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同試験は、2006年(平成18年)にスタートした、まだ歴史の浅い文部科学省後援の民間資格ですが、受検者は増えているようで、2016年度は約25,000人(2015年時点の延べ人数:10万人超)もの受検者がチャレンジしています。
そこで、近年、注目を浴びている世界遺産検定とはいったいどんな試験なのか、これまでの試験結果を基に各階級(4級・3級・2級・1級・マイスター)の合格率(世界遺産検定では認定率と呼ぶ)や特徴についてまとめておくので、試験に興味のある方は少し参考にしてみてください。

資格区分 | 民間資格 |
受検資格 | マイスター …… 1級認定者 1級 …………… 2級認定者 2級以下 ……… 特になし |
試験日 | マイスター・1級 ……… 年2回(7月、12月) 2級以下 ………………… 年4回(3月、7月、9月、12月) |
受検料 | マイスター:19,000円 / 1級:9,700円 / 2級:5,500円 / 3級:4,500円 / 4級:3,000円 |
受検地 | 全国各地の主要都市 |
試験時間 | マイスター:120分 / 1級:90分 / 2級:60分 / 3級:50分 / 4級:50分 |
出題形式 | マイスター:論述方式 / 1級以下:マークシート方式(四肢択一) |
出題範囲 | 基礎知識 / 日本の遺産 / 世界の遺産(自然遺産) / 世界の遺産(文化遺産) / その他 |
合格基準 | マイスター ……… 非公開 1級 ……………… 満点の60%以上(認定基準に達した受検者数の割合が規定値以下の場合は調整あり) 2・3級 ………… 満点の60%以上(認定基準に達した受検者数の割合が規定値以下の場合は調整あり) 4級 ……………… 満点の60% |
実施団体 | NPO法人 世界遺産アカデミー(〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1パレスサイドビル) 問合せ(世界遺産検定事務局:03-6267-4302) |
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(認定率) | |
平成26年 | 第16回(7月) | 未確認 | 未確認 | ----- |
第17回(9月) | 未確認 | 未確認 | ----- | |
第18回(12月) | 720 | 642 | 89.2% | |
平成27年 | 第19回(3月) | 310 | 255 | 82.3% |
第20回(7月) | 874 | 728 | 83.3% | |
第21回(9月) | 332 | 290 | 87.3% | |
第22回(12月) | 951 | 789 | 83.0% | |
平成28年 | 第23回(3月) | 427 | 404 | 94.6% |
第24回(7月) | 1,099 | 818 | 74.4% | |
第25回(9月) | 475 | 428 | 90.1% | |
第26回(12月) | 736 | 698 | 94.8% |
また、第16回・第17回の試験結果が確認できなかったため、ここでは第18回以降の試験データを基に分析していきます。

また、試験は年4回(3月・7月・9月・12月)実施されますが、7月・12月に比べて、3月・9月に行われる試験の方が、なぜか受検者数が大幅に落ち込む点は興味深いところです。

