証券アナリストの過去問top
法律・経営・経理・ビジネス法律・経営・経理・ビジネスIT・Web・情報・通信・電気建築・不動産自然環境・衛生語学・旅行その他
矢印証券アナリスト1次試験:過去問を実際に解いてみよう!

矢印証券アナリスト2次試験:過去問を実際に解いてみよう!
公益社団法人・日本証券アナリスト協会が主催する証券アナリスト試験は、《1次試験》と《2次試験》とに分かれますが、1次と2次とでは試験内容に大きな違いが見られます。

そのため、証券アナリスト試験を効率よくパスするには、1次・2次の特徴(出題傾向など)を知り、本試験内容に合わせた対策を試みることが大切です。

そこで、試験対策を始める前に、まずは過去問題を振り返り、1次と2次とでは、いったいどのような違いが見られるのか・・・!?

その辺りの特徴について、少し客観的に分析してみたいと思います。




分析!過去問からわかる証券アナリスト試験の特徴 【1次試験】

証券アナリスト1次試験は3科目で構成されていますが、各試験科目の詳細(試験時間や配点)については、下記表のとおりです。

試験は、ほぼ丸一日かけて行われるため、長時間、集中力を切らさない強い精神力が求められますが、1次試験に限っては〝科目合格制(有効期間あり)〟が導入されているので、数回に分けて乗り切ることも可能です。
試験科目 試験時間 配点・出題問題数
(参考:H24年春 試験)
証券分析
ポートフォリオ・マネジメント
180分
(9:30~12:30)
180点
(満点)
・第1問…15点(計14問)・第4問…35点(計18問)
・第2問…28点(計15問)・第5問…30点(計15問)
・第3問…32点(計16問)・第6問…40点(計20問)
財務分析 90分
(13:50~15:20)
90点
(満点)
・第1問…34点(計17問)・第3問…18点(計9問)
・第2問…12点(計6問) ・第4問…26点(計1問)
経済 90分
(16:15~17:45)
90点
(満点)
・第1問…24点(計15問)・第3問…13点(計10問)
・第2問…35点(計20問)・第4問…18点(計11問)
さて、気になる問題の中身ですが、過去問を振り返ってみると、1次試験は3科目すべてマークシート形式の選択問題(4~5択)として出題されており、記述問題などに比べると受けやすい試験となっています。

また、大半の問題は下記に示した出題例にも見られるような正誤選択問題計算問題が多く、出題パターンに関しても、毎回、大きな変化は見られません(ただし、パターンはバラエティーに富んでいる…)。
1次試験の過去問題
(証券分析とポートフォリオ・マネジメント)

問1:債権および株式に関する次の記述のうち、正しくないものはどれですか。

A.ディープ・ディスカウント債とは、同じ満期のパー発行債券よりもクーポンの支払いが多く、割引債に近いアンダーパーで発行される利付債である。

B.普通株を保有している株主には、株主総会の議決権などを通じて、当該株式を発行している企業の経営に参加する権利が与えられている。

C.株式には種類があり、配当が普通株に対して優先される優先株、逆に劣後する株式もありうる。

D.無担保の債権は、元利金の支払いに関して担保付債権よりも実質的に劣後している。

【平成25年 春試験】

問2:株式と債券の資産クラスに投資した投資家のポートフォリオの1年間のパフォーマンスは、図表1のとおりである。以下の問1から問3の各問に対する答えとして最も適切なものをA~Eの中から1つ選んで、解答用紙の該当箇所をマークしなさい。

図表1:ポートフォリオのパフォーマンス
ポリシー・ミックス
の組入比率
ポートフォリオ
の組入比率
ベンチパーク
の収益率
ポートフォリオ
の収益率
株式ファンド 40% 30% 6.0% 9.0%
債権ファンド 60% 70% 3.0% 2.5%
注:組入比率は期初の値。


