このビジネス文書検定は、受験者の能力に応じて3階級(1~3級)に分かれていますが、階級を上げれば、当然、難易度も上がってきます。
そこで、これまでの試験データ(受験者数、合格者数、合格率など)を基に、階級別にみたビジネス文書検定の難易度について、少し客観的に分析してみたいと思います。
1級 | 実務に役立つ文書作成技能について、知識と技能とを十分に身につけているとともに、必要に応じて、これらを適切に指導することができる。 |
2級 | 実務に役立つ文書作成技能について、知識と技能との全般を身につけていることにより、単独で普通の文書を正しく理解し、作成することができる。 |
3級 | 実務に役立つ文書作成技能について、知識と技能との基本を身につけていることにより、上司の指示に従って、普通の文書を正しく理解し、作成することができる。 |

ビジネス文書検定は、現在、年2回(7月/12月)ほど実施されていますが、3級試験の試験結果は下記表のとおりです。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | ||
H24 | 第51回(7月) | 4,641 | 4,123 | 88.8% | (-3.0) |
第52回(12月) | 3,153 | 2,705 | 85.8% | (+3.0) | |
H25 | 第53回(7月) | 4,086 | 3,623 | 88.7% | (+2.9) |
第54回(12月) | 3,466 | 2,565 | 74.0% | (-14.7) | |
H26 | 第55回(7月) | 3,804 | 3,126 | 82.2% | (+8.2) |
第56回(11月) | 3,187 | 2,870 | 90.1% | (+7.9) | |
H27 | 第57回(7月) | 3,775 | 2,805 | 74.3% | (-15.8) |
第58回(12月) | 3,531 | 2,746 | 77.8% | (-3.5) | |
H28 | 第59回(7月) | 3,535 | 3,018 | 85.4% | (+5.6) |
第60回(12月) | 3,333 | 2,779 | 83.4% | (+2.0) |

というのも、毎試験、非常に高水準(80~90%)をキープしていることから、ほとんどの受験者が合格を手にしていることが伺えます。
つまり、裏を返せば、それだけ易しい試験!という見方もできるので、3級取得が就職活動の際のアピールになるかというと、正直、難しいところでしょう。

一方、ビジネス文書検定2級になると、受験者数の減少が見られますが、合格率の方も大幅に下がってきているようです。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | ||
H24 | 第51回(7月) | 1,790 | 959 | 53.6% | (-2.2) |
第52回(12月) | 2,235 | 1,242 | 55.6% | (+2.0) | |
H25 | 第53回(7月) | 1,536 | 982 | 63.9% | (+8.3) |
第54回(12月) | 1,827 | 1,022 | 55.9% | (+8.0) | |
H26 | 第55回(7月) | 1,274 | 712 | 55.9% | (±0.0) |
第56回(11月) | 1,795 | 1,082 | 60.3% | (+4.4) | |
H27 | 第57回(7月) | 1,224 | 733 | 59.9% | (-0.5) |
第58回(12月) | 2,000 | 1,122 | 56.1% | (-3.7) | |
H28 | 第59回(7月) | 1,172 | 684 | 58.4% | (+3.4) |
第60回(12月) | 1,958 | 1,165 | 59.5% | (-1.1) |

つまり、2級程度のレベルであれば、市販テキストや問題集を使った独学で、十分合格が狙える試験だということです。

では、さらに階級をひとつ上げ、1級試験になるとどうなっているのか・・・?
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | ||
H24 | 第51回(7月) | 349 | 117 | 33.5% | (+7.0) |
第52回(12月) | 371 | 100 | 27.0% | (-6.5) | |
H25 | 第53回(7月) | 318 | 102 | 32.1% | (+5.1) |
第54回(12月) | 328 | 83 | 25.3% | (-6.8) | |
H26 | 第55回(7月) | 299 | 105 | 35.1% | (+9.8) |
第56回(11月) | 313 | 98 | 31.3% | (-3.8) | |
H27 | 第57回(7月) | 324 | 81 | 25.0% | (-6.3) |
第58回(12月) | 330 | 82 | 24.8% | (-0.2) | |
H28 | 第59回(7月) | 347 | 99 | 28.5% | (+2.4) |
第60回(12月) | 346 | 94 | 27.2% | (+1.3) |

最上級にあたる1級試験ともなると、下位級に比べて、かなり高度な知識や厳密な使い分けが受験者に求められてくるため、ある程度、計画立てた試験対策が必要になってきそうです。
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平均値 | |||||||||
|
![]() |
28.2% | ||||||||
|
![]() |
58.0% | ||||||||
|
![]() |
81.2% |

ビジネス文書検定で身に付けたスキルは、確かに実務で役立ちますが、正直なところ、企業からみた検定試験自体の評価は、それほど高くはないようです。 つまり、就職活動などでのアピール度は低いので、資格取得に見合うだけの労力を考慮すると、学生受験者は、とりあえず2級試験合格がひとつの目安といえるかもしれません。 ビジネス文書検定2級ともなると、専門講座を用意しているスクールなども見られますが、試験の合格率状況や出題問題レベルを見る限り、公式テキストや問題集を利用した独学で十分対処できると思われます。 ※ 厳しいことをいうかもしれませんが、ビジネス文書検定2級で出題される問題レベルを考慮すると、不合格になってしまう場合は、単に自分の勉強不足が原因と自覚すべきです。 |
ビジネス文書検定 2級試験の出題例:表現技能 次の各文は、数に関する言い方(「 」内)とその意味について述べたものです。それぞれの■■部分に該当する数字を答えなさい。 (1)「社長ほか5名」とは、全員で■■名ということである。 (2)「7月6日以降」とは、7月■■日からということである。 (3)「木村部長はじめ7名」とは、全員で■■名ということである。 |