これは計算上、10人中8~9人が合格していることになり、むしろ不合格になることの方が難しい試験であることが数値からもうかがえます。
なお、合格率に関しては、受検者数で見られたような特徴(3月と9月試験の方が受検者が少ない)は特に見られず、回によって数値が大きく異なるということはなさそうです。
新設された4級は、中学2年生から高校2年生を対象としており、出題範囲の遺産数も少ないため、優しい試験であるということが、かえって受検者離れを起こしている要因のひとつ(理由:受検料や教材費を払ってまで4級を取得する魅力を感じない…)になっているのかもしれません。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(認定率) | |
平成18年 | 第1回(6月)※ | 3,352 | 1,414 | 42.2% |
第2回(6月)※ | 2,945 | 1,232 | 41.8% | |
平成19年 | 第3回(12月)※ | 1,553 | 678 | 43.7% |
平成20年 | 第4回(9月) | 1,824 | 1,352 | 74.1% |
平成21年 | 第5回(6月) | 2,029 | 1,284 | 63.3% |
第6回(11月) | 2,134 | 1,723 | 80.7% | |
平成22年 | 第7回(7月) | 2,488 | 2,231 | 89.7% |
第8回(11月) | 2,294 | 1,684 | 73.4% | |
平成23年 | 第9回(7月) | 3,733 | 3,112 | 83.4% |
第10回(12月) | 3,285 | 2,394 | 72.9% | |
平成24年 | 春期(3月) | 707 | 600 | 84.9% |
第11回(7月) | 3,082 | 2,326 | 75.5% | |
秋期(9月) | 429 | 393 | 91.6% | |
第12回(12月) | 2,374 | 1,703 | 71.7% | |
平成25年 | 春期(3月) | 859 | 782 | 91.0% |
第13回(7月) | 3,614 | 2,827 | 78.2% | |
秋期(9月) | 862 | 797 | 92.5% | |
第14回(12月) | 3,431 | 2,130 | 62.1% | |
平成26年 | 第15回(3月) | 1,521 | 1,313 | 86.3% |
第16回(7月) | 3,745 | 2,825 | 75.4% | |
第17回(9月) | 1,094 | 974 | 89.0% | |
第18回(12月) | 4,187 | 3,357 | 80.2% | |
平成27年 | 第19回(3月) | 1,799 | 1,403 | 78.0% |
第20回(7月) | 4,425 | 3,396 | 76.7% | |
第21回(9月) | 1,340 | 1,086 | 81.0% | |
第22回(12月) | 4,294 | 3,386 | 78.9% | |
平成28年 | 第23回(3月) | 1,961 | 1,709 | 87.1% |
第24回(7月) | 4,279 | 2,820 | 65.9% | |
第25回(9月) | 1,549 | 1,266 | 81.7% | |
第26回(12月) | 4,074 | 3,087 | 75.8% |
※ 旧試験制度下の試験データ
さらに公表されているデータを基にグラフに置き換えた資料がこちらになります。

一方で、3月・9月に行われる試験の受検者数が大幅に落ち込んでいる点は、4級と同じ特徴が見られます。

試験開始当初は、試験対策用の教材もなく、未知の試験ということもあり、勉強の仕方が分からなかったために、思うように得点を上げられなかったことが合格率の低さに影響していると考えられますが、近年は本試験の出題傾向や市販教材も手に入るため、試験対策が行いやすくなっています。
また、数値の上では4級ほど高水準ではありませんが、非常に高い合格率であることに変わりはないので、市販教材を使った独学でも十分に合格することができる試験であるといえるでしょう。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(認定率) | |
平成18年 | 第1回(6月)※ | 3,352 | 118 | 3.5% |
第2回(6月)※ | 2,945 | 356 | 12.1% | |
平成19年 | 第3回(12月)※ | 1,553 | 97 | 6.2% |
平成20年 | 第4回(9月) | 1,462 | 1,031 | 70.5% |
平成21年 | 第5回(6月) | 1,375 | 550 | 40.0% |
第6回(11月) | 1,334 | 535 | 40.1% | |
平成22年 | 第7回(7月) | 1,309 | 539 | 41.2% |
第8回(11月) | 1,474 | 622 | 42.2% | |
平成23年 | 第9回(7月) | 1,595 | 964 | 60.4% |
第10回(12月) | 1,802 | 813 | 45.1% | |
平成24年 | 春期(3月) | 676 | 280 | 41.4% |
第11回(7月) | 1,714 | 716 | 41.8% | |
秋期(9月) | 398 | 208 | 52.3% | |
第12回(12月) | 1,505 | 605 | 40.2% | |
平成25年 | 春期(3月) | 622 | 269 | 43.2% |
第13回(7月) | 1,463 | 792 | 54.1% | |
秋期(9月) | 608 | 375 | 61.7% | |
第14回(12月) | 1,638 | 688 | 42.0% | |
平成26年 | 第15回(3月) | 930 | 531 | 57.1% |
第16回(7月) | 2,005 | 947 | 47.2% | |
第17回(9月) | 820 | 479 | 58.4% | |
第18回(12月) | 2,548 | 1,100 | 43.2% | |
平成27年 | 第19回(3月) | 1,516 | 748 | 49.3% |
第20回(7月) | 2,794 | 1,239 | 44.3% | |
第21回(9月) | 1,230 | 745 | 60.6% | |
第22回(12月) | 3,086 | 1,441 | 46.7% | |
平成28年 | 第23回(3月) | 2,030 | 1,173 | 57.8% |
第24回(7月) | 2,876 | 1,189 | 41.3% | |
第25回(9月) | 1,454 | 694 | 47.7% | |
第26回(12月) | 3,376 | 1,687 | 50.0% |
※ 旧試験制度下の試験データ
2級は3級に次ぐ受検者数の多い階級ですが、下記グラフからも見てとれるように、一旦は減少傾向にあったものの、V字回復を見せており、第26回試験の受検者数は過去最高(3,376名)を記録しています。


