、試験情報が入手しにくい受験者のために、試験概要や勉強法についてザッとまとめておくので、興味のある方は少し参考にしてみてください。




コレだけは押える!火薬類取扱保安責任者:試験概要と合格率の推移

火薬類取扱保安責任者の資格は取り扱うことのできる火薬庫や消費量によって〝甲種〟と〝乙種〟に分かれますが、いずれも試験は年1回、8月の第4日曜日(年度によっては、9月上旬にズレ込むことも…)に実施されます。
甲種 特に制限なし
乙種 火薬庫の年間貯蔵量20トン未満
又は火薬類の月間消費量1トン未満に限定

火薬類取扱保安責任者試験の概要については、下記表のとおりですが、大学や高校・高専などで火薬学を習得した者は、申請により、試験科目の一部免除が受けられるので、うまく利用して下さい。

※ 甲種・乙種火薬類製造保安責任者の資格保有者は、申請により〝無試験〟で甲種・乙種火薬類取扱保安責任者の資格を取得することができます。
試験概要
受験資格 特になし
受験料 17,000円
試験日 年1回(8月の第4日曜日)
試験時間 2時間 (13:00~15:00)
※ 一般火薬学免除者は1時間(~14:00まで)
出題形式 択一式:マークシート
問題数 ・火薬類取締に関する法令 ……… 20問
・一般火薬学 ……………………… 20問
合格基準 各課目とも概ね60点以上
試験地 都道府県単位で実施
実施団体 〒104-0032
東京都中央区八丁堀4-13-5 (幸ビル8F)
公益社団法人 全国火薬類保安協会
http://www.zenkakyo-ex.or.jp/
試験課目免除の詳細
免除対象者 法令 一般火薬学
甲種・乙種火薬類製造保安責任者免状者 免除 免除
大学の工業化学に関する学科において火薬学を専修した卒業者 免除
大学、高等専門学校又は高校を卒業した火薬学の修得者 免除
鉱山保安規則に定める火薬係員試験の合格者 免除
合格率の推移状況

下記に示す資料は、ここ数年分の試験結果です。

火薬類取扱保安責任者試験は、予め合格基準が公表されている絶対評価試験(規定の合格基準さえ満たしていれば合格する試験制度)なので、問題の難易度により合格率が変動しやすいものの、比較的、難易度が高いと言われている国家資格に属する試験のわりには、例年、その合格率は高水準で推移しているので、独学でも十分合格が望める試験と考えられます。
甲種 乙種
受験者 合格者 合格率 受験者 合格者 合格率
H20 3,069 1,110 36.2% ----- 1,185 461 38.9% -----
H21 2,939 1,549 52.7% (+16.5) 1,066 582 54.6% (+15.7)
H22 2,768 1,448 52.3% (-0.4) 1,067 632 59.2% (+4.6)
H23 未確認 未確認
H24 2,490 1,311 52.7% ----- 999 572 57.3% -----
H25 2,682 1,424 53.1% (+0.4) 977 520 53.2% (-4.1)
さらに、上記データを基に、甲種と乙種の受験者数、合格者数、合格率をそれぞれ比較してみた折れ線グラフがこちらです。
試験結果:分析グラフ
この資料によると、火薬類取扱保安責任者試験は乙種よりも甲種の方が圧倒的に人気はあるらしく、受験者数は乙種の2~3倍ほどで推移していますが、試験合格率を比較してみると、両試験にそれほど大きな差はなく、例年、ほぼ同じような数値で推移していることが見てとれます。





過去問題からみた火薬類取扱保安責任者試験の難易度と勉強法

火薬類取扱保安責任者試験は、甲種・乙種ともに、すべてマークシート方式で行われますが、その設問方法が少し独特です。

具体的には、複数の選択肢の中から適切な番号を1つ選ばせる単純な択一式問題のほかに、下記に挙げた過去問題の例に見られるように「正しいものの組合せはどれか?」といったパターン(つまり、選択肢の中に正解が2つある)での出題が目立つということです。

