森林インストラクター試験の合格率と難易度top
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自然や環境に関心を持った方が目標とする資格のひとつに〝森林インストラクター〟という民間資格があります。

知名度や需要はお世辞にも高いとは言えませんが、退職された方が第二の人生として自然を案内するボランティアガイドや森林調査員として役立ちたいと考えている方に注目されているようです。

森林インストラクターは、就職や転職に役立つような種類のスキルではなく、あくまで森や自然が好きな方向けの趣味の延長線上にあるような資格なので、このような資格があるということすら知らない方も多いはずです。

そこで、森林インストラクターの資格を取得するために避けては通れない試験データをまとめておくので、受験者はどのくらいいるのか、合格率はどの程度なのか、本試験ではどんな問題が出題されるのか・・・?

森林インストラクターの資格に興味のある方は、少し参考にしてみてください。
受験者 矢印
一次試験(全4科目)
① 森林
② 林業
③ 森林内の野外活動
④ 安全及び教育
矢印
二次試験
■ 実技試験
■ 面接
※ 協会指定の講習修了
  者は実技試験免除
矢印
登録
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森林インストラクター
※ 5年毎に更新


分析!森林インストラクター試験の受験結果と合格率の推移

シンボルマーク森林インストラクター試験は、平成3年に農林水産大臣の認定試験としてスタートした国家資格でしたが、その後、民間資格へと格下げされ、現在は全国森林レクリエーション協会が実施(年1回:9月予定)しています。

参考までに、平成15年度以降の試験結果を表にまとめてみましたが、これではいまひとつ少し分かりづらいので、受験者数や合格率の推移が一目で分かるよう、さらに折れ線グラフに置き換えてみました。
実施年度 受験者数 合格者数 合格率
2003年(H15) 1,246 239 19.2% (-0.6)
2004年(H16) 1,155 249 21.6% (+2.4)
2005年(H17) 1,031 259 25.1% (+3.5)
2006年(H18) 976 215 22.0% (-3.1)
2007年(H19) 826 201 24.3% (+2.3)
2008年(H20) 793 202 25.5% (+1.2)
2009年(H21) 728 184 25.3% (-0.2)
2010年(H22) 641 171 26.7% (+1.4)
2011年(H23) 559 157 28.1% (+1.4)
2012年(H24) 532 127 23.9% (-4.2)
2013年(H25) 479 104 21.7% (-2.2)
2014年(H26) 451 102 22.6% (+0.9)
2015年(H27) 409 115 28.1% (+5.5)
2016年(H28) 372 79 21.2% (-6.9)
森林インストラクター合格率の推移グラフ
冒頭でも触れたように、そもそも森林インストラクターは、ビジネスシーンで広く活用できるような資格ではなく、あくまで趣味の延長線上にあるような資格なので、受験者数自体多くありませんが、平成15年には1,200人を超えていた受験者も、平成25年には500人を割ってしまい、10年前の半分以下にまで落ち込んでいます。

今後も、この減少傾向に歯止めがかからないとすると、資格そのものの存続すら危ぶまれる状況ですが、資格そのものに魅力を感じなくなったことの表れでもあるので、森林インストラクターの魅力をアピールするための何かしらのテコ入れが必要のように思われます。

では、合格者数の方はというと、やはり受験者数と同様、同じような軌跡をたどっており、10年前に比べると半減しています。

一方、合格率に注目してみると、ほぼ横ばい状態であり、概ね20~25%前後(H13~H28年の平均値は23.5%)で推移していることが見てとれます。

グラフから見てとれるこの傾向と、一次試験の合格基準である〝各科目とも正解率6割程度以上※〟といういまいち曖昧な合格ラインを踏まえると、森林インストラクター試験は、どうやら受験者数の増減に影響されることなく、合格率が概ね20~25%前後で推移するように調整されている相対評価的な性格の試験であることが伺えます。

