電気業界内(電力会社や高電圧を扱う会社など)で働く技術者にとって、電験は出来れば取得しておきたいと思うくらいメジャーな資格ですが、その登竜門として位置づけられているのが〝電験3種〟です。
電験3種は、《第1種》《第2種》とは違い、1次試験と2次試験とに分かれておらず、試験問題はすべてマークシート(5肢択一)方式で行われます。
そのため、記述式問題などに比べると受けやすい試験であるといえますが、例年、合格率は低く、容易に合格できる試験ではなさそうです。
※ 電験1種・2種の〝2次試験〟は記述式問題が出題されます。
そこで、これまでの試験結果も基に、電験3種の難易度について、少し客観的に分析してみることにしましょう。
\ | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 科目合格 | ||
合格者数 | 合格率 | ||||||
H14 | 66,867 | 53,804 | 4,364 | 8.1% | (-4.0) | 15,477 | 28.8% |
H15 | 67,966 | 51,480 | 5,336 | 10.4% | (+2.3) | 15,583 | 30.3% |
H16 | 59,919 | 44,661 | 3,851 | 8.6% | (-1.8) | 15,140 | 33.9% |
H17 | 56,676 | 42,390 | 4,831 | 11.4% | (+2.8) | 16,423 | 38.7% |
H18 | 54,611 | 41,133 | 4,416 | 10.7% | (-0.7) | 12,858 | 31.3% |
H19 | 55,234 | 40,608 | 3,647 | 9.0% | (-1.7) | 11,939 | 29.4% |
H20 | 54,509 | 40,140 | 4,361 | 10.9% | (+1.9) | 15,350 | 38.2% |
H21 | 64,259 | 47,593 | 4,558 | 9.6% | (-1.3) | 17,140 | 36.0% |
H22 | 68,471 | 50,794 | 3,639 | 7.2% | (-2.4) | 14,240 | 28.0% |
H23 | 67,844 | 48,864 | 2,674 | 5.5% | (-1.7) | 13,245 | 27.1% |
H24 | 68,484 | 49,452 | 2,895 | 5.9% | (+0.4) | 14,741 | 29.8% |
H25 | 69,128 | 49,575 | 4,311 | 8.7% | (+2.8) | 12,381 | 25.0% |
H26 | 68,756 | 48,681 | 4,102 | 8.4% | (-0.3) | 14,625 | 30.0% |
H27 | 63,694 | 45,311 | 3,502 | 7.7% | (-0.7) | 13,389 | 29.5% |
H28 | 66,896 | 46,552 | 3,980 | 8.5% | (+0.8) | 13,457 | 28.9% |

一般的に合格率が10%を下回ってくると、難易度は飛躍的に上がるとも言われているので、数値の上では、たとえ下位級にあたる電験3種であっても、一発合格を狙うのは厳しい現状があるようです。
しかし、電験3種は〝科目合格制〟を導入しています。
つまり、試験自体は、全4科目(① 理論 ② 電力 ③ 機械 ④ 法規)で構成されていますが、各科目ごとに合格基準が設けられているため、その合格基準を満たした試験科目については、翌々年度まで、申請により免除してもらうことができるのです。
したがって、今年はとりあえず「理論」と「電力」の2科目合格を目指す!といったように、複数年計画で取り組めるため、じっくりと腰を据えて試験対策を行うことができる利点があります。

先にも触れたとおり、電験3種は《① 理論 ② 電力 ③ 機械 ④ 法規》の計4科目で構成されていますが、各試験科目の合格者状況についてまとめたものが下記表です。
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※ 「受験者の上位●%」といったように成績上位の者から順に合格する試験制度のこと。単純に合格基準さえ満たせば良いという試験ではないため、受験者同士で競い合わなければならず、受験者自身の本当の実力が問われやすい。
事実、電験3種の合格基準は、試験実施後に公表されることになっており、下記表からも見て取れるように、合格基準点は毎年変動することも珍しくはありません。
\ | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
H19 | 55点 | 55点 | 55点 | 55点 |
H20 | 60点 | 60点 | 55点 | 60点 |
H21 | 53.90点 | 55.00点 | 49.17点 | 55.00点以 |
H22 | 55.00点 | 52.75点 | 47.65点 | 55.00点 |
H23 | 52.44点 | 55.00点 | 55.00点 | 54.20点 |
H24 | 55.00点 | 55.00点 | 50.56点 | 51.35点 |
H25 | 57.73点 | 56.32点 | 54.57点 | 58.00点 |
H26 | 54.38点 | 58.00点 | 54.39点 | 58.00点 |
H27 | 55点 | 55点 | 55点 | 55点 |
H28 | 55点 | 55点 | 55点 | 54点 |

《電力》 複数の発電機で構成されるコンバインドサイクル発電を、同一出力の単機汽力発電と比較した記述として、誤っているのは次のうちどれか。 (1) 熱効率が高い。 (2) 起動停止時間が長い。(← 正解) (3) 部分負荷に対応するため、運転する発電機数を変えるので、熱効率の低下が少ない。 (4) 最大出力が外気温度の影響を受けやすい。 (5) 蒸気タービンの出力分担が少ないので、その分復水器の冷却水量が少なく、温排水量も少なくなる。 《法規》 次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく、特別高圧の電路の絶縁耐力試験に関する記述である。公称電圧22000〔V〕、三相3線式電線路のケーブル部分の心線と大地との間の絶縁耐力試験を行う場合、試験電圧と連続加圧時間の記述として、正しいのは次のうちどれか。 (1) 交流23000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。 (2) 直流23000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。 (3) 交流28750〔V〕の試験電圧を1分間加圧する。 (4) 直流46000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。 (5) 直流57500〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。(← 正解) |