高圧ガス製造保安責任者の資格(免状)を取得するには、高圧ガス保安協会(略:KHK)が実施する国家試験に合格しなければなりませんが、この資格はいくつか種類があります。
そのため、法令により定められた所定の区分(高圧ガスの種類や製造施設の規模など)に従って、必要とされる免状の種類が異なってくるので、資格取得を目指している方は、その点に注意が必要です。
なお、参考までに免状の種類と職務範囲を下記表にまとめておきます。

高圧ガス製造保安責任者 | 甲種化学責任者 | 石油化学コンビナート等高圧ガス製造事業所において、製造に係る保安の統括的な業務を行う者に必要な資格。高圧ガスの種類及び製造施設の規模についての制限はなく、 保安技術管理者、保安主任者及び保安係員に選任され、全ての製造施設に関する保安に携わることができる。※ |
甲種機械責任者 | ||
乙種化学責任者 | 石油化学コンビナート等高圧ガス製造事業所において、製造に係る保安の統括的又は実務的な業務を行う者に必要な資格で、高圧ガスの種類については制限はないが、製造施設の規模により、保安技術管理者に選任される場合に限り制限がある。保安主任者及び保安係員に選任される場合の製造施設の規模についての制限はなく、これらの条件の下で、全ての製造施設に関する保安に携わることができる。※ | |
乙種機械責任者 | ||
丙種化学責任者(液石) | LPガス製造事業所(LPガス充てん事業所、LPガススタンド等)において、LPガスの製造に係る保安の統括的又は実務的な業務を行う方に必要な資格。製造施設の規模により、保安技術管理者に選任される場合に限り制限を受けるが、保安主任者及び保安係員に選任される場合は、その規模の制限は受けない。また、所定の経験を有している場合LPガス以外の高圧ガス製造施設の保安係員にも選任されることができ、これらの条件の下で、高圧ガスの製造施設に関する保安に携わることができる。 | |
丙種化学責任者(特別) | 石油化学コンビナート等製造事業所、充てん事業所、天然ガススタンド等において、製造に係る保安の実務的な業務を行う方に必要な資格。高圧ガスの種類及び製造施設の規模については制限は受けないが、保安係員のみに選任され、高圧ガスの製造施設に関する保安に携わることができる。 | |
第一種冷凍機械責任者 (通称:一冷) |
主に大型冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場等において、製造(冷凍)に係る保安の実務を含む統括的な業務を行う方に必要な資格。全ての冷凍(1日の冷凍能力に制限はない)の製造施設に関する保安(冷媒ガスの種類の制限はない。以下の二冷、三冷の免状においても同じ)に携わることができる。 | |
第二種冷凍機械責任者 (通称:二冷) |
主に中型冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場等において、製造(冷凍)に係る保安の実務を含む統括的な業務を行う方に必要な資格。1日の冷凍能力が300トン未満の製造施設に関する保安に携わることができる。※ 試験の詳細については、第二種冷凍機械責任者試験の項をどうぞ! | |
第三種冷凍機械責任者 (通称:三冷) |
主に小型冷凍空調機器を備えている施設、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場等において、製造(冷凍)に係る保安の実務を含む統括的な業務を行う方に必要な資格。1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設に関する保安に携わることができる。※ 試験の詳細については、第三種冷凍機械責任者試験の項をどうぞ! |

高圧ガス製造保安責任者の資格を得るには、KHKが実施する高圧ガス製造保安責任者試験に合格しなければなりませんが、免状を得るためのルートは大きく分けると2通りあります。
試験科目の一部免除制度の詳細については、次項で説明しますが、金銭的、または時間的余裕(あるいは、両方)のある方は、所定の講習に参加するなどして免除制度の利用を検討してみるのもよいでしょう。
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高圧ガス製造保安責任者試験は、免状の種類によって試験日が異なってくるわけではありませんが、試験科目や受験料、試験地などに若干の違いが見られます。
そこで、各試験の大まかな試験概要を下記にまとめておくので、参考にしてみてください。
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※注 … 受験者は必ず公式HPなどで、最新情報を確認してください!
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一般的に国家資格に属する試験は、民間資格試験などに比べると合格率は低く難易度が高いといわれていますが、この試験結果を見る限り、いずれの試験も合格率はそこそこ高水準で推移しているように見受けられ、その傾向は近年、特に大きな変化は見られません。
\ | 2008年(H20) | 2009年(H21) | 2016年(H28) | |||||||||
出願者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 出願者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | 出願者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
甲種化学 | 1,256 | 1,058 | 627 | 59.3% | 1,264 | 1,079 | 640 | 59.3% | ----- | 905 | 513 | 56.7% |
甲種機械 | 1,743 | 1,436 | 643 | 44.8% | 1,844 | 1,505 | 737 | 49.0% | ----- | 1,422 | 752 | 52.9% |
乙種科学 | 3,060 | 2,816 | 1,121 | 39.8% | 3,023 | 2,756 | 1,250 | 45.4% | ----- | 2,644 | 1,221 | 46.2% |
乙種機械 | 6,076 | 5,483 | 1,958 | 35.7% | 6,445 | 5,775 | 2,127 | 36.8% | ----- | 6,337 | 2,669 | 42.1% |
丙種化学(液石) | 4,584 | 4,108 | 1,597 | 38.9% | 5,054 | 4,582 | 1,812 | 39.5% | ----- | 4,505 | 1,841 | 40.9% |
丙種化学(特別) | 6,874 | 6,436 | 3,701 | 57.5% | 6,327 | 5,915 | 3,300 | 55.8% | ----- | 6,676 | 3,111 | 46.6% |
一冷 | 1,768 | 1,423 | 800 | 56.2% | 2,030 | 1,673 | 944 | 56.4% | ----- | 1,446 | 908 | 62.8% |
二冷 | 5,702 | 4,988 | 2,131 | 42.7% | 6,469 | 5,572 | 2,844 | 51.0% | ----- | 4,295 | 2,028 | 47.2% |
三冷 | 10,356 | 9,308 | 5,688 | 61.1% | 10,780 | 9,651 | 4,160 | 43.1% | ----- | 11,337 | 5,273 | 46.5% |
それは、高圧ガス製造保安責任者試験には、試験科目の一部免除制度がある!という点です。
この科目免除制度は、試験の種類や条件(取得しようとしている区分以外の免状を既に持っている…など)により、免除される試験科目が異なってきます(詳細については、高圧ガス保安協会HP内で無償配布しているパンフレット等をご覧ください。)が、参考までに、全科目受験者と科目免除申請者ごとの試験合格率状況を下記表にまとめてみました。 このデータによると、試験科目の一部免除制度利用者の合格率は、非常に高い水準にありますが、全科目受験となると、合格が厳しくなっていることが見てとれます。 高圧ガス保安協会が実施している所定の講習過程修了者は、科目免除申請により「法令」科目以外の試験科目が免除されるため、金銭的、時間的余裕のある方は、この講習制度を検討してみてください。 ※ 講習参加者は検定試験が待ち構えています(これをクリアしなければ免除申請は受けられない)が、本試験に比べると、比較的、パスしやすいと言われています。 |
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《参考:平成21年度》
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《参考:平成28年度》
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