電験3種試験の合格率top
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強電系資格の中では、最も取得が難しいとされる国家資格試験が〝電験(正式名称:電気主任技術者試験)〟です。

電気業界内(電力会社や高電圧を扱う会社など)で働く技術者にとって、電験は出来れば取得しておきたいと思うくらいメジャーな資格ですが、その登竜門として位置づけられているのが〝電験3種〟です。

電験3種は、《第1種》《第2種》とは違い、1次試験と2次試験とに分かれておらず、試験問題はすべてマークシート(5肢択一)方式で行われます。

そのため、記述式問題などに比べると受けやすい試験であるといえますが、例年、合格率は低く、容易に合格できる試験ではなさそうです。

※ 電験1種・2種の〝2次試験〟は記述式問題が出題されます。

そこで、これまでの試験結果も基に、電験3種の難易度について、少し客観的に分析してみることにしましょう。




徹底分析!電験3種の試験結果 [合格率 編]

電験3種の試験問題は、すべて5肢択一のマークシート方式で行われますが、平成14年度以降の試験結果は次のとおりです。
申込者数 受験者数 合格者数 合格率 科目合格
合格者数 合格率
H14 66,867 53,804 4,364 8.1% (-4.0) 15,477 28.8%
H15 67,966 51,480 5,336 10.4% (+2.3) 15,583 30.3%
H16 59,919 44,661 3,851 8.6% (-1.8) 15,140 33.9%
H17 56,676 42,390 4,831 11.4% (+2.8) 16,423 38.7%
H18 54,611 41,133 4,416 10.7% (-0.7) 12,858 31.3%
H19 55,234 40,608 3,647 9.0% (-1.7) 11,939 29.4%
H20 54,509 40,140 4,361 10.9% (+1.9) 15,350 38.2%
H21 64,259 47,593 4,558 9.6% (-1.3) 17,140 36.0%
H22 68,471 50,794 3,639 7.2% (-2.4) 14,240 28.0%
H23 67,844 48,864 2,674 5.5% (-1.7) 13,245 27.1%
H24 68,484 49,452 2,895 5.9% (+0.4) 14,741 29.8%
H25 69,128 49,575 4,311 8.7% (+2.8) 12,381 25.0%
H26 68,756 48,681 4,102 8.4% (-0.3) 14,625 30.0%
H27 63,694 45,311 3,502 7.7% (-0.7) 13,389 29.5%
H28 66,896 46,552 3,980 8.5% (+0.8) 13,457 28.9%
さらに、上記受験者データを基に、グラフ状にまとめた資料がこちらになります。
電験3種の合格率グラフ
これらの資料によると、電験3種の合格率は、近年、比較的、安定した推移を示していますが、その数値は非常に低いことが見てとれます。

一般的に合格率が10%を下回ってくると、難易度は飛躍的に上がるとも言われているので、数値の上では、たとえ下位級にあたる電験3種であっても、一発合格を狙うのは厳しい現状があるようです。

しかし、電験3種は〝科目合格制〟を導入しています。

つまり、試験自体は、全4科目(① 理論 ② 電力 ③ 機械 ④ 法規)で構成されていますが、各科目ごとに合格基準が設けられているため、その合格基準を満たした試験科目については、翌々年度まで、申請により免除してもらうことができるのです。