(1)ポリシー・ミックスのリターンに対するポートフォリオ全体の超過リターンはいくらですか。

 A.-0.6%
 B.-0.3%
 C.0.0%
 D.0.3%
 E.0.6%

(2)ポートフォリオ全体の資産配分効果はいくらですか。

 A.-0.8%
 B.-0.3%
 C.0.2%
 D.0.5%
 E.0.8%

(3)ポートフォリオ全体の銘柄選択効果はいくらですか。

 A.0.1%
 B.0.4%
 C.0.9%
 D.1.2%
 E.1.5%

【平成25年 春試験】

問3:割引率が10%、1年後の1株当たり配当が30円、2年後以降の1株当たり配当が永続的に40円と期待される株式の理論価格はいくらですか。配当割引モデルを用いて算出すること。

 A.300円
 B.358円
 C.363円
 D.391円
 E.400円

【平成24年 秋試験】

(財務分析)

問4:負債に関する次の記述のうち、正しいものはどれですか。

A.税務上の損金算入超過額を超える貸倒引当金繰入額を計上している場合、将来加算一時差異が生じており、繰延税金負債が計上される。

B.製品保証引当金を設定した場合、それを設定しなかった場合と比べて当期の利益は小さくなる。

C.所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、借手は、支払リース料の総額を負債に計上する。

D.商品仕入のための支払手形は、支払期限が決算日より1年超の場合、固定負債として表示される。

【平成26年 秋試験】

問5:次の表を用いて、問1から問3に答えなさい。

(単位:千円)
退職給付に係る調整表 年金資産に係る調整表
期首における退職給付債務 10,000 期首における年金資産 8,000
勤務費用 500 期待運用収益 400
利息費用 300 数理計算上の差異の当期発生額 500
数理計算上の差異の当期発生額 500 事業主からの拠出額 300
退職給付の支払額 △300 退職給付の支払額 △300
期末における退職給付債務 (1) 期末における年金資産 8,900
(1)期末における退職給付債務はいくらですか。

 A.10,000千円
 B.10,400千円
 C.10,600千円
 D.11,000千円
 E.11,600千円

(2)当期の割引率はいくらですか。

 A.1.5%
 B.2.0%
 C.3.0%
 D.4.0%
 E.5.0%

(3)当期の退職給付費用はいくらですか。ただし、数理計算上の差異の当期費用処理額はないものとする。

 A.400千円
 B.500千円
 C.600千円
 D.700千円
 E.1,000千円

【平成26年 秋試験】

問6:収益に関する次の記述のうち、正しくないものはどれですか。

 A.収益は、営業プロセスで生じる収入を期間配分することで計算される。
 B.収益は、事業活動の結果として企業に流入した成果である。
 C.事業活動による収益は、事前に期待されたキャッシュフローで測定される。
 D.事業投資と金融投資では、収益の計算方法が異なる。

【平成26年 春試験】

(経済)

問7:2財の消費選択に関する無差別曲線に関する次の記述のうち、正しくないものはどれですか。

 A.無差別曲線同士が交差することはない。
 B.無差別曲線は通常、原点に対して凹となる。
 C.無差別曲線は通常、右上に位置するものほど高い効用水準に対応している。
 D.無差別曲線の接線の傾きの絶対値は、限界代替率と等しい。

【平成26年 秋試験】

問8:先物カバーなしの金利裁定式に関する次の記述のうち、正しいのはどれですか。

 A.成立するための条件は、市場参加者のリスク中立性の仮定を必要とする。
 B.ドル金利と円金利はともに、社債などの信用リスクを伴う金融資産の利回りを考える。
 C.為替管理さえなければ通常ほぼ成立している。
 D.円金利がドル金利より高い場合、ドル先安を意味する。

【平成26年 秋試験】

問9: 市場需要曲線がX=10-P、市場供給曲線がX=Pで表される場合、以下の記述の(  )に入る数値として、正しい組合せはどれですか。なお、Xは数量、Pは価格を表す。