したがって、正確な知識が頭にインプットされていないと解答に迷うものも出てくるので要注意です。
過去問:例①

爆薬の所持についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(1)~(6)の中から選べ。

イ.爆薬の貯蔵を委託された者は、その委託された爆薬を所持できる。
ロ.相続または遺贈により爆薬の所有権を取得した者は、その爆薬を所持できる。
ハ.爆薬の販売業者の従業員であれば、職務以外であっても爆薬を所持できる。
二.火薬庫の所有者であれば、爆薬を所持できる。


(1)イ、ロ(2)イ、ハ(3)イ、ニ(4)ロ、ハ(5)ロ、ニ(6)ハ、ニ

【H25年度:問7】

過去問:例②

起爆薬についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(1)~(6)の中から選べ。

イ.トリシネート(トリニトロレゾルシン鉛)は、電気火花では着火しにくい。
ロ.テトラセンは、点火が容易であり、それ自身の起爆力は大きい。
ハ.アジ火鉛は、銅と反応して、危険なアジ化銅をつくる。
ニ.ジアゾジニトロフェノール(DDNP)は、過度に加圧すると死圧現象が起こる。


(1)イ、ロ(2)イ、ハ(3)イ、ニ(4)ロ、ハ(5)ロ、ニ(6)ハ、ニ

【H25年度:問15】

過去問:例③

地上式一級火薬庫についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(1)~(6)の中から選べ。

イ.警鳴装置を設ける場合には、天井裏または屋根に盗難防止のための金網を張る必要はない。
ロ.小屋組は木造とし、屋根の外面は、金属板、スレート板、瓦等の不燃性物質を使用し、盗難および火災を防ぎ得る構造とすること。
ハ.入口に設ける外扉の耐火扉に用いられる鉄板の厚さは、3ミリメートル以上とすること。
ニ.火薬庫内に照明設備を設ける場合には、その自動遮断器または開閉器は、火薬庫内に設けること。


(1)イ、ロ(2)イ、ハ(3)イ、ニ(4)ロ、ハ(5)ロ、ニ(6)ハ、ニ

【平成28年度 甲種:火薬類取扱に関する法令 問13】

過去問:例④

黒色火薬についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(1)~(6)の中から選べ。

イ.自然分解のおそれがなく、永年の貯蔵に耐える。
ロ.燃焼後、相当量の固形残さ(渣)を生ずる。
ハ.発煙量が少なく、燃焼ガス中には有害成分を含まない。
ニ.火炎を近づけても容易に着火しない。


(1)イ、ロ(2)イ、ハ(3)イ、ニ(4)ロ、ハ(5)ロ、ニ(6)ハ、ニ

【平成28年度 乙種:一般火薬学 問3】
また、火薬類取扱保安責任者試験は、試験課目ごとに合格基準が設けられているので、どちらか一方の課目のできが悪いと、合格ラインに届かず不合格になってしまう恐れがあります。

そのため、不得意科目がある場合は、本試験前までにある程度克服しておかなければなりません。
各課目とも概ね60点以上
つまり…
「法令」「一般火薬学」ともに60点以上(20問中12問正解)の得点が必要!
しかし、過去問題を分析してみると、火薬類取扱保安責任者試験は、毎年、似たような問題が出題(類似問題)されていることから、過去問を中心に勉強しながら、出題傾向を把握し、知識の定着を図ることで十分対応できるはずです。

余談ですが、当試験は、過去に出題された本試験問題をそのまま使用していたという、いわゆる手抜き行為がありました。

※ 過去問をよく見ると、組合せの選択肢のパターン((1)イ、ロ(2)イ、ハ(3)イ、ニ(4)ロ、ハ(5)ロ、ニ(6)ハ、ニ)がすべて同じというのもなんだか違和感があり、個人的には手抜きに思えてしまうのですが…これは考え過ぎ?

また、過去には出題ミスもちらほら見られ、個人的には真剣に勉強に取り組んでいる受験者に対してあまりにも失礼だと思っているのですが、主催者側はその辺をどう考えているのか・・・一度、訪ねてみたいものです。