\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(認定率) | |
平成18年 | 第2回(6月)※ | 124 | 18 | 14.5% |
平成19年 | 第3回(12月)※ | 494 | 147 | 29.8% |
平成20年 | 第4回(9月)※ | 380 | 145 | 38.2% |
平成21年 | 第5回(6月) | 451 | 99 | 22.0% |
平成22年 | 第7回(7月) | 328 | 67 | 20.4% |
第8回(11月) | 244 | 49 | 20.1% | |
平成23年 | 第9回(7月) | 323 | 65 | 20.1% |
第10回(12月) | 349 | 72 | 20.6% | |
平成24年 | 第11回(7月) | 408 | 104 | 25.5% |
第12回(12月) | 397 | 85 | 21.4% | |
平成25年 | 第13回(7月) | 350 | 72 | 20.6% |
第14回(12月) | 379 | 79 | 20.8% | |
平成26年 | 第16回(7月) | 390 | 128 | 32.8% |
第18回(12月) | 480 | 116 | 24.2% | |
平成27年 | 第20回(7月) | 530 | 202 | 38.1% |
第22回(12月) | 612 | 134 | 21.9% | |
平成28年 | 第24回(7月) | 727 | 150 | 20.6% |
第26回(12月) | 831 | 175 | 21.1% |
※ 旧試験制度下の試験データ
1級は下位級とは異なり、試験の実施回数が年2回に減りますが、かといって、1度の試験における受験者数が大幅に増えるということもなく、毎回1,000人を下回っています。
しかし、1級試験は、ここ数年、回を重ねるごとに受験者数が増えており、第26回試験では過去最高(831名)を記録しています。

一方、合格率はというと、ご覧のように下位級を大きく下回り、その平均値は24.0%で、計算上5人中1人ほどしか合格できてないことになります。

したがって、出題形式はマークシート方式の選択問題ですが、非常に難易度の高い厳しい試験であることがうかがえます。
また、全体的にみると、比較的安定した推移を示しているものの、稀に数値が急変動(第16回・第20回)していることから、回によって問題の難易度に差があるようなので、場合によっては合否が運に左右されることもありそうです(つまり、全体的に優しい問題が多いと合格しやすい)。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(認定率) | |
平成18年 | 第2回(6月)※ | 124 | 5 | 4.0% |
平成19年 | 第3回(12月)※ | 494 | 46 | 9.3% |
平成20年 | 第4回(9月)※ | 380 | 66 | 17.4% |
平成21年 | 第6回(11月) | 104 | 49 | 47.1% |
平成22年 | 第8回(11月) | 66 | 46 | 69.7% |
平成23年 | 第9回(7月) | 40 | 28 | 70.0% |
第10回(12月) | 35 | 22 | 62.9% | |
平成24年 | 第11回(7月) | 29 | 13 | 44.8% |
第12回(12月) | 48 | 29 | 60.4% | |
平成25年 | 第13回(7月) | 24 | 14 | 58.8% |
第14回(12月) | 23 | 12 | 52.2% | |
平成26年 | 第16回(7月) | 21 | 11 | 52.4% |
第18回(12月) | 36 | 17 | 47.2% | |
平成27年 | 第20回(7月) | 29 | 11 | 37.9% |
第22回(12月) | 42 | 19 | 45.2% | |
平成28年 | 第24回(7月) | 43 | 21 | 48.8% |
第26回(12月) | 36 | 19 | 52.8% |
※ 旧試験制度下の試験データ
マイスター試験は1級以下の階級とは異なり、近年の受検者は数えるほどしかいません。

そのため、よほど覚悟をもった者しかチャレンジすることはないため、おそらく今後も大幅に増えるようなことは期待できません。
では、試験合格率の方はどうなっているのかというと、世界遺産検定の最高峰に位置付けられている下位級にもかかわらず、合格率は意外と高く、その平均値は45.9%となります。

また、試験範囲も制限がなく、単にテキストや問題集をマスターすれば合格できるような試験でないため、日頃から世界遺産に関する書籍やニュースなどに関心をもつことが大切です。