完全競争市場の市場均衡価格は( ア )となる。もしも市場需要曲線がX=6-Pとなった場合、市場均衡価格は( イ )だけ落下する。

 A.ア 4.5 イ 1
 B.ア 4.5 イ 2
 C.ア 5  イ 1
 D.ア 5  イ 2

【H26年度 春試験】
さらに、明確な合格ラインは公表されていないものの、合否の決定基準や合格率の推移状況等を踏まえると、証券アナリスト1次試験は、概ね6割以上の得点があれば合格できる試験だと言われています。
合格ライン「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」は180点、「財務分析」と「経済」は各90点を満点とし、各科目とも上位一定割合の受験者の平均得点を基準として決定
つまり、ペーパーテストで満点を取る必要はないので、過去問題をベースに学習し、本試験で出題される基礎問題や類似問題を確実に得点に結びつけることができれば、十分合格が狙えるということです。

ただし、出題問題数が多いため、時間配分には特に十分気を付けながら、解ける問題から手を付けていくことが大切です(1問目から順に解いていかないと気が済まない方もいると思いますが、この種のマークシート試験では、あまりお勧めできません)。
過去問:解答

問1 A
問2(1) D (2) B (3) C
問3 D
問4 B
問5(1) D (2) C (3) A
問6 C
問7 B
問8 A
問9 D



分析!過去問からわかる証券アナリスト試験の特徴 【2次試験】

証券アナリスト2次試験は、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」「コーポレート・ファイナンスと企業分析」「市場経済の分析」「職業倫理・行為基準」の4科目からなりますが、1次試験と大きく異なるのは、科目別に合否判定が行われるのではなく、総合問題として出題(つまり、設問によっては、複数の科目を関連付けて問題を作成)されること、また、記述問題のウェートが非常に高い(8割程度)点です。
試験時間 配点・出題問題数
(参考:H24年 試験) 
総合問題
(午前の部)
210分
(9:30~13:00)
210点
(満点)
・第1問…20点・第6問…25点
・第2問…20点・第7問…25点
・第3問…20点・第8問…30点
・第4問…30点・第9問…20点
・第5問…20点
総合問題
(午後の部)
210分
(14:30~18:00)
210点
(満点)
・第1問…20点・第6問…20点
・第2問…20点・第7問…25点
・第3問…20点・第8問…30点
・第4問…20点・第9問…20点
・第5問…15点・第10問…20点
参考までに、過去問題を振り返ってみると、穴埋め問題や計算問題も出題されていますが、下記に示した出題例のように「***** について簡潔に述べなさい」「***** とは何か説明しなさい」といったパターンも目立つことから、1次とは違い、高度な専門知識に加え、ある程度、分かりやすい文章を書き上げる国語力も求められています。
2次試験の過去問題
問1:証券アナリスト職業行為基準(以下、職業行為基準)に関する以下の文章の空欄①~⑨に当てはまる語句を答案用紙の解答欄に記入しなさい。ただし、同じ番号の空欄には同じ語句が入る。また、空欄に入るべき語句は、職業行為基準の条項に用いられている語句とは限らない。


日本証券アナリスト協会の検定会員(以下、会員)は、運用実績を顧客や見込み客等へ提示する際には、公正、正確かつ十分な提示が行われるよう、合理的な努力が求められている。そのために、資産運用会社は、運用実績のある報酬を課している投資一任ポートフォリオのすべてを、投資戦略や投資目的の類似性に従って区分された( ① )と呼ばれるグループのいずれかに組み入れ、そのグループごとにパフォーマンスを示すことなどが要請されている。

一方、運用実績の提示が投資パフォーマンス基準のすべての必須基準に準拠している場合には、公正、正確かつ十分な提示が行われたものと認められる。投資パフォーマンス基準はグローバル化が進んでおり、現在はグローバル投資パフォーマンス基準の日本語版が採用されている。この基準は、英文名の頭文字を用いて( ② )という略称で呼ばれることも多く、必須基準と勧奨基準から構成されている。

会員は、証券分析業務を行う際には、顧客を始めとする( ③ )関係にある者の最善の利益に資することのみに専念しなければならず、自己および第三者の利益を優先させてはならない。職業行為基準が定めるこの義務は、( ④ )義務と呼ばれている。

