一般的に国家資格に属する試験の大半は合格率が低く難易度が高い!といったイメージが強いようですが、この技術検定試験も同じように合格の難しい試験なのか・・・!?
そこで、1級建築施工管理技士の資格取得を目指している方にとって避けて通ることのできない〝建築施工管理技術検定試験〟の難易度について、これまでの試験結果を基に少し客観的に分析してみたいと思います。
学科試験免除者 |
|
|
|
||||||||
|
1級建築施工管理技士試験は、2級建築施工管理技士試験と同様、択一式の《学科試験》と記述式による《実地試験》とに分かれるので、まずは1次試験にあたる学科試験の方からみていくことにしましょう。
下記に示した資料は、平成14年度以降の試験結果です。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格ライン (計60問) |
|
H14 | 29,097 | 8,424 | 29.0% | (-1.9) | 未確認 |
H15 | 30,730 | 16,862 | 54.9% | (+25.9) | 36問 |
H16 | 25,259 | 11,743 | 46.5% | (-8.4) | 36問 |
H17 | 25,785 | 15,217 | 59.0% | (+12.5) | 37問 |
H18 | 22,524 | 11,294 | 50.1% | (-8.9) | 36問 |
H19 | 23,871 | 11,088 | 46.4% | (-3.7) | 36問 |
H20 | 25,686 | 12,783 | 49.8% | (+3.4) | 36問 |
H21 | 25,195 | 8,782 | 34.9% | (-14.9) | 36問 |
H22 | 25,640 | 10,437 | 40.7% | (+5.8) | 36問 |
H23 | 22,284 | 8,312 | 37.3% | (-3.4) | 36問 |
H24 | 22,385 | 11,414 | 51.0% | (+13.7) | 未確認 |
H25 | 20,576 | 9,677 | 47.0% | (-4.0) | 未確認 |
H26 | 20,580 | 8,562 | 41.6% | (-5.4) | 36問 |
H27 | 25,452 | 11,103 | 43.6% | (+2.0) | 36問 |
H28 | 25,639 | 12,675 | 49.4% | (+5.8) | 36問 |
ここ10年程の験者数は、概ね20,000~25,000人ほどと、比較的安定した推移をみせていますが、試験合格率の方は、そうでもないようです。
最近では、平成21年度に〈-14.9〉ポイントと急激な落ち込みが見られますが、逆に平成24年度は、前年度に比べ〈+13.7〉ポイント上昇するなど、合格率の数値が激しく変動しています。
このような不安定な推移を示す背景には、1級建築施工管理技士学科試験が、原則、絶対評価(試験機関が事前に公表している合格基準さえ満たせば、ほぼ合格できる試験制度)による合否判定基準を採用しているころが大きいと考えられます。
つまり、学科試験に関しては、正答率60%(36点/60点満点)以上が、ひとつの基準となるため、その年の問題の難易度によって合否状況が変動しやすいのです。
※ 平成17年度の合格ラインが37点に引き上げられた理由のひとつは、合格者数を調整するための措置と考えられます。
したがって、この種の絶対評価試験においては、合格率よりも、むしろ合否判定のラインとなっている基準点の方を重視すべきと考えます。
下記に示した資料は、平成14年度以降の実地試験における受験者データとなります。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
H14 | 14,099 | 6,855 | 48.6% | (+2.9) |
H15 | 21,359 | 5,795 | 27.1% | (-21.5) |
H16 | 22,534 | 10,595 | 47.0% | (+19.9) |
H17 | 20,703 | 5,232 | 25.3% | (-21.7) |
H18 | 21,485 | 6,030 | 28.1% | (+2.8) |
H19 | 18,239 | 6,212 | 34.1% | (+6.0) |
H20 | 19,502 | 6,826 | 35.0% | (+0.9) |
H21 | 16,870 | 6,931 | 41.1% | (+6.1) |
H22 | 15,608 | 7,338 | 47.0% | (+5.9) |
H23 | 13,721 | 5,546 | 40.4% | (-6.6) |
H24 | 16,176 | 5,558 | 34.4% | (-6.0) |
H25 | 16,686 | 6,912 | 41.4% | (+7.0) |
H26 | 14,210 | 5,710 | 40.2% | (-1.2) |
H27 | 16,365 | 6,180 | 37.8% | (-2.4) |
H28 | 19,045 | 8,687 | 45.6% | (+7.8) |
受験者数は、年々、減少傾向にありましたが、近年は増加傾向に転じています。
一方、試験合格率の方はというと、こちらも学科試験と同様、あまり安定した推移を見せていませんが、両試験の合格率を見比べてみると、ひとつ興味深い特徴が見えてきます。
それは、学科試験の合格率が高いときは、実地試験の合格率が比較的低く抑えられ、逆に学科試験の合格率が低いと、実地試験の数値が上昇しているような動きを見せているのです(ただし、最近は両試験の差(数値)が以前ほどではなくなってきている…)。
このような点を踏まえると、1級建築施工管理技士実地試験の合格基準は〝非公開〟なので、あくまで予測するしかありませんが、学科試験の合格者状況によって、実地試験の合格基準が調整されている可能性は十分に考えられます。
|