次に、職業別に分類された受験者データを振り返ってみましょう。
実施年度 学生 教員 公務員 その他一般
2006年(H18) 26(2.7%) 48(4.9%) 209(21.4%) 693(71.0%)
2007年(H19) 29(3.5%) 58(7.0%) 183(22.2%) 556(67.3%)
2008年(H20) 27(3.4%) 36(4.5%) 151(19.0%) 579(73.0%)
2009年(H21) 22(3.0%) 45(6.2%) 120(16.5%) 541(74.3%)
最新データが見当たらず、やや古い資料となりますが、受験者の内訳が大きく変わるとも思えないので、だいたいの傾向を把握することは十分可能なはずです。

さて、この資料によると、森林インストラクター試験は、やはり若い学生やサラリーマンよりも、年配の受験者(ボランティアガイド的な活躍の場を求める一般の方)や公務員受験者が多い試験だということがわかります。
職業別内訳データ
森林インストラクター試験は試験開始当初から、自治体の関連部署に勤める方や森林組合の関係者が多く受験していたようなので、今後もおそらくその傾向は大きく変わることはなさそうです。





分析!森林インストラクター試験の特徴と難易度

森林インストラクター試験は、一次試験と二次試験とで構成されていますが、受験者にとって最大の山場は一次試験の方です。

※ 二次試験(実技試験と面接)の合格率は高いようで、面接官に対して、よほど悪印象を与えたり、的外れな対話を行わない限りは、滅多に不合格になることはないようです。

森林インストラクター試験は難しい!難易度が高い!!と言われる要因のひとつは、本試験問題の解答方法が、マークシートではなく、記述式(200~300字程度で論じるような問題もある)を中心とした筆記試験だからです。
森林インストラクター二次試験の内容について

一次試験にあたる全4科目に合格した者のみを対象とした試験が〝二次試験〟です。二次試験の内容は〝実技試験〟と〝面接〟で試験時間は概ね10分程度ですが、協会指定の講習修了者は、申請により実技試験が免除されます。二次試験は合格率も高いようで、よっぽどのことがない限り不合格にされることはないようですが、試験会場が東京に限られている点が地方受験者にとってネックとなっています。
実技試験:用意された素材(3種類程度)の中から1つを選択し、森林インストラクターとしての模擬演技を行う。(例:落葉(スギ、ヒノキ等) / 鳥類の絵(モズ、キジバト等) / 自然素材(どんぐり等))

面接:複数(3人)の面接官を前にして、口頭による面接を行う。(例:自己紹介、受験の動機、試験勉強の方法、資格取得後にしたいこと等)
森林インストラクター試験の出題パターン
論述問題はマークシート方式による試験とは異なり、専門知識プラスα〝自らの言葉で採点者に分かりやすく簡潔にまとめて表現しなければならない技術〟が求められるため、この手の試験形態に慣れていないと答えにくい面があります。

また、全4科目で出題される内容は、非常に広範囲の専門知識(問題によっては細かな知識も問われる)を必要とするため、単に知識を丸暗記するだけでなく、各分野ごとに整理しながら体系的に覚えていないと、限られた試験時間(60~80分)内で各設問の意図を理解し、ある程度考えをまとめた上で解答用紙を埋めていくという作業は非常に厳しいものがあります。

※ 本試験問題の内容や問題数を考慮すると、どの科目も時間的余裕はないと理解しておくべきです。

そのため、森林インストラクター試験は、受験者の基礎力にもよりますが、少なくとも1~2年程度の試験勉強期間は必要であると理解した上でておいた方がよさそうです。
試験科目 試験時間 出題内容
森林 80分 森林の仕組み、植生の遷移/樹木、森林の動植物/森林の地質、土壌と水文/その他森林に関すること
林業 80分 山村と農林業/森林の効用/森林の施業/木材及び特用林産物(きのこを含む)の利用/その他林業に関すること
森林内の野外活動 60分 森林レクリエーション/キャンピング/ネイチャークラフト/その他森林内の野外活動に関すること
安全及び教育 60分 安全の知識(気象を含む)、救急処置法/環境教育、自然保護/指導技術、企画の立て方/その他安全及び教育に関すること
※ 一次試験は科目合格制を導入しているため、合格した年度を含めて5年間は、その合格した試験科目が免除(ただし、受験申込時に試験一部免除申請書の添付が必要)されます。