また、会員は顧客等から( ⑤ )としての( ③ )を得て、証券分析業務を行うのであるから、通常人に期待される以上の( ⑥ )義務を果たすことが要求される。具体的に、どのように行動すればこの義務を果たしたことになるのかについては、( ⑦ )・インベスター・ルールが基本的な原則として適用される。このルールの下では、上記の義務を果たしたかどうかは、結果が顧客にとって好ましかったかどうかではなく、「その時々の具体的な状況の下で」最善の( ⑥ )を払ったかどうかによって判断される。

会員は、証券の発行者に関する( ⑧ )の重要な情報を入手し、かつ、この情報が( ③ )関係等に基づいて伝えられた場合には、この情報を証券分析業務に利用したり、他の者に伝えたりしてはならない。また、この義務は、証券の発行者から直接に情報を伝達された会員ばかりでなく、( ⑨ )以降の受領者である会員にも適用される。

問2:問1の問題文中にある、証券の発行者から直接に情報を伝達された会員について、職業行為基準の下では、問題文中に記述された禁止行為以外に、追加的な要請がされています。その内容を簡潔に記述しなさい。

【平成23年度】

問3:F年金基金が今後の運用について悩んでいる。その内容を聞いてみると、次の3つにまとめることができた。これらの悩みを読んだ上で、以下の(1)から(3)に答えなさい。


① パフォーマンスを向上させるために、外国株式や外国債券をもっと増やしたいが、どうしても国内株式や国内債券が多くなってしまう。外国の資産を増やすことには何か不安がある。

② パフォーマンスの良くない運用会社には運用を任せたくないので、資金を引き揚げている。過去の実績の良いところに任せればよいが、昨年のパフォーマンスが良かったところが今年も良いとは限らない。運用会社を頻繁に変えると裏目に出てしまう。

③ ヘッジファンドをもっと組み入れる必要があると考えている。ヘッジファンドのマネージャーを新たに選んで、そのウェイトを高めたいと思っているが、なぜロング・ショート戦略はパフォーマンスが良くなる可能性があるといえるのだろうか。


(1)F年金基金の資産配分は国内株式38%、外国株式14%、国内債券35%、外国債券13%である。日本の株式のウェイトが高くなってしまうホームバイアスについて、理由として考えられるものを2つ挙げて説明しなさい。

(2)運用機関の選定に当たって、過去の実績以外に何を重視すべきかについて、理由を1つ挙げて説明しなさい。

(3)株式のロング・ショート戦略が、ロングオンリーに比べてパフォーマンスを向上させる可能性について、リスクとリターンの両面から1つずつ理由を説明しなさい。

【平成23年度】
そのため、過去問さえ理解していれば、ある程度対処できた1次試験とは異なり、理解力がないとかなり苦しい状況に追い込まれることが予想されます。

しかし、専門知識に対する理解力が重視される試験ではあるものの、合格率をみると、それほど低くない(概ね、35~45%で推移)ことから、超難関試験とまではいかないようです。

つまり、1次試験と同様、証券アナリスト2次試験においても、基本問題や類似問題(ただし、1次試験ほどではない…)が出題されていることから、いかにこのレベルの問題を確実に押さえ得点に結びつける(証券アナリストは相対評価試験なので、合格を手にしている大半の受験者が解けるような問題をミスると、当然、合格は遠のく…)ことができるかが合否を左右するカギを握ってきそうです。

なお、2次試験に関しては「職業倫理・行為基準」科目(配点60点)において、得点が一定水準に達しない場合は、仮に総合得点が合格最低点に達していたとしても不合格となってしまうので注意が必要です。

※「職業倫理・行為基準」科目は、比較的、学習がしやすく得点を上げやすいので、しっかりと押さえておきましょう!
合格ライン 4科目総合で420点を満点とし、上位一定割合の受験者の平均得点を基準として決定。ただし、4科目の総合得点が試験担当委員会により決定された合格最低点以上であっても「職業倫理・行為基準」の得点が一定の水準に達しない場合は不合格。