したがって、今年はとりあえず「理論」と「電力」の2科目合格を目指す!といったように、複数年計画で取り組めるため、じっくりと腰を据えて試験対策を行うことができる利点があります。
試験科目別に見た合格者状況
先にも触れたとおり、電験3種は《① 理論 ② 電力 ③ 機械 ④ 法規》の計4科目で構成されていますが、各試験科目の合格者状況についてまとめたものが下記表です。
電験3種:科目別内訳
試験科目 H22 H23
受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率 受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率
理論 42,503 8,336 19.6% 6,430 15.1% 38,803 4,606 11.9% 3,812 9.8%
電力 40,407 5,131 12.7% 3,665 9.1% 39,620 5,735 14.5% 4,662 11.8%
機械 39,195 4,533 11.6% 2,996 7.6% 38,598 6,777 17.6% 5,119 13.3%
法規 36,159 7,375 20.4% 5,598 15.5% 36,508 4,435 12.1% 3,406 9.3%
試験科目 H24 H25
受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率 受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率
理論 40,749 7,511 18.4% 6,242 15.3% 39,982 5,718 14.3% 4,304 10.8%
電力 40,549 10,065 24.8% 8,542 21.1% 36,486 4,534 12.4% 3,275 9.0%
機械 37,671 3,782 10.0% 2,698 7.2% 38,583 6,600 17.1% 4,270 11.1%
法規 39,458 3,860 9.8% 2,347 5.9% 41,303 8,015 19.4% 4,660 11.3%
試験科目 H26 H27
受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率 受験者 合格者 合格率 科目合格者 科目合格率
理論 39,977 6,948 17.4% 5,362 13.4% 37,007 6,707 18.1% 5,347 14.4%
電力 37,953 8,045 21.2% 6,236 16.4% 35,260 6,873 19.5% 5,312 15.1%
機械 37,424 6,086 16.3% 3,877 10.4% 34,126 3,653 10.7% 2,127 6.2%
法規 38,753 6,763 17.5% 4,485 11.6% 35,047 7,006 20.0% 4,801 13.7%
※ 科目合格者は、4科目合格者を除く。
一概に決めつけることはできませんが、過去の試験データによると、機械科目の合格率は、他の試験科目に比べると平均して低く(H23年度は珍しく高かった)、電験3種受験者の中には特に機械科目を苦手とする人は思いのほか多いようです。
電験3種:科目合格率の推移グラフ
また、次項で触れますが、機械科目の合格基準点は他の試験科目に比べると平均して低いことからも得点が挙げにくいことが伺えます。






合格率からみた電験3種試験の難易度

電験3種の合格ラインは《60点以上》がひとつの基準となっているようですが、先に示した試験結果のように、合格率は、比較的安定した推移(概ね7~10%前後)を示していることから、電験3種は相対評価試験的な要素もあるようです。

※ 「受験者の上位●%」といったように成績上位の者から順に合格する試験制度のこと。単純に合格基準さえ満たせば良いという試験ではないため、受験者同士で競い合わなければならず、受験者自身の本当の実力が問われやすい。

事実、電験3種の合格基準は、試験実施後に公表されることになっており、下記表からも見て取れるように、合格基準点は毎年変動することも珍しくはありません。
理論 電力 機械 法規
H19 55点 55点 55点 55点
H20 60点 60点 55点 60点
H21 53.90点 55.00点 49.17点 55.00点以
H22 55.00点 52.75点 47.65点 55.00点
H23 52.44点 55.00点 55.00点 54.20点
H24 55.00点 55.00点 50.56点 51.35点
H25 57.73点 56.32点 54.57点 58.00点
H26 54.38点 58.00点 54.39点 58.00点
H27 55点 55点 55点 55点
H28 55点 55点 55点 54点
そのため、過去の合格基準点を振り返ってみると、確かに60点以上の得点を上げれば電験3種は合格圏内に入れるようですが、大半の受験者は、そのラインに届かないことから、試験主催者側は、受験者全体の得点を考慮しつつ、合格率が7~10%あたりで落ち着くよう調整(近年は不明…)している節が見てとれます。
過去問題
《電力》

複数の発電機で構成されるコンバインドサイクル発電を、同一出力の単機汽力発電と比較した記述として、誤っているのは次のうちどれか。

 (1) 熱効率が高い。
 (2) 起動停止時間が長い。(← 正解)
 (3) 部分負荷に対応するため、運転する発電機数を変えるので、熱効率の低下が少ない。
 (4) 最大出力が外気温度の影響を受けやすい。
 (5) 蒸気タービンの出力分担が少ないので、その分復水器の冷却水量が少なく、温排水量も少なくなる。


《法規》

次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく、特別高圧の電路の絶縁耐力試験に関する記述である。公称電圧22000〔V〕、三相3線式電線路のケーブル部分の心線と大地との間の絶縁耐力試験を行う場合、試験電圧と連続加圧時間の記述として、正しいのは次のうちどれか。

 (1) 交流23000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。
 (2) 直流23000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。
 (3) 交流28750〔V〕の試験電圧を1分間加圧する。
 (4) 直流46000〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。
 (5) 直流57500〔V〕の試験電圧を10分間加圧する。(← 正解)